岩田聡・任天堂社長の訃報に接して(編集長)(1/2)

岩田聡・任天堂社長の訃報に接して(編集長)
岩田聡・任天堂社長の訃報に接して(編集長)
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月曜日の朝、いつも通りの出勤時間、日常としてiPhoneを開いた自分の目に飛び込んだニュースは到底信じがたいものでした。「代表取締役社長の逝去および異動に関するお知らせ(訃報)」現実として起こり得るとしても、想像の外にある、あるいはあって欲しい知らせでした。

昨年の6月、手術でE3や株主総会を欠席したものの、術後は良好とされ、復帰を果たされましたが、かなり痩せ細り、一般に登場の機会は減っていました。しかし、ディー・エヌ・エーとの提携発表の場や、今年の株主総会には出席。様々な発言録を読んでも、いつも通りの明快・明瞭・明晰な言葉に安心させられる部分もあり、尚更今朝の驚きが強かったように思います。


インサイドをご覧になっていただいたと伝え聞くところもあり、ありがとうございました。


経歴や人物については既に語り尽くされているように思いますが、政治家の父親を持ち、東工大を出た理系のエリートでありながら、どベンチャーのHAL研究所に入社。当時まだ産業になっていなかったビデオゲームの世界で大活躍。経営者の道を歩み、任天堂の社長へ。売上高が一気に3倍になるサクセスストーリーと、その反動での数年間の赤字転落。「娯楽は天国か地獄しかない」と言った山内溥元社長の言葉通りの13年間の社長在任期間であったように思います。

親交の深かった糸井重里氏のほぼ日刊イトイ新聞にて、過去のインタビューがまとめられていますが、「常に当事者としてありたい」というメッセージが語られています。山内家の家業たる任天堂を引き継いだことは並大抵の苦労ではなかったと思いますし、成功のジレンマのような苦境がありながらも前期には黒字回復を達成し、「Quality of Lifeの向上」を新たなコンセプトとして打ち出し、更にはスマートデバイスへの参入を決めた。振り返ると社長・岩田聡の最後の打ち手であったのだなと感じるところがあります。

とっ散らかってしまいましたが、余りの事に言葉にまとめきらないというのが正直なところです。今までの岩田氏を振り返るにあたって、自分の心に残っている記事があります。2005年のGDCの講演なのですが、検索しても適切な記事がないので、当時掲載した、米国任天堂が出していた英語の全文を訳した文章を載せておきます。英語で喋られたものですので、どこまでニュアンスを伝えきれているか不明ですが、人となりを感じさせるものでしたのでどうぞ。

非凡なゲームクリエイター、非凡な会社経営者であった故人の冥福をお祈りいたします。

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《土本学》

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