コンビニから広がる物語
早朝からのコンビニバイトは正直だるい
「いらっしゃいませー」
「らっしゃーせー……」
店長にならって自動ドアを抜けてきたきた客にあいさつする。眠い。すごく眠い。ただいまの時刻は朝の6時半。通勤ラッシュだ。
「ちょっとー居酒屋みたいな言い方しないの!!!」
店長が朝からウザい。テンションおかしい。
「店長。俺眠いんで仮眠とってきていいっすか」
ダメに決まってんでしょうがバカッ!と殴られた。客に苦笑いされてんのが見えんのかと言いたいが目がマジで切れてたので黙っといた。
が、目は口ほどにものをいうのよ!とまた殴られた。アンタの目がまさにそうだよと思ったので目を伏せた。殴られなかった。
「何だよそれ。もはや言いがかりじゃねぇーか」
「口調!!」
拳を振り上げてきた。何度も殴られるのも癪なので
「言いがかりじゃねぇーっすか」
と言い直した。
「君ねぇ。髪を紫に染めてきたときに辞めてもらってもよかったんだけど?真面目に働くからってお願いしてきたよね。夜中なのにワザワザコンビニまで来てさぁ」
「そうっすね。あのときはイライラしてて申し訳なかったっす。じゃあとりあえず俺は1人でレジ打ちするんで店長は品出しでもやればいいんじゃないすか」
「楽な方!!それ楽なヤツだよ。最近の君のレジ打ち率他のバイトの追随を許さないレベルだよ?!だからオレとしか組めなくなってるんだよ?妥協しろこのやろー!」
「俺にとっては楽じゃないんで。むしろ搬入のが楽なんで」
レジ打ちじゃないと謝りにくいんだよ。土色の髪のあの子に。
「そのガラの悪さじゃそうだろうね!!子ども泣かせないようにね!あの子も泣かせないようにね!」
ガラ悪いと思ってるのに俺のこと殴るんだな馬鹿だな店長と思ったので目を合わせないようにした。
「店長ウゼェ」
「口調!オレはウザくない!」
「店長仕事してください。搬入の時間ですそろそろ」
「ウッザ!!君そんなときだけ丁寧とかウッッザ!!」
店長がグズグズレジから出て行かずにいたので蹴りだした。バックキックを食らったが追い出すことに成功した。
客をさばきながらさっきの店長の言葉を反芻する。
ほんの1週間前までは子どもに泣かれようがどうだってよかった。けれd……
来店を告げる音に意識が持っていかれる。条件反射で
「らっしゃーせー」
と言うと。
「ひぃ~~~~~!!」
と叫び後ずさる。土色の髪の子だ。店長はミルクティー色というが土色で充分だ。変なあだ名付けてきたし。
「コラー!!怖がらせない!!」
と店長が客の顔も見ずに俺を怒る。店長は耳がいいから搬入口だろうが店外だろうが怒る機会を逃さない。そろそろ血管切れるてか切れろ。
大体この子がビビるのは俺のあいさつが問題じゃない。ここで俺を怒るのはおかしい。
「ごめんなさいホントにすいませんでしたごめんなさい。ドア開くときに真ん中通ってしまいました端に生きると言いながら真ん中に浮気してしまいましたごめんなさいごめんなさい殺そうとしないでください不可抗力ですすいません」
ペコペコと必死に頭を下げてくるこの子はこの前イライラしていることに同意し、ケンカ買ったのか売ったのかわからないまま逃げていきコンビニで再会した普通の見た目のクセにぶっ飛んだ危ない奴だ。口を挟むこともままならないままペースを狂わされ、まともに会話をしようとしても上手くいかない違う意味で悪い奴だ。
「あの怒ってますか怒ってますよね普通に考えろバカだろお前ですよねすみませんホントすんません考え足りなくてすみません」
伺うように頭を半ば下げた状態で聞いてきた。ここで素早くこたえないとガンガン誤解されていくので
「いや別に怒ってないけど」
と若干早口で言い、気にすんなよと軽く笑う。
ペコペコの速度が上がった。何故だ。
「うっわぁ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃいい!!僕がすべて悪いんですすみませんんん!!」
「紫君また泣かせたのー?」
ニヤニヤ笑いながら店長がこちらの方に寄ってきた。紫君なんてあだ名をつけたのは土色の子だ。ミルクティー色とは断じていうつもりない。
「店長さん待ってください。まだ泣いてません!!真ん中を通った僕のせいなんです」
まだねー。まだだってさ。泣くみたいよー紫君~?コソコソ耳打ちで喋ってくる店長の鳩尾に拳を入れた。呻くこともなく殴り返された。沈んだ。俺一応不良なんだけど。
「おはよう。紫君最近ずっとレジ打ちでねー。搬入に入ろうとしないんだよ。まったく困っちゃうよねー。なんでだと思う?」
「え!サボってばっかりだと思ってました!!スゴイですね紫君」
輝く笑顔で言ってきた。鳩尾入れられて沈んでることには触れないんだな。おーけー。やっぱこいつケンカ売ってたのか。少しイラッときた。
「あははは!面白いねキミ。怖がるだけじゃないんだね。名前なんていうの?」
店長が少年の肩を叩きながら笑っている。
「え?何言ってるんですか店長さん。ビビりで弱っっちぃ人間ですよ」
肩を痛そうにすくめながらこたえた。俺も知らないのに名前を先に聞き出そうとするのか。鳩尾はまだ痛いがそれどころじゃない。
「うんうん。で、名前は?」
「名前なんて聞いてどうするんですか。つまらないですよ?」
「いいから早く言おうか」
「えぇ!!」
店長の猛攻をかわそうと必死になっている。早く帰れよと念じた。伝わったのかわからないが、
「あぁ!!もうこんな時間だ!!遅刻しちゃう!」
慌てて自動ドアから出て行った。土色のあの子の名前はまだ知らなくていい。
「君ー。足止めしてよね」
「店長8時半なんで俺上がりっす。あざっしたー」
「え。もうそんな時間なの?!ヤバイ商品搬入口なんだけど!手伝って」
冗談じゃない。こっちだって学校がある。
「アレなにそのさわやかな笑顔。そうゆうふうに笑えるならあの子にも笑ってあげなよ。てそうじゃなくて」
「店長。俺学校あるので、すみませんがおひとりで頑張ってください」
「だ よ な!!言うと思ったよ!ウッッザいなー!!!!」
これからバイトの時は店長と土色の少年が絡まないように気を付けよう。後ろから何かギャーギャー言ってくるが無視しよう。
「口だけで引き留めると思ったかコラー!」
殴られて蹴られて引き留められた。今から品出ししてたら遅刻だ。だから早朝からのシフトはいやなんだ。
「そんな顔しないの。あの子に対して気付いたこと言ってあげるから機嫌直して」
「…………なんすか?」
「君と同じ制服じゃない」
「気付いてるわ。バカ店長。2個下だったわ。1-3だったわ」
「口調!バカ言うな!そこまで知っててなぜ名前知らない?!」
「手ぇ上げるの早くないっすか。痛い」
手をいつ振り上げたのか見えなかった。名前は本人から聞いた方がビビられないなと思ったんだよ。
「全く。全然会話できてないから心配してあげてんのに」ストーカーに進化してるしうわーおまわりさんこいつですー。棒読みで指差しながら言ってきた。
うわウゼ……。
「まあいいや。あのねー。あの子の話を一々拾ってたらペース飲まれるよ。話半分に聞いときな」
「なんとなく気付いてるっす。怖がられてるから切り込みにくいだけっす。店長無視されてたっすよね。こたえかえってこなかったすもんね。あれはウケるっす。 じゃあそろそろ1限目に入ろうとしてるんで失礼しますね。お疲れさまでした」
「ウケないわ。待てあと半分だろ。どうせサボるじゃん行くなよ」
あーもうだるい。だるいけど走って逃げるしか道はないな。
コンビニの制服のまま荷物を回収して高校の門が見えるまで全力疾走した。
放課後のバイトのときどんな報復があるか心配だ。
あーコンビニバイトだるい。
喜んで書き上げた1日くおりてぃー。またビビり君目線で書きたいですこの場面。
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