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■高村正彦・自民党副総裁

 憲法学者の水島朝穂・早稲田大学法学学術院教授が12日のNHK番組で、「砂川判決での田中耕太郎最高裁長官の補足意見を高村さんなんかは大上段に振りかぶって、最高裁の意見だと言っている。つまり最高裁の判断すらねじ曲げて、集団的自衛権容認の閣議決定はできている」と述べた。

 田中長官は砂川判決の補足意見で「自衛はすなわち『他衛』、他衛はすなわち自衛という関係があるのみである」と記した。

 だが、私は田中長官の補足意見を引用したことすらない。ある人が「田中長官の補足意見を引用すれば、もっと直裁に説明できる」と言ってきた時、「それは、最高裁判決の本体ではない」とお引き取り願ったこともあるぐらいだ。

 私たちには憲法尊重擁護義務がある。「100の学説よりも一つの最高裁判決」だ。補足意見は、最高裁判決そのものではなく、「100の学説」の中の一つに入るものだ。水島さんの学説よりはずいぶん優れた学説だとは思うが、補足意見を最高裁判決として引用したことはない。

 私たちは判決の本体部分にある「国の存立を全うするために必要な自衛の措置はとりうる」の「必要な自衛の措置」を点検した結果、国際法上、集団的自衛権と言わざるを得ないものがあると言っている。

 論争というのは政治家であろうと憲法学者であろうと、フェアにやってもらいたい。うそを前提に、その人がいないところで一方的に言うようなことは、やめてもらいたい。(自民党本部で記者団に)