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【社会】安保法案 防衛省OBもノー 「派兵要求断れなくなる」「他国のため…納得できぬ」
国会で審議が続く安全保障関連法案について、防衛省・自衛隊のOBから「違憲」との批判や問題点の指摘が相次いでいる。大半の現役が口を閉ざす中、防衛現場を知るOBたちの意見を聞いた。 (中山高志) 一九九〇年、現新潟県加茂市長の小池清彦さん(78)は防衛庁(当時)の防衛研究所長、次いで教育訓練局長を務めた。中東では湾岸戦争が発生。米国の要請を受けた日本政府は、自衛隊を海外へ送るための国連平和協力法案を国会に提出した。 「このままいけば、エスカレートして『世界の警察官』になる」。小池さんは庁内で法案に反対した。世論の反発もあって法案は成立しなかった。「平和憲法があるから、日本は海外の戦争に参戦させられることはない」と強く実感した。 安倍政権は今年、憲法解釈を変更し、集団的自衛権行使を可能とする安保法案を国会に提出した。「解釈変更をしたら最後、米国からの海外派兵の要求は断れなくなる」と危ぶむ。 「憲法を守らなければやがては徴兵制になり、戦場に行くのはあなたか、あなたのフィアンセだ」。五月三日の成人式で、小池さんは訴えた。「平和憲法を守るために一生懸命声を出そう」。新成人からは「その通りだ」と賛同する声が上がったという。 国連平和維持活動(PKO)部隊の指揮経験がある元陸将は先月、安保法案をテーマに大阪市福島区で開かれたシンポジウムの演壇に立った。「良い悪いではない」と法案の評価は避けたが、会場から「他国のために死ぬことになっても納得できるのか」と質問が出ると「納得できないと思います」と答えた。「どのような大義があるのか、無条件ではない。実は条件が示されていない。そこが最大の問題」と語った。約三百五十人の聴衆は緊張感を漂わせながら聞き入った。
「安倍首相は国会で『自衛隊は戦闘行為を行うことはない』と言った。でも、集団的自衛権で自衛隊が海外に出れば、それはあり得ない」。九九年まで海上自衛隊に三十年間勤務した川村純雄さん(64)=京都市=が力を込める。 八九年から約五年間、海外から日本と特殊通信で情報をやりとりする業務に就いた。カンボジアでは銃声が飛び交う内戦状態を経験した。それだけに、現場を知らない政治家の安易な論議に憤りを感じる。 昨夏の集団的自衛権行使容認の閣議決定の後、初めて共産党支持に。今春の統一地方選では神奈川県横須賀市まで同党候補の応援に駆け付けた。「自衛官が命懸けで訓練するのは外国ではなくて自国のため。だから集団的自衛権はいらない」 PR情報
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