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R18不純異性交遊 作者:カオリ

第1章

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01 委員長と不良

 誰も知らない、自分だけが知っている秘密の扉。鍵が閉まっていると見える南京錠は、コツがいるが、外し方が分かればすぐに取れてしまう。昔は生徒も行き来できた屋上は安全面で容易には入れなくなってしまっていた。
 誰も知らない、自分だけが知っている秘密の場所。
 屋上へと一歩出て、吹き荒ぶ風が私の結わえてあるひとつ結びの髪の毛を大きく揺らす。その流れに乗って、微かに人の声が聞こえてきた。

―――誰か、いる…?

 他には誰も知らないと思っていたのに、私の他にここを知っている人がいたのだろうか。
 大きなタンクの影になっている方へと私は移動する。屋上地面に映るタンクの影は、その形通り丸を描くはずなのに、ある部分が突起していた。
 何かがあるのかな。しかも微妙に揺れているし、風に何かが揺れているだけなのだろうか。
 その時、

「あっ……」

 女の子の声が私の耳に飛び込んできた。
 やっぱり人がいる。そう確信した私は何故か思いっきりその人がいるであろう所を体全体を出して覗き込んだ。

「……」

 人は、いた。
 でも、一人ではなかった。
 男の上に女が乗っている。女は背中をこちらに向ける形で制服のブラウスは着ているが半分脱げかけていて、艶かしい背中が出ていた。そして、男の方は顔がこちらを向いている格好で・・・。

「なる……」
「っ……ゃ……きゃぁーーーー!」

 素行の悪さを学校中に知られている、ある意味有名人のその男の事は友達知り合い以外の名前を覚えるのが苦手な私でさえも知っている。なので咄嗟に出そうになった言葉はその人物の名前だったのだけど、全部を呼ぶ前に女の子の方が私に気付き、大声を上げるとすぐに彼から離れていった。シャツを直しながら屋上出口へと向かってしまう。ショーツが膝くらいまででわだかまっていて、呆然としながらその背中を追っていた私だけど、急に恥ずかしさが込み上げてきた。

「……」

 男女で誰も人が立ち入らない場所にいたら、ほとんどする事は同じで、それが分からない私でもない。

「……何だよ委員長、こんなとこにまで来て風紀の乱れの指導?」
「ち……違うわよ。成瀬君こそ、私に注意されたくてここにいたわけ?」
「動じないね~。もっと騒いでくれないとつまんないじゃん」
「立ち入り禁止のここに何で私がいるのかって話になったら私も困るしね」
「おお、流石委員長。頭の回転速い」

 成瀬英明。
 遅刻は当たり前、無断欠席は常習、制服はいつも乱れていて、髪の色もかなり明るい茶色だ。風紀委員の私はよく彼を注意することがあった。それでも全く直らなくて、先生達も若干お手上げな所があるけど私は根気良く注意し続けている。

「……髪の毛まだ染めてるの?早く地毛の色に戻さないと毛根死ぬんじゃないかな」
「平気。親父結構年だけどまだフッサフサだし。爺ちゃんも全然禿げてないし、ハゲには無縁の家系なんだよな」
「成瀬君の家系なんて別に興味ないんだけど。それより早く職員室行ったら?まだ遅刻届け出してないでしょ」

 寝転がっていた成瀬君は乾いた笑いを出しながら大部分が外れていたシャツのボタンを締め直し、スラックスを元の位置に戻し、立ち上がった。かなり大胆な行動を見る羽目になった私だけど、目を逸らすと負けな気がしたから一切目を離さなかった。

「いやいや、もう昼でしょ?俺このまま帰る。今日はあの子とヤリにきただけなんだ」
「はぁ?……っ」

 短髪毛染め馬鹿、学校はホテルじゃない、そう言いたかったけど喉まで出かかって言うのはやめる。この男と言い合っても何の得にもならないし。

「でも……」

 憎たらしい目で見ていた私の襟元を成瀬君が軽く掴んできた。

「委員長が代わりにしてくれたら午後の授業出てあげてもいいよ?」

 耳元で吐息混じりに言われ、私はぞくっと背筋を凍らせる。全身に鳥肌が立った気がした。

「き、気持ち悪い!変な事言ってんじゃないわよ!」
「うわ、気持ち悪いって……かなり傷付くな」

 広く浅くの付き合いで女の子と関係を結ぶ成瀬君はその事でもかなり有名で、冗談とは分かっていてもこんな眼鏡に化粧っ毛もない私にまで言い寄るなんて、本当に誰でもいいのだなとおぞましささえ感じてしまう。
 だが成瀬英明という男はこういう奴なのだ。素行の悪い遊び人、そういう危険な香りのする男に女の子は弱い所があり、いくらあらぬ噂が立っても成瀬君の周りで女の子は途切れない。顔も他の子に言わせればかっこいいらしいし、体も何でそんなに締まっているのか不思議なくらい筋肉質で、一応背丈もある。
 見た目良ければ全て良し、みたいな感じだけれど、言い寄られればコロっといってしまうのだろう。
けれど私は騙されない。顔が良くて全てがいいなんて、有り得ないのだから。





「菊夜」

 教室へ行く途中後ろから名前を呼ばれた私はすぐに振り返った。
 ずーんと大きい体が目に入る。
 幼馴染の北澤昭一郎は親同士が仲が良く、小さい時から兄妹のように遊んでいて、学校もずっと一緒。今では彼が中学から続けている野球部の練習があって前よりは会っていないけど、たまにこうして話をしたりはしていた。

「しょ……何?北澤君」

 つい2人だけの時に読んでいる昭ちゃんというあだ名が出そうになるけど、寸でのところで言い直す。

「今日母さん急な夜勤入ったから、菊夜のうちで食べろって」
「あ、うん。もううちのお母さんには伝えてあるんでしょ?」
「そうらしい」
「じゃあ大丈夫ね。そしたら、一緒に帰る?私学校で待ってるから」

 昭ちゃんのお母さんは看護士で、昼間の勤務の日勤を多くしてもらっているらしいけど、夜勤もたまに入る事がある。そういう時は昭ちゃんもうちでご飯を食べるようにしていた。
 仲が良いとよく言われるけど、家族ぐるみの付き合いだから本当に兄弟みたいな友達みたいな感じだ。
 私には兄が一人いるけど昭ちゃんには兄弟姉妹がいないから、そういう意味でも私と兄が昭ちゃんの兄弟代わりというか。昭ちゃんもそう思っているみたいだし。

「でも部活何時に終わるか分からないから先に帰っててもいいぞ」
「ううん、教室で勉強してる」
「……分かった」

 夜遅くなって昭ちゃん一人でご飯というのも寂しいだろうから、待っていた方がいいだろう。その日は学校が終わっても教室に残っていることにした。





 誰もいなくなった教室の、こういう広い空間にいると本当に今自分は一人なんだなと思い知らされる。
 校庭を眺めると野球部やサッカー部が練習していて、学校の敷地には人がいるのを確認できるけど、どこか遠い世界のように感じてしまう。

「……」

 昭ちゃんは何時くらいに終わるだろうか。離れた場所にいる事は分かるのだけど、私は目が悪いからどこに誰がいるかは分からない。眼鏡をかけてもその姿を見ることはできなかった。
 お兄ちゃんは今日はバイトはなかったはずだから、もう家にいるかもしれない。私は昭ちゃんと食べるから、皆には先に食べてもらうように言った方がいいかな。
 そう思って携帯電話をカバンから出そうとした時。
 ガタガタ、とこの教室ではない場所から机が大きく動く音が聞こえた。もう夕方の時間になると殆どの生徒は校舎からいなくなるはずで、私みたいに好き好んで教室で勉強する人はまずいない。

 もしかして……。
 何か、変な予感がぎる。誰かいるのだろう、そう思うだけにしておけば良かったのに、ふと沸き起こってしまった好奇心を私は止めることができなかった。
 自分のいた教室を出て、隣の教室を覗いてしまう。隙間から少しだけ中が見える。誰もいなさそうなひっそりとした教室。
 けれど、角度を変えて中を見回すと、すぐに人がいるのが分かった。

「……」

 こういうのをデジャブと言うのだろうか。
 先程も見た、同じような光景。男と女が立ちながら重なるシルエットが見え、私は動揺して手に力を入れてしまう。
 ガタ……。
 教室のドアが揺れ、サッシにぶつかる音が響いた。すぐに男の視線がこちらへ向く。
 昼間も見たその顔。二回目、は流石に申し訳ない感情が沸き、私は思わず一歩下がった。
 こんな所でする人達が悪いのだけど、そういう正論が通じないような気がした。
 酷く睨まれていた。

「英明とするの今日は無理っぽいねー。二回も斎藤さんに見られてるし、またね」

 男女どちらも昼間屋上で会った二人だ。女の子の方は今はそんなに乱れた姿ではないから、さっきみたいに恥ずかしがっている様子はない。少しだけ開かれていたドアが、その女子生徒によって全開になる。

「……じゃあね斎藤さん。あんまり覗いてると、そういうのが趣味になっちゃうよ?」
「え……」

 僅かに香水のいい香りを漂わせて、その子は教室を出ていった。
 また私と成瀬君が取り残される。彼は怒っている、だろう。悪いのはどう考えてもそっちなのだけど、やはり相手はそうは思っていない表情だ。

「マジで委員長タイミング悪すぎ。何してんだよ」
「何って……私はただ、物音がするから誰かいるだろうと思って……」

 若干おどけたような声色だったので、あまり怒ってはいない、そう私は思った。
 けれど、こちらに近付いてきた成瀬君はその口調を段々と荒らげていく。

「だからって覗くなよ、覗いても空気読んでどっか行けよ。千穂も今言ってたけど、覗きが趣味なのかよ委員長は」
「ち、がうわよ……好きでこんなとこ見たわけじゃ……ちょ、ちょっと成瀬君……ちかい」

 廊下に出ていた私に近付き、顔をじぃっと見てくる。しかも距離が近いから、彼の瞳に私自身が映っている所まで確認できてしまう。
 浅黒い顔に整えられた眉毛、意外にも長い睫毛、無駄にツヤツヤな顔。男のくせに……そう思っていたら腕を引っ張られた。

「きゃっ!成瀬君、何よ、ちょっと」
「その、自分は悪くないって顔……すっげームカついてきた」
「……何言って……」
「やっぱり代わりになってもらおっかな」

 グッと力が強くなる。
 痛い。骨に当たるくらい握られてしまい、私は苦痛に顔を歪める。

「やめてよ、痛いから!」
「……委員長はどんな下着つけてんの?」
「な、何……や、ちょっ……何してんのよ!」

 急に手付きが乱暴になったと思ったら、スカートの中に手が入り込んだ。直に成瀬君の手が太腿に触れてくる。
 嘘、何してんのこの人。

「成瀬く……っ!んーっ」
「うん、決めた。委員長とヤル」
ネタ的にはありがちですが以前から書きたかったものです。
そして私はとことん学校でするのが好きみたいです。
ほとんどえっちしてるだけですが、最後まで是非お付き合いください。

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