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④
「嫌だなぁ……。ボクだってちゃんと考えてる時くらいあるよ?」
「……なら、魔王城消すな……」
めんどくさげに言うバイアズ。
てか、何言ってんの?
「不可抗力に決まってるじゃん」
「……不可抗力でも、現に消えてんだろ」
ため息交じりなバイアズ。
酷いよね。
それが友達に対する対応の仕方?
「いやだなぁ。巨大な魔王城を、新しくするきっかけを与えただけだよ!」
そうそう。
巨大なんだよ?
中でも、亜空間とか。
魔窟とか。
変なとことか、色々あってね。
最初は迷ったんだけど――。
「これで十七回。魔王城を破壊した奴が言うか……」
あ。
この声はバイアズじゃないよ?
だって、バイアズは呆れた顔で包丁持ってない方の手で頭掻いてるし。
誰?
そう思って声のした方を見た。
そこに居たのは目に痛いピンク色のツンツン頭。
おかしな髪色だなぁ。
てか、痛すぎやしないかい?
お兄ちゃん。
いい年してそれ(ピンク)はないよ~。
とっても痛いわぁ!
ふぷぷぷ!
「サンダニオ。口に出てるぞ……」
え?
あら、これを失礼。
あと、バイアズ。
教えてくれるもは良いけど、顔引きつってるゾ!
「俺の顔はどうでも良んだよ」
どうでもよくないと思いますよ~。
てか、どの辺から漏れてるの?
「『おかしな髪色だなぁ』のとこから今まで」
「………………と言うことは。聞かれたらやばいとこ全部ですなぁ~」
あははは!
通りでピンク頭の兄ちゃんの額に青筋浮かんでるわけだわ!
「……………もっと早く教えてくれてもいいじゃないか。薄情者……」
「はぁ……。お前が馬鹿すぎて、声が出なかったんだ」
バイアズは空いてる方の手で、めんどくさそうな顔のまま。
前髪をかき上げた。
薄情としか言いようがないよ……。
「ひどい! 友達を見捨てたな!!」
「『友』と『飯』だと、迷いなく『飯』を選ぶ奴が言うな」
「イヤだな! バイアズは見捨てないよ!」
「はいはい。飯のためな」
「あたり前じゃないか!!」
バイアズが居なくなったらボクのご飯はどうなるのさ!
まったく。
ボク、ご飯ないと死んじゃう……。
「……どうでも良いが、話を聞いてくれないか…………?」
そう言ったのは変なピンク頭のお兄さん。
「え? ヤダ!!」
もちろん即答さ!
だってこういう変な人って、絶対めんどくさいことしか言わないんだよ?
ボクめんどくさいの嫌い!
遊ぶの大好き!!
あれ?
ピンクが居のあたり押さえて背を丸めたぞ?
なにかあったのかな?
「…………ホグロス……。後は私が」
そう言ったのは、腰まである長い銀髪を片側に寄せてまとめ。
目はインディゴで、丸眼鏡をかけた、すらりとした体つきの――。
「マイファス様。あのピンクさん、どうかしたんですか?」
ボクはそう言ってそそくさと立ち去るピンク頭を指さす。
そしたらマイファス様の顔色が悪くなった。
その上顔をひきつらせてる。
大丈夫?
「………………(『あなたのせいですよ』とは言えませんね……)」
「どうかした? マイファス様」
なんか小難しい顔してるけど……。
そう言えば、あのピンク頭ずいぶん昔にあった気がする。
何だったけ?
忘れちゃった。
「あ、あぁ。いえ、何でもありません。ただ、一刻も早く魔王城の再生を行ってくださいね。サンダニオ」
ニコっと笑うマイファス様。
ボクはめんどくさいことは嫌いです!
「あ! ボク、今日用事があったんだった!! じゃぁね、マイファス様!」
だから逃げる。
転移魔法で速攻逃げるよ!
あ。
それともちろん用事なんてないよ。
だって、逃げる口実だもの!
――――――
――――
短編ではまだ二話は終わりませんが、長編ではここで二話をかたづけます。
ので、次はタイトル変更です。
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