安保法案:安倍首相のネット番組 例え話の通信簿は?

毎日新聞 2015年07月13日 22時05分(最終更新 07月14日 11時40分)

インターネット放送に出演し、徴兵制や安保関連法案などについて話す安倍晋三首相。左は自民党の丸川珠代参院議員=東京・永田町の同党本部で2015年7月13日午後9時6分(代表撮影)
インターネット放送に出演し、徴兵制や安保関連法案などについて話す安倍晋三首相。左は自民党の丸川珠代参院議員=東京・永田町の同党本部で2015年7月13日午後9時6分(代表撮影)

 ◇法案説明の自民党番組に計5日出演を終える

 安倍晋三首相は13日、安全保障関連法案を説明する自民党のインターネット番組への計5日にわたる出演を終えた。各種世論調査で「政府は説明不足」とする回答が8割に上るなか、首相は例え話を多用することで「分かりやすさ」をアピールしたが、身内の番組で首相に厳しい質問はほとんどなし。「見ているのは党員だけ」と効果を疑問視する声もある。

 「強盗に入られたスガさんから『安倍さん、家に来て一緒に強盗と戦って』と言われても私は助けられない。安倍家が危ないわけではない」

 首相は7日の番組で集団的自衛権の行使ができない事例をこう説明。逆に行使可能なケースは「私をやっつけようという不良が(一緒に下校中の)アソウさんに殴りかかれば私も対応する」と述べ、日本への攻撃の危機が差し迫っていれば行使できると強調した。

 ただ、こうした説明では危機の際に自衛隊がどう対処するのかなど具体的なイメージが持ちにくい。野党から「軽すぎる」(民主党の辻元清美氏)との批判が出たが、菅義偉官房長官は「できる限り分かりやすくするために、例え話で説明された」と擁護した。

 ネット番組への首相の連日の出演は異例だ。野党議員や司会者を相手にする国会やテレビ番組と違い、突っ込んだ質問はない。国民の理解につながるかは不明で、政府・与党にも「内輪で予定調和的だ」(官邸関係者)との指摘がある。

 首相は6日の党役員会で「テレビにも出たいがオファーがない」と語ったが、若手勉強会で報道機関への圧力発言が問題になったばかり。党内でも「首相を出演させた上で文句を言われるんじゃ、テレビも使いづらいだろう」(若手議員)と冷めた見方もある。【前田洋平、樋口淳也】

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