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夫の浮気 作者:花桃
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女の挑戦状?

大人の浮気話なので、R15とさせていただきました。
「何、これ?」
子どもと夫が野球の練習に出かけた土曜日の朝、彼が持って帰った荷物の箱を開ける。

年末に人事異動が発表され、2年間の単身赴任が、1月1日付けで開けた。

金融機関に勤務する夫は支店次長という立場から、本部の融資部門の課長として勤務することに。

正月明け、引っ越し、仕事の引き継ぎとあわただしい日々が流れた。

夫と共に運び込まれた荷物は和室に積まれたまま。

まずは、洗濯物からということで箱を開ける。

手にとったシーツに絡まる長い長い茶色い髪。

「もー、いやー。」

私は深い深いため息。

よくよくみれば、すごい痛んだ髪。

自前の髪が自慢の私にとって、染めたりパーマで細くなって痛んだ髪はありえない存在。

「この髪の持ち主は、推定、腰まではあるな。」
両手の人差し指と親指で摘んで広げる。
60センチ以上はある。
そんな髪が、指に絡みつく。
悪寒が背筋を、走る。

髪を、ティッシュで包みエプロンのポケットに入れる。

夏のブルーのバスタオルも取り出して見てみる。

夫のであろうと思われる長い陰毛に、不自然な長さ、まるでお手入れしていますといわんばかりのカットされた切り口のある短い陰毛をこれまた数本発見。

何やってるんだろという私。

じぶんがやってることがアホくさく思えるが、こうなるとやめられない。
まだ何か出てくるような予感。

パンドラの箱ならば底に希望があるだろうけど、どう考えても絶望とか泥沼しかないようなゴミ箱のような段ボール箱。
箱の中のものをチェックしながら、ほかの洗濯物も箱から出し、洗濯機に投げ入れる。

枕カバーが無いことに気付き、寝具袋のファスナーを開ける。

どれだけ洗ってないんだろう。

夫のにおいが充満した低反発枕が布団の中から出てきた。
これは夫の愛用品。
同じものが自宅にもあるので、枕が変わると眠れない夫だけど不自由はなかった。

ブルーの枕カバーを外すと、赤い小さな布がはらりと落ちる。

赤いTバックのショーツ。

私、こんなの持ってないし。

ブルセラで買った、オカズ?
それとも、女装趣味?

悲しい主婦の性。
ひっくり返して裏をチェック。
微かなシミがあるということは、使用済み下着。

1番これをオカズにしていた。
2番浮気相手が脱いでそこにいれたままだった。
3番女装していた。
4番女装趣味の男とつきあった。
答は一つに絞られる。

ファイナルアンサー?

ってやってる場合じゃないし。

追求すべきか、赤いショーツを片手に悩む。

そして、またエプロンのポケットにいれる。


「ポケットの中は、長い髪の毛と赤いTバックのショーツ、これで証拠は2つになりました。」
絵本の世界じゃあるまいし。

はぁ、、、疲れた。

ムッカエクスプレスに牛乳を入れ、カフェオレを作る。

ポンという音が立ち、できあがりの合図。

カップに注ぎ込むときれいな泡立ち。

泡を見ると気が晴れるが、飲み干して現実を考えると気分はどんより。


しばらくすると洗濯機がピーピーと呼ぶ。
洗濯物を取り出し、籠に入れる。
カラカラと音がする。

「アタシハ ココニ イルンダヨ」
いかにもそんな気分の音。


何だろうと思い、最後のタオルを取り出すと、繊維に絡みついた小さなパールピアス。


「なんだ、見つけて欲しかったの。」
返事をするはずもないピアスに話しかける。

「ポケットの中は、長い髪の毛と赤いTバックのショーツ、パールのピアス。これで証拠は3つになりました。ファイナルアンサー?ファイナルアンサー2番の浮気です。」

なぜなら、夫にはピアスの穴がない。
オカズという答えもあるけるけど、問題は持ち主。

こんなところで探偵ごっこしてどうする、私。

洗濯物のタオルを物干しで干す。
タオル掛けの向こうに広がる晴天。
晴天のなんとかってことわざあったよねぇ。


広げてタオル掛けに干すと、さっきと同じ長い髪が数本、指に絡みつく。
まるで、蜘蛛の糸に捕まった虫のように私を絡めて離さない。

何、それは挑戦状?

私はあなたの夫と寝てたのよ。こんなに可愛がってもらってたのよ、どう?妬ける?

そんなことを訴えているかのように、払っても払っても振り払えない。

「せいてんのへきれき」だ!!なんとかの部分を思い出す。


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