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【iRONNA】
翁長知事は沖縄をどの方向へ引っ張っていくのか
辺野古移設を阻止し、さらに普天間飛行場の県外、国外移設をも実現させれば、翁長氏は沖縄では世紀のヒーロー扱いされるだろう。
しかし前述の通り、知事は辺野古移設の有効な代替案を持たないから、日本や沖縄の安全保障は深刻な局面に追い込まれる可能性が高い。取りわけ八重山住民は危機にさらされるだろう。
翁長氏が辺野古移設を阻止できず、辺野古移設が実行された場合は、公約を果たせないことになる。「日米両政府が工事を強行したからだ」と弁解はできるが、反基地派は失望し、翁長氏は政治家として何らかの責任を取らざるを得ない。県政と国政の溝も残る。
辺野古移設を容認すれば、翁長氏はマスコミから裏切り者として糾弾され、知事のイスに座り続けるのは不可能だろう。
こうなると知事の行く手は八方塞がりに見えるが、起死回生の手段はまだ残る。それは、知事が沖縄の非武装化を叫ぶ反基地派と即刻手を切り、辺野古移設の代替案を真剣に模索することだ。
多少なりとも現実的な代替案であれば、そして知事が熱意を持って政府と交渉するのなら、今からでも有効な選択肢として浮上する可能性があるかも知れない。普天間飛行場は撤去され、辺野古移設は阻止され、抑止力は維持される。沖縄にとって理想的な展開だ。 代替案を検討するのにうってつけの組織がある。「辺野古新基地建設問題対策課」だ。職員も、政府の作業をひたすら妨害するという非生産的な職務から解放される。ぜひ新しい組織を有効活用してほしい。
仲新城誠 八重山日報編集長。昭和48(1973)年、沖縄県石垣市生まれ。琉球大学卒業後、平成11(1999)年に石垣島を拠点とする地方紙「八重山日報」に入社、22年から同紙編集長。イデオロギー色の強い報道が支配的な沖縄のメディアにあって、現場主義と中立を貫く同紙の取材・報道姿勢は際立っている。著書に『国境の島の「反日」教科書キャンペーン』(産経新聞出版)。