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【安保法制公聴会】
木村草太・首都大学東京准教授「憲法無視の政策論は国民無視の政策論」
13日午前の衆院平和安全法制特別委員会の中央公聴会で、憲法学者の木村草太・首都大学東京准教授は「憲法を無視した政策論は、国民を無視した政策論ということを自覚しなければならない」と指摘した。木村氏の発言の詳細は以下の通り。
本日は貴重な機会をいただきありがとうございます。今回の安保法制、特に集団的自衛権の行使容認部分と憲法との関係について意見を述べさせていただきます。まず、結論から申しますと、日本国憲法のもとでは日本への武力攻撃の着手がない段階での武力行使は違憲だ。ですから、日本への武力攻撃の着手に至る前の武力行使は、たとえ国際法上、集団的自衛権の行使として正当化されるとしても日本国憲法に違反する。
政府が提案した存立危機事態条項が、仮に日本への武力攻撃に至る前の武力行使を根拠付けるものとすれば、違憲です。さらに、今までのところ政府がわが国の存立という言葉の明確な定義を示さないため、存立危機事態条項の内容はあまりにも漠然、不明確なものになっています。従って存立危機事態条項は憲法9条違反である以前に、そもそも漠然、不明確ゆえに違憲の評価を受けるものと思われます。
また、維新の党より提案された武力攻撃危機事態条項も、仮に日本への武力攻撃の着手がない段階での武力行使を根拠付けるものだとすれば、憲法に違反します。逆に武力攻撃危機事態とは、外国軍隊への攻撃が、同時に日本への武力攻撃の着手になる事態を意味すると解釈するのであれば、武力攻撃事態条項は合憲だと考えられる。