小浦雅和、倉富竜太
2015年7月14日11時50分
福岡県は14日朝、同県豊前市のミカン園の一部の畑を強制収用する行政代執行に着手した。東九州自動車道の事業用地として、県や西日本高速道路(ネクスコ西日本)が明け渡しを求めていたが、「工事で地下水脈が分断されると、ミカンの栽培が続けられなくなる」とするミカン園主の岡本栄一さん(69)が応じなかった。作業は同日中に終了する見通し。
強制収用の対象となっているのは、岡本さんが所有するミカン園(約12ヘクタール)のうち約1・4ヘクタール。東九州自動車道の未開通区間(7・2キロ)の椎田南(同県築上町)―豊前(同県豊前市)間にある。
午前6時56分、大崎準之・県土整備部次長が開始を宣言。県やネクスコ西日本の関係者約200人が次々とミカン園に入った。
ベニヤ板のバリケードを撤去し、ロープを張ってネクスコ西日本と岡本さんの土地の境界線を確定。その後、チェーンソーでミカンの木を伐採、重機2台で土地を掘り起こしていった。
岡本さんはミカン園中腹にある資材小屋の中にいたが、午前11時、職員ら4、5人に抱きかかえられて強制退去させられた。
支援者1人は、強制収用を見越してミカン園の農業用倉庫のそばに建てた櫓(やぐら)に朝から上り、抵抗を続けた。作業員十数人が取り囲み、「すみやかに下りてください」と何回も呼びかけた。
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