安保関連法案:15日の衆院委で採決へ 谷垣氏表明

毎日新聞 2015年07月13日 21時55分(最終更新 07月13日 23時29分)

自民党の谷垣禎一幹事長=竹内紀臣撮影
自民党の谷垣禎一幹事長=竹内紀臣撮影

 ◇政府・与党、16日か17日衆院本会議で採決、参院へ

 自民党の谷垣禎一幹事長は13日の党役員会で、集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案を15日の衆院平和安全法制特別委員会で採決する意向を表明した。政府・与党は16日か17日の衆院本会議で採決し、参院に送付する構え。野党側は採決の強行に強く反対しており、与野党の攻防はヤマ場を迎えている。

 安倍晋三首相は役員会で「私も丁寧に説明してきて、理解は進んできたと思う。各議員の協力でさらに理解を得られるようにしていきたい」とあいさつした。

 谷垣氏は役員会後の記者会見で、「もう論点は出尽くしている。賛成と反対の視点が固まっていれば、同じ事の繰り返しになる」と語り、採決の環境は整ったとの認識を強調。15日中に採決するか問われ、「そろそろそういう日程かなと思う」と答えた。衆院での審議時間は政府・与党が想定していた80時間を上回り、110時間を超えた。

 これに対し、民主党の枝野幸男幹事長は記者団に「到底採決なんかできる状況じゃない。各地で安保法制止めろというのが大きなうねりになっている」と述べ、採決は時期尚早と主張。共産党の山下芳生書記局長は記者会見で「今週中に強行しようとしているのは言語道断だ。憲法違反の法案はいくら審議しても憲法違反で合憲に変わることはない」と訴えた。

 関連法案を審議している特別委は13日の理事会で、14日午前に一般質疑を行うことを決めたが、民主党と共産党は同日が委員会の取り決められている開催日ではない火曜であることを理由に欠席。与党は14日の理事懇談会で、15日の締めくくり質疑と採決を提案する予定だ。14日午後には、自民、公明、維新の3党が維新の対案について2回目の協議を行う。

 維新はこれに先立ち13日、自公両党に対案を重点3項目に絞り込んだ修正案を説明した。ただ、政府が集団的自衛権行使の要件とする「存立危機事態」に代わり「武力攻撃危機事態」を新設するなど対案の骨格は維持しており、与党は修正に応じないとみられる。

 重点項目は(1)集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に代わる「武力攻撃危機事態」(2)自衛隊の後方支援を限定化するため、実施区域を「現実にこれを行う期間について戦闘行為がないと見込まれる場所」と明確化など(3)武力攻撃に至らないグレーゾーン事態に対処する領域警備法−−が柱。与党が15日にも特別委で政府案を採決しかねないと見て、対案を絞り込んだ。

 自民党幹部は「維新はまとめる、まとめると言って先延ばししているだけだ」と受け入れに否定的な見方を示すが、一部を付則や付帯決議などの形で反映させ、維新に採決への出席を求めるべきだとの声もある。

 維新は与党が重点項目を十分に受け入れたと判断すれば、特別委での安保関連法案の採決を欠席せず、出席に転ずる可能性もある。柿沢未途幹事長は「つまみ食いのような形では認められない」と述べ、維新案を大幅に受け入れるよう求めた。【水脇友輔、福岡静哉】

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