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2015
07/13
Mon

国民は許すか ? 全面降伏のチプラス

day by day

 (22:05)ユーロ圏サミットがちっとも合意できないので昼頃しびれを切らして私は外に出てしまったのですが、結局合意が発表されたのは日本時間の午後5時前ですか。そのころには私はもう奈良を一回りし終えていました。

 マーケットが落ち着いたのは良いことですが、「主権も何もあったもんじゃない」という私の印象は当たっていました。今ちょっと見た海外の記事にも、ギリシャにとって厳しい単語が並ぶ。

 「Greek government's near-total surrender to creditors' demands」

 「surrender much of its sovereignty to outside supervision」

 「Greece must henceforth subject much of its public policy to prior agreement by bailout monitors」

 「Clearly the Europe of austerity has won」

 「German protectorate」

 最後は強烈です。チプラスも最後は同意した500億ユーロのギリシャ国家財産の移管先を最初はドイツはルクセンブルクに置く自国の開発銀行が使うスキームを使って管理しようとしたらしい。ロイターには「Berlin initially wanted to use a structure in Luxembourg managed by its own national development bank, KfW」とある。そんなことをしたら、「ギリシャはGerman protectorateじゃないか」という経緯。「German protectorate」とは、要するに「ギリシャがドイツの保護国、保護領になる」ということです。

 結局この500億ユーロはアテネの勘定に移管されるらしい。しかしよくチプラスが「国家資産(空港や港湾)の移管」に同意したものだ。それだけ苦しかったのでしょう。もう経済がにっちもさっちも行かなくなっている。銀行も潰れそう。

 それにしてもメルケル首相には厳しい質問が飛んだようだ。「Asked whether the tough conditions imposed on a desperate Greece were not similar to the 1919 Versailles treaty that forced crushing reparations on a defeated Germany after World War One, she said: "I won't take part in historical comparisons, especially when I didn't make them myself."」と。

 ドイツは先の戦争後、一番賠償を(アメリカなどから)放棄してもらった国なのに、今の厳しいギリシャへの姿勢は、1919年のベルサイユ条約(ドイツは厳しい賠償を支払わされた)に似ていないかい」と問われていた。きつい質問だが、一理ある。

 水曜日までにチプラスは議会で「value added tax, pensions, quasi-automatic budget cuts if Greece misses fiscal targets, new bankruptcy rules and an EU banking law 」など六本の法律を通過させねばならない。そこからやっとギリシャと債券団の交渉が始まる。多分、「出来なければ、ギリシャは銀行も破綻し、経済も社会もばらばらになる」と言って国内説得に当たるのでしょう。

 でもそれは、今までの彼の主張とはあまりにもかけ離れている。自らの党の閣僚・党員、それに最後は国民が黙認するかどうかです。

21:35
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