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山崎豊子さん「非戦の原点」綴った日記見つかる 大阪大空襲「この無惨、惨状…」 思いを寄せた男性との記述も

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山崎豊子さん「非戦の原点」綴った日記見つかる 大阪大空襲「この無惨、惨状…」 思いを寄せた男性との記述も

19歳の頃の山崎豊子さん(山崎定樹さん/新潮社提供)

 母とともに燃えさかる家を離れたが、14日昼頃に帰ると、焼けた家を前に「悄(しょう)然(ぜん)とたたずむ父の姿」を見た。

  

 「ああ、家は焼かれていた。(中略)ああ、一望、焼けのが原だ。この無(む)惨(ざん)、惨状、戦争は絶対いけないものだ」

  

 一方で日記には、思いを寄せていた「N」という男性と再会、その1週間後には出征した彼との別れを惜しむ記述もある。山崎豊子文化財団事務局長で、おいの山崎定(さだ)樹(き)さん(55)は「小説とはまったく違う文章で、知らなかった叔母の一面を見た思い。戦争を書き続けたことはもちろん、作品につながるさまざまな原点がこの日記にあるのでは」と話す。

 山崎さんは大正13年11月3日生まれで享年88とされてきたが、実際は同年1月2日で享年89だったことが今回分かった。新潮社が明らかにした。

 山崎豊子さんの編集者を務めた新潮社の矢代新一郎さんの話 「『暖簾』『花のれん』などの作品に大阪大空襲の場面はあるが、過去を振り返って語ることをあまりしない人だった。戦争体験を語り、エッセーにも書いたのは晩年になってから。原点となる貴重な資料が見つかった。日記は読みやすく、作家になる前から文章がうまかったことも分かる」

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