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全国900近くの自治体「借金返済資金」別費用に
7月14日 11時47分

地方自治体が発行する「臨時財政対策債」という、借金の返済に充てるため国が交付している資金が、別の費用に使われるケースが相次ぎ、全国900近くの自治体で、総額5700億円余りにのぼるとみられることが、NHKの取材で分かりました。専門家は、将来的に自治体の財政を圧迫する要因になる恐れがあると指摘しています。
「臨時財政対策債」は、国が地方交付税に回す財源が不足しているとして、不足分に限って平成13年度から地方自治体に発行が認められたもので、返済に充てる資金は国が地方交付税に加算して自治体に支給しています。
しかし、厳しい財政状況のなか、支給された資金を返済には充てず、政策を実行する費用など別の目的に使う自治体が相次いでいることがNHKの取材で分かりました。
総務省が公開した資料によりますと、そうした自治体は、平成25年度までに、23の道府県と869市町村の合わせて892と、全自治体の半数を超え、借金の返済に使われなかった額は合わせておよそ5715億円にのぼる計算です。道府県で最も多いのは、福岡県で395億円、次いで▽千葉県の386億円、宮城県の365億円、となっているほか、市町村でも、京都市で214億円、広島市で95億円▽福島市で41億円となっています。
「地方交付税」として渡された資金をどのように使うかは、自治体に任されていますが、将来的には自主財源から返済費用を賄う必要が生じると見られ、地方財政が専門の大阪大学の赤井伸郎教授は、「将来的に自治体の財政を圧迫する要因になる恐れがある」と指摘しています。

臨時財政対策債とは

「臨時財政対策債」は、国が地方交付税に回す財源が不足しているとして、その不足分に限って、平成13年度から国が地方自治体に発行を認めていて、自治体の借金に当たるものです。
全国の道府県や市町村のほとんどが「臨時財政対策債」を発行していて、平成24年度末の時点での全国の自治体の発行残高は40.6兆円に達し、地方の借金全体のおよそ30%に達しています。
返済に充てる資金は、国が毎年、「地方交付税」に加算して支給することになっているため、実質的には国の借金ですが、地方自治体が支給された資金を別の目的に使ってしまうと、将来的にはその分の返済費用を自治体の自主財源から賄う必要が生じる可能性があるとみられます。

「やりくり難しく返済に充てる余裕ない」

京都市は、臨時財政対策債の返済に充てるため国が交付している資金のうち、214億円を別の費用に使っていて、全国の市町村の中で最も多くなっています。
京都市の上田千喜財政課長は「一般財源はピーク時よりも400億円程度下がったまま回復をしていない状況だ。一方で、福祉関係の支出は高齢化などで右肩上がりで、やりくりは非常に難しく、返済に充てる余裕がないのが実情だ」と話しています。

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