群青に告げる
山の麓は何色だろうか?
私が住んでいるところは、一般的に田舎と呼ばれる場所だ。
道の回りは畑や田んぼで溢れ、隣の家に行くにも何百メートルと歩かなければいけなかった。
もちろん、周囲にはコンビニといったお店もなく、必要な物を買うのにも一苦労。
この田舎での流行も、都会だとすでに熱が冷めたものでしかなかった。
そのためだろう。
周りの人たちはそれが苦痛だったのだろう。
いつしかそれは劣等感になり、焦燥へと変わり、行動に昇華されていった。
髪を染め、爪を彩り、情報端末を駆使する。
そうやって、彼らはこの場所から抜け出すための試行錯誤を繰り返していた。
だけど、私はこの場所が好きだった。
この場所が迎える夜は、いつも純粋な美しさを纏っていた。
春の夜桜は華麗に舞い、夏にはホタルが夜を彩った。
秋の満月から上を向く力をもらい、冬の夜空に白い息をハァと吹きかけて遊んだ。
家から遠く離れた高校の帰りはいつも優しい群青色に、この場所に私は包まれていた。
私は、いつまでもこの場所で生きていくのだと思っていた。
しかし今日、私はこの場所を離れる。
理由は大学への進学。通うには一人暮らしをするしかなかった。
まだ群青色に染まる空の下、列車が駅に止まる。
列車に乗り込み、朝早くから見送りに来てくれた両親に手を振った。
駅のホームに笛の音が鳴り響き、列車は動き出す。
窓を覗くと、前方に伸びる山の麓はオレンジ色に染まっている。
私は前を見つめながら、あの場所に残る群青に小さく呟いた。
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