テスラは本当に
破壊的イノベーションといえるか
イーロン・マスク率いる、飛ぶ鳥を落とす勢いテスラモーターズ。はたしてテスラは、クリステンセンのいう破壊的イノベーションといえるのか。
テスラのビジネスモデルを検証する
2014年の秋、ある投資家がハーバード・ビジネス・スクール(HBS)教授のクレイトン・クリステンセンに、ある課題を解いてみてほしいと持ちかけた。クリステンセンは「破壊的イノベーション」の理論でよく知られている。つまり、概して低価格で性能においてはいま1つの製品を販売している企業が、主要顧客のニーズに応えるまで製品を体系的に改善することにより、最終的に既存プレーヤーを圧倒するという考え方である。
電気自動車メーカー、テスラモーターズの株主であるこの投資家によれば、テスラ創業者のイーロン・マスクは、ハイエンドでスタートした製品が下位層に浸透していくという新しいタイプ──トップダウン──の「破壊モデル」を生み出そうとしている。創業から10年で同社が製造した車はわずか5万9500台。そのほとんどが10万ドル以上する。
ところが予定では、メーカー希望価格7万ドル前後のモデルを2015年後半、3万5000ドルのモデルを2017年に発売するらしい。「ガソリン車に取って代わる手頃な価格の電気自動車を大量供給する」という目標をマスクは公言している。
- テスラは本当に 破壊的イノベーションといえるか (2015.07.13)