行ってきました、初めてのチーム8。正直右も左も分からない状態で行ったチーム8。昨年チーム8が発足された事は勿論耳に入れていたけれど、先輩メンバーと絡む事もなく独自の環境で育っていく彼女たちを“見つける”きっかけがこれまで無かった。AKB48の選抜にも入ったりしている鳥取県代表の中野郁海さんや、北海道代表の坂口渚沙さんの事は何となく把握していたし、タイムラインに流れて来る写真から岩手県代表の佐藤七海さんが可愛いなぁなんてiPhoneに画像を保存したりはしていたけれど、集合体としての彼女たちを見るタイミングがこれまで無かった。だから行く前にせめて劇場公演をDMMで購入して見て行こうと思っていたのに、チケットが当選してからあっという間にこの日を迎えてしまい、テストにノー勉で挑むような心地を久々に味わった。
けれども行ってみたらめちゃくちゃに楽しかった。「チーム8ってこんな事やってるんだ」の目白押しで、まず前座は高知県代表の廣瀬なつきさんによる、広末涼子さんの「MajiでKoiする5秒前」。
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その他にも、着替えが終わるまでの5分程度1人でトークをするコーナーや、メンバー全員分の誕生日(西暦を含む)を暗記したものを披露するコーナーや、関西メンバーで始まるコントコーナーや、曲の間も本人たちにとっては修行とも呼べるコーナーが数多く用意されていて、どれもこれも新鮮に驚き新鮮に楽しめた。昨年の秋にAKB48のチームKが同じ場所に公演をしに来ていて、それも見に行っていたが、それとは全く別物と言えるくらいオリジナリティ溢れる内容で、本人たちもスタッフたちも手探りな状態ながら、とにかく楽しいと思える事をやっている気がして、こちらも飽きる間もなく時間が過ぎて行った。
「47都道府県の代表メンバー47人で構成する」っていうのは、とてもキャッチーだなと思っていて、日本で生まれた人であれば誰しも必ず1人のメンバーと共通項を持つ事が出来るのである。その子の事を推すかどうかは別問題かもしれないが、他の46人に比べてその1人だけが自分の中で特別枠になってしまう気持ちが芽生える。これは私が地方の出身だからというのもあるかもしれないが、高知県代表の廣瀬なつきさんに対しては、特別な感情を抱くしかなかった。彼女が高知の何処の出身かは知らないけれど、高知の街中を数年前まで普通の学生として生きていた情景が思い浮かぶ。自転車で帯屋町を駆け抜けていたかもしれないし、夏になったらよさこい祭りに参加していたかもしれない、そう考えるだけでグッと彼女に対する親近感が湧いてしまう。全く知り合いでも何でもないので、他のメンバーと距離感は全く変わらないはずなのに、ごく一方的に親戚の子ぐらいの距離感で見つめてしまう。そんな魔法があるなと思った。
あと私はアイドルのふくらはぎを見るのが好きなのだが、これは全く変な意味とかではなく、ふくらはぎにぷっくり筋肉が盛り上がっている子を見ると安心してしまう。彼女はきっと部活に打ち込んでいた日々があったり、幼い頃田舎を走り回っていたのかもしれないと、これまた勝手に情景が思い浮かんでしまって安心するのだ。勿論綺麗な形をした脚も魅力的だが、ちょっと不恰好なくらいがちょうど良い。そんな気持ちを思い出させてくれるのがチーム8の雰囲気だった。垢抜けた子も勿論いるのだが、後半でセーラー服を着た彼女たちを見た時に、そのリアリティに圧倒されてしまった。売れっ子アイドルが着ていても最早それは「衣装」以上の意味を持たない場合もあるセーラー服、それを各都道府県から集められた彼女たちが着た瞬間に、同時に革の鞄やダサいローファーだとか、二人乗りの自転車だとか、帰り道の海の香りだとか、そういったものが一気に思い出されて、これこそがまさに「セーラー服」の持つ本当の威力だなと思った。
最後に「夕陽を見ているか?」の冒頭で、高知県代表の廣瀬なつきさんが挨拶をした。そこで彼女は「これまでの私の活動は順調と言えるものではありませんでした」と語って泣き始めた。自分の地元公演で感極まるものがあったのだろうと思ったが、そんな廣瀬さんの様子を見た他のメンバーまで一緒に泣き始めるのである。全国ツアーの初日でも千秋楽でもない普通の公演で、こんなにもメンバーが泣いている姿を未だ嘗て他のアイドルのコンサートで見た事があっただろうか。目にいっぱい涙を浮かべて「夕陽を見ているのか?」を歌うメンバーを見て、私も泣くしかなかった。彼女たちが眩し過ぎた。圧倒的青春の瞬間が私には眩し過ぎた。一生懸命物事に打ち込んで、死に物狂いで何かを成し遂げて、仲間と一緒に涙を流せる瞬間が、私の人生にあと何回あるのだろうと考えると余計にその瞬間が儚く思えて泣けてきた。もしかしたらゼロかもしれないと思えば思う程、ステージの上で綺麗に零れ落ちていく彼女たちの涙に便乗するしかなかった。そもそもほとんど彼女たちの事を知らずに行ったくせに、たった数時間で感動に便乗しようなんて厚かましいにも程があるけれど、少女たちの強さが眩しかった。
そんな訳でまだまだ続くであろう全国ツアー、四国はまだ高知が一番手だったようなので、他の3県に来る際にはもう1度くらい見に行きたいなんて思ってしまった。最後に1曲だけ携帯のみ撮影可能とされた撮影タイムに撮った写真を載せておく。一億総パパラッチ時代と呼ばれる今、それを逆手に取って一億総カメラマン時代にしてしまう、この撮影タイムも面白い試みだなと思った。撮った人はこうしてSNSに載せるだろうし、そうするとまた別の誰かが興味を持つかもしれない。広告費要らずの宣伝効果が見込める試みに私も踊らされたいので、この私の記事を見て今度は別の誰かが踊ってくれる事を願いながら、思い出の写真を貼り付けてみる。