中国:人権派弁護士ら「重大犯罪集団」 メディアが報道

毎日新聞 2015年07月13日 19時54分

 ◇100人超拘束か

 【北京・西岡省二】中国で多数の人権派弁護士らが公安当局に連行・拘束された事件で、当局が、人権状況の改善に取り組む北京鋒鋭弁護士事務所を「秩序を混乱させる重大犯罪グループ」として摘発していたことが分かった。国営新華社通信などが13日までに報じた。当局は、女性弁護士の王宇氏ら同事務所の少なくとも4人を「容疑者」として刑事拘束処分にしたという。国営報道機関が事件を伝えたのは初めて。

 中国の人権派弁護士らは法律を盾に、人権侵害事案への支援などを訴えてきた。習近平指導部は人権や民主主義などの価値観が広まるのを警戒。活動を活発化させる弁護士らを拘束・連行し、行動を抑え込もうとしているとみられる。

 新華社は、北京鋒鋭弁護士事務所が2012年7月以降、人権侵害事案とみられる40件あまりの「敏感な事件」に関与したと指摘。弁護士らが「真相を理解していない群衆やネット利用者に対し、政府への不満をあおった」などと記している。

 当局は今月9日から同事務所所属の弁護士を含め、15以上の省や市などで人権派の弁護士や活動家ら計60人以上を拘束・連行したとみられる。一時的に摘発・事情聴取された人数を含めると、これまでに100人を超えるとの見方も出ている。

 中国では11年、中東の民主化要求運動「アラブの春」を受けて、「茉莉花(ジャスミン)革命」と称する民主化の呼びかけが広がった際、多くの人権派弁護士が拘束された。今回は当時を上回る規模となっている。

 中国当局の対応に内外の反発が強まっている。香港からの報道によると、中国政府の香港出先機関である連絡弁公室前で12日、香港民主派団体「香港市民愛国民主運動支援連合会」(支連会)の何俊仁主席ら約30人が抗議デモを実施し、弁護士らの釈放を要求した。

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