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被爆体験を英議会で証言 広島の女性 ネット中継で
英国・ロンドンの国会議事堂と原爆資料館(広島市中区)をインターネットで結び、被爆者が70年前の被爆体験を語る催しが16日に開かれることが13日、関係者への取材で分かった。英議員側からの呼びかけに広島市が応えて実現。市が主体的に関与し、米国を含む核保有国の国会議事堂内で被爆体験が証言されるのは初めて。
催しの会場は英国会議事堂の上院委員会室。上・下院議員をはじめ、160カ国・地域の6733都市が加盟している「平和首長会議」(会長・松井一実広島市長)の加盟都市、英イーストボーン市の市長ら約70人が参加する。広島市側は原爆資料館の一室に、被爆者や平和首長会議の事務総長を兼ねる小溝泰義・広島平和文化センター理事長ら約10人が集まる。
インターネットのテレビ会議を通じて、午後6時半(英国16日午前10時半)から始まり、被爆者の梶本淑子さん(84)=広島市西区=が通訳を交え、約40分間にわたって証言する。
今年4月、広島市を訪れた英国上院顧問、ロジャー・プレンティス氏が小溝氏に「英国議会と平和首長会議の連携を強固にするため協力を」と持ちかけ、催しが実現することになった。
梶本さんは昭和20年8月6日、学徒動員により広島市西区三篠本町の軍需工場で働いていた。爆心地からは2・3キロ。市中心部で炸裂(さくれつ)した原爆の爆風で建物の下敷きとなり、腕に飛び散ったガラス片が突き刺さった体験を持つ。自宅で被爆した後、梶本さんを3日間捜した父親は1年半後に吐血して死亡したという。梶本さんの証言に続いて30分間の質疑応答もある。
梶本さんは「国の指導者らに被爆の実相を語り、自分のできる方法で活動していけば、大きな波紋となって核兵器廃絶につながると訴えたい」と話している。