挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
【長編版】ボク、魔王軍の下っ端のさらにずっとずっと下っ端の雑魚でぇす! 作者:双葉小鳥
6/8

 ④

「嫌だなぁ……。ボクだってちゃんと考えてる時くらいあるよ?」
「……なら、魔王城消すな……」
 めんどくさげに言うバイアズ。
 てか、何言ってんの?
「不可抗力に決まってるじゃん」
「……不可抗力でも、現に消えてんだろ」
 ため息交じりなバイアズ。
 酷いよね。
 それが友達に対する対応の仕方?
「いやだなぁ。巨大な魔王城を、新しくするきっかけを与えただけだよ!」
 そうそう。
 巨大なんだよ?
 中でも、亜空間とか。
 魔窟とか。
 変なとことか、色々あってね。
 最初は迷ったんだけど――。
「これで十七回。魔王城を破壊した奴が言うか……」
 あ。
 この声はバイアズじゃないよ?
 だって、バイアズは呆れた顔で包丁持ってない方の手で頭掻いてるし。
 誰?
 そう思って声のした方を見た。
 そこに居たのは目に痛いピンク色のツンツン頭。
 おかしな髪色だなぁ。
 てか、痛すぎやしないかい?
 お兄ちゃん。
 いい年してそれ(ピンク)はないよ~。
 とっても痛いわぁ!
 ふぷぷぷ!
「サンダニオ。口に出てるぞ……」 
 え?
 あら、これを失礼。
 あと、バイアズ。
 教えてくれるもは良いけど、顔引きつってるゾ!
「俺の顔はどうでも良んだよ」
 どうでもよくないと思いますよ~。
 てか、どの辺から漏れてるの?
「『おかしな髪色だなぁ』のとこから今まで」
「………………と言うことは。聞かれたらやばいとこ全部ですなぁ~」
 あははは!
 通りでピンク頭の兄ちゃんの額に青筋浮かんでるわけだわ!
「……………もっと早く教えてくれてもいいじゃないか。薄情者……」
「はぁ……。お前が馬鹿すぎて、声が出なかったんだ」
 バイアズは空いてる方の手で、めんどくさそうな顔のまま。
 前髪をかき上げた。
 薄情としか言いようがないよ……。 
「ひどい! 友達を見捨てたな!!」
「『友』と『飯』だと、迷いなく『飯』を選ぶ奴が言うな」
「イヤだな! バイアズは見捨てないよ!」
「はいはい。飯のためな」
「あたり前じゃないか!!」
 バイアズが居なくなったらボクのご飯はどうなるのさ!
 まったく。
 ボク、ご飯ないと死んじゃう……。
「……どうでも良いが、話を聞いてくれないか…………?」
 そう言ったのは変なピンク頭のお兄さん。
「え? ヤダ!!」
 もちろん即答さ!
 だってこういう変な人って、絶対めんどくさいことしか言わないんだよ?
 ボクめんどくさいの嫌い!
 遊ぶの大好き!!
 あれ?
 ピンクが居のあたり押さえて背を丸めたぞ?
 なにかあったのかな?
「…………ホグロス……。後は私が」
 そう言ったのは、腰まである長い銀髪を片側に寄せてまとめ。
 目はインディゴで、丸眼鏡をかけた、すらりとした体つきの――。
「マイファス様。あのピンクさん、どうかしたんですか?」
 ボクはそう言ってそそくさと立ち去るピンク頭を指さす。
 そしたらマイファス様の顔色が悪くなった。
 その上顔をひきつらせてる。
 大丈夫? 
「………………(『あなたのせいですよ』とは言えませんね……)」
「どうかした? マイファス様」
 なんか小難しい顔してるけど……。
 そう言えば、あのピンク頭ずいぶん昔にあった気がする。
 何だったけ?
 忘れちゃった。
「あ、あぁ。いえ、何でもありません。ただ、一刻も早く魔王城の再生を行ってくださいね。サンダニオ」
 ニコっと笑うマイファス様。
 ボクはめんどくさいことは嫌いです!
「あ! ボク、今日用事があったんだった!! じゃぁね、マイファス様!」
 だから逃げる。
 転移魔法で速攻逃げるよ!
 あ。
 それともちろん用事なんてないよ。
 だって、逃げる口実だもの!



 ――――――

 ――――
短編ではまだ二話は終わりませんが、長編ではここで二話をかたづけます。
ので、次はタイトル変更です。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。

Ads by i-mobile

↑ページトップへ