日銀総裁:口先介入を否定…10日の「かなり円安」発言
毎日新聞 2015年06月16日 21時20分
日銀の黒田東彦総裁は16日の参院財政金融委員会に出席し、円安水準に言及した今月10日の自らの国会答弁について「為替レートの水準や先行きを申し上げたわけではなく、あくまで(各国の物価動向や貿易収支を反映して通貨の実質的な価値を示す)実質実効為替レートについて説明した」と述べ、円安をけん制する意図はなかったと釈明した。大塚耕平委員(民主)の質問に答えた。
黒田総裁は10日の衆院財務金融委員会で、最近の為替相場に関し、「実質実効為替レートでみると、かなりの円安になっている」「さらに円安に振れることはありそうにない」などと答弁。市場は「口先介入」と受け止め、同日の東京外国為替市場は一気に2円近く円高・ドル安が進んだ。
10日の発言後に口先介入の意図を否定する総裁の発言が伝わっていたこともあり、16日の答弁を材料視する動きは限られ、一時的に円安に振れる場面があったものの、すぐに円の買い戻しが入った。円相場は同日午後5時時点で1ドル=123円48〜50銭と、前日とほぼ同水準で推移している。【中井正裕】