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オレは女子高生 作者:AT
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第2話 受験 オレが女の子?

 冬休みが過ぎ3学期になると、同級生たちは最後の追い込みに必死になっていた。
しかし、そんななかでもオレはどうも実感を持てないでいた。それは女学校を受験するという想像しにくい事態だったからかも知れないし、もともとオレはそういう性格だったのかも知れない。まあ、これまでも全然勉強しなかったことを考えれば後者である可能性が高い。たんなるのんびり屋なのだろう。

 オレが白鴻女学園を受験する事は同級生には頑に隠していた。たとえ共学になるとはいえ女学園なんて名前の学校を受験するなんて恰好悪くて言えるハズがない。しかし、それは案外簡単なことではなかった。この時期、どこを受験するかは同級生たちが最も感心がある事だったからだ。仕方なくオレは別の県の高校を受験するということにしていた。なぜ他県の高校を受験するのか聞かれても、引っ越すからとか適当に答えていた。学校ではそれなりに友達もいたが、オレの家に来たことがある友達はいなかったからバレないだろうと考えていた。なぜ自分の家に友達が来なかったかというと、オレが来てほしくなかったからだ。父親が売れない小説家なんて格好悪いから知られたくなかったし、ペンネームで三次元文庫を書いてるなんてもっと知られたくなかった。

 ただ、受験の日だけはそういう訳にはいかなかった。幸い同じクラスからは白鴻女学園へ受験する人はいなかったが、他のクラスには数人いた。オレは彼女たちと一緒に受験しなければならなかった。うちの中学では、同じ高校を受験する生徒は一旦学校に集まって、いろいろ持ち物を確認してから一緒に受験会場まで行くのが決まりだったのだ。多少助かったのは、一緒に受験する女子たちがあまりおしゃべりなタイプではなかったことだ。全員別のクラスだったからそれぞれの性格までは知らなかったが、さすがに白鴻女学園を受験するだけあってお嬢様タイプなのだろう。でもそんな中に男のオレが混じっているのは何とも居心地が悪かった。

 オレはできるだけ目立たないようにしていたが、少ない人数の中で男がひとりではどうしたって目立ってしまう。
「戸田君、白鴻受けるんだ。男子で受ける人がいるなんて知らなかったわ。」
そのうちの一人が声をかけてきた。となりのクラスの長谷川順子はせがわじゅんこという生徒だった。
「うん、まあ・・・でもこのこと秘密にしてるんだ。」
「なんで?」
「だって、なんか恰好悪いじゃん。男子が女子校受けるなんて。」
「でも共学になるんでしょう?」
「まあ、そうだけど。でも恥ずかしいんだよ。」
「そう、じゃあわたしたちも戸田君が受験してたの秘密にしておくわ。」
「そうしてもらうと助かるよ。」
オレは受験後言いふらされる心配がなくなって、少し落ちついてきた。
「戸田君も滑り止めなんでしょう?」
「え?」
「わたしたちもみんなそうだよ。本命に落ちた時の用心のため。」
なるほど白鴻女学園はそういう位置にある高校だったのか。確かに伝統ある高校だったが、今や女子でも四年制の大学に行くのが主流だから、そうなると白鴻では難しいのだろう。白鴻女学園から大学へ行く人は白鴻女子短大に進むのが普通らしい。もともと白鴻女学園は白鴻女子短大の付属高校なのだ。そんなところに推薦でしか入試できないとは我ながら情けなかった。
「そう、オレも滑り止めなんだ。」
この場はそう言うしかなかった。
しかし、このことはオレにとっては良いことかもしれない。彼女たちが本命の高校に受かれば白鴻女学園には来ないわけで、オレには同じ中学出身の知ってる人が少ない方が恥ずかしくなくて都合がいい。

 受験会場の白鴻女学園に着くとあたりは女子ばかりだった。オレの他にも受験する男子がいたとしても、見渡した中にはひとりもいなかった。
教室に入っても男はオレひとり、他はセーラー服やブレザーや各中学の制服を着た女子ばかりで、暖房で暖かい教室の中は女の匂いに包まれていた。そんななか、オレは男ひとりで何とも落ちつかなかった。もしうちの中学からの受験者がオレひとりだったらと考えると、最初は困ったことになったと思った女子たちでも、同じ中学からの受験者がいることは有り難かった。

 受験勉強は付け焼き刃もいいとこだったが、それでも国語と数学は何とかなった。国語はもともと苦手ではなかったし、数学は必死に公式など暗記していた。ただもともと一番苦手な英語だけはどうにもならなかったが、それもいくつかの答えの中から選ぶタイプの問題だったから何とか助かった。

 もっとも、受験の前にオレが言われたのは、面接についてがほとんどだった。推薦の場合、面接が一番重要らしい。そこで何度も言われたことは、この白鴻女学園しか受けないということをしっかりと言えということだった。その時は良くわからなかったが、滑り止めとして受ける人が多いから、受かれば絶対来るという生徒は学校にとっても有り難いのかもしれない。

 面接も無事に済んでいつもの中学生活に戻ったオレは、他の生徒が本命の高校受験に本腰を入れるなか、もうすべてが終ってしまいボーッとしていた。もう授業もまともに無く、受験に行く生徒を引率するため先生たちも出払っていたから、ほとんど自習ばかりだった。
 たまに廊下でとなりのクラスの長谷川にばったり会ったりすると、自分達しかわからないくらいに、目で軽く挨拶を交わすこともあった。どうやら彼女も他の白鴻女学園を受験した女子も、オレの事は誰にも言っていないようで、クラスでオレが白鴻女学園に受験したことがバレることもなかった。


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 2週間もすると合格通知が届く者も出てきた。その日もいくつかの高校の合格発表があり、数人の同級生に合格通知が担任の手から渡されるのをオレは羨ましく見ていた。しかし、まだ滑り止めに受けた高校からのものがほとんどだったから、みんな手放しでは喜んではいなかった。オレは推薦だから合格するだろうとは思っていたが、それでも他の同級生たちとは違い一校しか受けていないから心配だった。もしも面接で落とされたりしていたら目もあてられない。
 数人に合格通知を手渡し、今日もオレのは無かったかと思っていると、担任はオレに一緒に来るようにと手招きした。
 オレが担任の井原について行くと、なんと着いたところは校長室だった。担任はノックをしてドアを開け、オレに先に入るように指図する。オレは何事かとビクビクしながら校長室に入っていった。

 そこには校長と、もう一人知らないバーコード頭の男が座っていた。オレが入っていくと校長とそのバーコード頭の男は立ち上がってむかえた。なんか場違いな状況にオレは緊張した。
「あー彼が戸田有希くんです。」
校長はオレをバーコード頭に紹介した。オレはわけも判らないままお辞儀をした。すると校長はオレにバーコードを紹介した。
「あーこちらは白鴻女学園の教頭の石渡先生です。」
それを聞いて思い出した。このバーコードは面接の時に会ったことがある。
「あ、面接の時はお世話になりました。」
「いやいや・・・」
バーコード教頭はやけに低姿勢な人だった。

 オレと井原は教頭の前にテーブルを挟んで並んで座り、校長は両方が見渡せる横に座った。
「戸田君、先日は我が校を受験してくれてありがとう。」
「あ、いえ・・こちらこそ・・・」
オレは何と言っていいのか全然判ずそう言った。
「ご存知のとおり我が校は来年から共学になるはずだったのですが、実はとりやめになりまして・・・」
「え?!」
オレは驚いた。
「えー実はですね、君以外受験者がいなかったのです。」
「はあ・・・」
オレは予想もしなかったことに気の抜けた返事をしてしまった。教頭はさらに話を続ける。
「それに当校の卒業生からも共学化には反対の声が多くありまして、本当なら戸田君にも他の学校を選んでいただくところなのですが、戸田君が当校しか受験していないことが問題になりまして・・・」
このころにはオレにも事態が飲み込めてきた、エライことになったと思いイヤな汗が出てきた。
「それで私と校長で話し合いまして、どうしても君が当校に入学することを希望するのであれば、特別に入学出来るように取り計らっても良いという事になったのです。」
「・・・・・・」
「ただ、少々申し上げにくい条件がありまして・・・」
「条件・・・ですか・・・?」
「もし君が女子として入学しても良いということであれば、受け入れようという話になったのです。」
「・・・・・・」
オレは担任を見て、それから校長を見た。どちらもすでにこの事を知っていたらしく、さすがに気まずいのかオレが見ると目線を逸らした。
「もちろん今すぐに結論を出さなくても結構なので、ご両親とも相談になられてから私に連絡いただければと・・・」
そう言って教頭は自分の名刺と、合格通知と共にオレの両親に宛てた手紙をオレに渡した。
「あーもし君が入学を希望すると決まれば、当校も協力するからその点は心配いらないからね。親御さんと十分話し合って決めなさい。」
校長はそう言ったが、オレはほとんど聞いていなかった。あまりのことに耳に水が入った時のようにボンヤリとしか聞こえてこなかった。


 オレはいつの間にか校長室を出て、井原と並んで廊下を歩いていた。
「エライことになったなぁ、戸田・・・」
「はぁ・・・」
オレは何を言ったらいいか判らなかった。
「女子としてなんてなぁ・・・おれも責任感じるよ。」
「・・・・・」
「でも中学浪人もキツイからなぁ・・・まあ、どうするにしてもおれも協力するから気を落とすなよ。」
井原はそう言ってオレの背中を叩いた。

 「あ!戸田君、合格通知もらった?」
教室へ帰る途中で長谷川と会った。
「うん・・・」
オレはそういって今もらってきた封筒を見せた。
「良かったね、わたしも合格したよ。でも本命に受かったらそっちに行くんでしょう?」
「うん、まあ・・・」
オレには本命どころか高校に行けるかどうかも判らなくなってしまった。
「もし本命に失敗したら、一緒の高校だね。」
「うん・・・そうだな・・・」
もしそんなことになったら、一緒のセーラー服で登校という事になってしまう。そんな事態だけは避けたかった。
「・・・長谷川さんは?本命は合格しそう?」
「まあまあ上手く出来たと思うんだけど。でも合格通知をもらうまではわからないわ。」
「合格することを祈ってるよ。」
それはオレの切実な本心だった。


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 全員そろっての夕食後、オレは例の話を切り出した。
本当は妹はいない方が良かったが、何度も同じ話をするのも恥ずかしい。どうせなら一度に済ませた方が楽だと考えたわけだ。
「ちょっといいかな・・・」
三人の目が一斉にオレに向くとさすがに言うのをやめようかという気になってくる。
「なに、有希?」
まっ先に聞いたのは母だった。
「実は今日・・・合格通知をもらったんだけど・・・」
「合格したのか!良かったじゃないか。」父が言うと
「良かったねぇ、お兄ちゃん!」と妹も言った。

「・・・それが・・・そうとも言えなくて・・・」
オレが母に教頭から預かった手紙を渡すと、手紙を開く母に頬を寄せるようにして父も手紙を横から覗いた。
「なになに〜?何て書いてあるのぉ?」
妹の麻衣も両親の後ろから覗こうと右に行ったり左に行ったりしている。

 手紙を読んだ両親はいつになく真面目な顔でオレの顔を見た。
「これって、どういうこと?」
「お前、女として入学するのか?」
「え〜お兄ちゃん女になるの〜?!」
やっぱり思ったとおりの反応だ。
「入学するなら、そういうことになるらしい・・・」
四人ともしばらく黙り込んでしまった。

 最初に口を開いたのは母だった。
「でも・・・いいんじゃない?わたしは有希がそうしたいなら、それでいいと思うわよ。」
すると父も
「そうだな。今から他に行ける高校もないだろうから、向こうさんが受け入れてくれるなら、それも良いんじゃないか?」
これは思ってもみない反応だった。オレは内心、両親は反対してくれるだろうと思っていたのだ。
「え?とうさんもかあさんもオレが女として入学してもいいの?」
いやいや、そうじゃない!こんな言い方ではオレ行きたがってるみたいじゃないか!内心そう思いながらも、これを受け入れなければ中学浪人だということも頭に浮ぶ。オレは実際、自分自身でどうしたらいいのか、まったく判らなくなっていたのだ。だから本当は両親に反対してほしかった。そして何か別の道を考えてほしかったのだ。

 しかし、事態はまったく違う方向へ動きだしてしまった。
「そうかぁ、有希もとうとう女学生になるのか・・・」
父は腕組みをしてなぜか感慨深げだし
「有希も女の子として通うんなら、見た目は良いとしても、もう少し丁寧なしゃべり方しないといけないわね。」
などと母はもうオレが女になることに決まったような口ぶりだ。
「あたしもお兄ちゃん、あのセーラー服似合うと思う!」
麻衣までそんなことを言うしまつだ。
三人は、あっけにとられるオレを尻目に、オレが女になることを肴に大いに盛り上がっていた。
オレはいたたまれなくなり、二階の自分の部屋にさっさと引き上げてしまった。


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 10時をすぎたころ、妹が階段を上がってオレの部屋の前を通り、自分の部屋へ入ってドアを閉める音がした。オレはベッドに横になったまま、壁に耳をつけ気配をうかがっていると、しばらくして“カチカチ”電気を消す音がした。どうやら寝たようだ。
 オレはそのまま寝転がっていたが、妹が寝静まったのを確認すると静かに起き上がった。そっとドアを開けて階下をうかがう。すると静かな中にも人が動く気配があった。オレは音を立てないように部屋を出てドアを静かに閉めると、ゆっくりと音をたてないように階段を降りていった。

 「有希、どうしたの?」
いつの間にかリビングにいたオレに母が気づく。
「もう寝たのかと思った。」
「とうさんは?」
「書斎に籠ってるわ。何かいいアイデアでも思いついたんじゃない?」
「ふ〜ん・・・・」
オレは気のない返事をした。
「なにか言いたいことがあるんじゃないの?」
母にそう聞かれたが、オレは何が言いたいのか自分でも良く判らなかった。ただ、母ならオレが何を言いたいのか判るのではないかとぼんやりとだが考えていた。
「有希、ちょっといらっしゃい。」
母はそう言ってオレを両親の部屋へ連れていった。

 母は真っ暗な部屋へ入っていくと白い壁に反射するように置かれた白熱灯のライトだけをつけた、するとオレンジがかった明かりの中で壁に掛けてあるセーラー服がオレの目に飛び込んできた。
「この前、有希が白鴻女学園を受験した後、急に気になって引っ張り出してみたの。白線が少し黄ばんでたけどクリーニングしたらだいぶきれいになったわ。」
母はそう言って自分の青春が詰まっているであろう制服を愛おしそうに撫でた。

 オレはまるで吸い込まれるように部屋へ入り、壁のセーラー服に近づいていった。なぜか床が柔らかくなったような感覚がして足元がおぼつかない。頭は思考を止め、まるでこの部屋だけが異空間のように現実味を失ってしまったようだ。
 オレは夢を見ているのだろうか・・・本当のオレは2階で寝ていて、階段を降りてきたのは夢の中のオレなのではなかったのか?
 オレはいつの間にか母と並んで壁のセーラー服を見つめていた。
「有希・・・ちょっと着てみない?」
「え?!」
驚いてはみても、それも現実感がなかった。
「有希はもう入学することに決めてるんでしょう?」
そう言われるとそんな気もする。オレはいったいどうしたいんだろう・・・
「だったら一度着てみた方がいいんじゃない?入学したら毎日着て行くんだから。」
「うん・・・」
オレはいつの間にかそう答えていた。

 着ているスウェットの上下を脱いでいく。なんだか手の感覚もまるで自分のものじゃないみたいだ。オレはブリーフ一枚だけになった。
「そのままでもいいけど、着にくいかもしれないわね。ちょっと待ってて・・・」
母は自分のタンスの引き出しを開けてスリップを持ってきた。それを手にとったオレはそのツルツルする初めての感触に身体が熱くなってきた。
 どっちが前か解らずにいると、母が両手にスリップを裾からたくし上げ、オレに手を通すように促した。オレは両側の肩ヒモに腕を通すと、真ん中に頭を入れてかぶるようにした。そして身体にそって滑らせながら降ろし、やっと着ることができた。細身の母のスリップは少し小さく、腰とお尻の部分が少し窮屈だった。

 オレがスリップを着ると、母はセーラー服をハンガーごと降ろしてベッドにそっと置き、スカートを外して横のジッパーを降ろしオレの足元に開いた。オレが片足ずつスカートに足を通すと母はスッと持ち上げて腰の横の部分に付いたホックを留め、ジッパーを上まで上げた。
 こんどは上着だった。これも横のジッパーを上げた状態ではどこがどこなのかわかりにくかった。オレは母の指示に従って右腕を通し、左腕を通し頭を入れた。しかしその状態ではまだ不安定だった。横のジッパーを降ろし、胸の三角のペラペラした部分をホックで留めて裾を少し引っ張ると、やっとセーラー服の形に安定した。そして両方の袖のホックを留めたが、母の制服ではさすがに手首の部分がきつかった。
 最後は三角に折ったスカーフを衿の下に通し、胸元でリボンのように結ぶと完成だった。
だが、母はしきりにスカートの腰の位置を気にしている。
「やっぱり有希は男の子だから腰の位置が違うのねぇ。サスペンダーを付けた方がいいかもしれないわ。白鴻の制服は女の子でも腰の位置が低い娘はスリップが見えないようにサスペンダーで調節するのよ。」
母はとりあえずちょうどいい場所でスカートを待ち針で固定すると少し離れてオレの全身を見た。
「やっぱり思ったとおり似合ってる。かあさんが若いころにそっくりよ。・・・ちょっと待って・・・」
母はベッドの脇に置いたバッグから携帯を取り出して写メを写した。

 「さあ、こっちに来てごらんなさい。」
母は後ろからオレの肩を両手で支えて部屋の片隅へと連れていく、オレはまるで歩き方を忘れたようにフラフラと肩を支えられながら誘われていく。そしてオレと母は姿見の前に立った。

 そこにはセーラー服を着た少女がいた。もしも後ろに両肩を支えている母がいなければ、その手の感触をオレの肩が感じていなければ、その少女が自分なのだとは、とても信じられなかっただろう。
「ほら可愛いでしょう。」
母の手がオレの頭を撫でると、鏡の中の少女は恥じらいに頬を紅潮させた。
オレの耳の中ではドクドクと心臓の音が鳴り響いていた。胸元に目を移すとセーラー服の左胸が鼓動で大きく波打っている。オレは喉がカラカラで声を発することも出来そうになかった。股間もまたブリーフの中でギンギンに硬くなりドクドク脈打っている。
「どう?かあさんが言ったとおりでしょう。」
「・・・ぅ・・うっ・・・」
オレは返事をしようとしたが、やはり上手く声が出なかった。オレはゴクリと喉を鳴らした。
「これなら有希が男の子だと思う人はいないと思うわよ。安心した?」
オレが小さくうなずくと、鏡の中の少女もコクリとうなずいた。




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