今年4月、首相官邸にドローンが落ちてきて騒ぎになりました。ドローンやUAV(Unmanned Aerial Vehicle)とは遠隔制御される無人機のことで、ご存じのとおり軍事の世界ではいまや最前線で運用されています。

軍用無人機の分野において、中国は日本よりもはるかに先を行きます。中国はかなり前から無人機を運用し始めていて、BZK-005のようにすでに尖閣諸島などで任務に就いている機体もあります。ISR型のみならず、「CH-4」や「利剣」といった攻撃型も開発中です。研究・開発にお金を掛けられる環境もあってか、中国では無人機に関して次々といろんなコンセプト案が現れ、実機を製造して試験段階のものも多くあります。

そんな中国で先日、風変わりな無人機の写真がネットに出回りました。その無人機は双胴型で、他国に類を見ないシルエットです。名前は 神雕 (しんちょう、英:Divine Eagle)、神の鷲という意味です。中国の軍事力増強は脅威ですが、その一方でとりあえず何でも作ってみようという思考とそれをカタチにできる資金力は素直にうらやましいです。経済力という背景があればこそ、こういう面白いUAVが試作されるのだと思います。

Divine Eagle01

写真などをもとにイメージ絵を描いてみました。ただ、神雕と見られる写真はかなり不明瞭なものなので、ほとんど推測です。エアインテイクのところとかいろいろ不明ですし。

Divine Eagle02

神雕はこれまで知られている中国の無人機の中では最大の機体です。上記のとおり、機体前後にAMTI(空中移動目標識別)AESAレーダーを、機体中央ブームにAMTI、合成開口レーダー、GMTI(地上移動目標識別)AESAレーダーを搭載して360度全周をカバーしています。AMTIやGMTIで空中と地上/水上目標の追跡及びターゲッティング情報の供給、SARによってさらに詳細な画像情報を供給するというもの。ステルス機を発見するための早期警戒機という位置づけのようです。

また、早期警戒機としてだけではなく、対艦弾道ミサイル「DF-21D」の目標指示のために前方展開することも考えられているそうです。これは、DF-21D以外の巡航ミサイルのターゲッティング・ノードとしても使うことを示唆しています。A2AD戦略を実行するためには、超水平線(OTH)を見るための “目” の整備は不可欠で、無人機がその一翼を担っていくであろうことは間違いありません。神雕もこうした文脈の中から生まれてきたものです。

神雕はあくまでも研究・開発段階の機体ですし、現在伝えられているだけの情報ででアレコレ言うのも無粋かな、という感じですが、果たして実用化されることになるんでしょうかねえ。

ちなみに本稿は、Blenderで神雕を3Dモデリングしてみたかっただけの記事ですm(__)m


【ついでに無人機関連の過去記事も紹介しておこう】