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学校に遅刻しそうな時に口にくわえる物は食パンだと相場が決まっている
「8時30分…時間だ!!校門を閉めろ!!」
私は、鷲乃宮高校の風紀委員長を勤めている3年生の『古河美緒』という者だ。
そして私は今、学校に遅刻した者を罰している最中だ。
「頼むよ委員長、学校に入れてくれよ~」
「残念だが、お前たちは遅刻だ」
私が遅刻者に行っている罰は、時間を過ぎたら校門を閉め、遅刻者を学校に入れないようにしている、というものだ。
ちょっと厳しいかもしれないが、私がこの罰を行ってから、遅刻者は今までよりもかなり減った。流石に遅刻者ゼロとまではいかないが、私が1年の時にくらべれば目に見えて減っている。
さて、私もそろそろ教室に戻らねば…そう思った時
「オイオイ、校門閉めた奴誰だよ?これじゃ学校に入れねえじゃねーかよ」
そんな言葉が聞こえたので、私は学校に向けていた体を再び校門に向けた。すると、校門の外に居る生徒の中に、1人だけ緑色の髪をした女生徒を見つけた。
……ん?緑色の髪…?
私は一応風紀委員長であるため、新たに入学してきた生徒の事も把握している。
そしてその中で1人、髪を緑色に染め、つり目がちの鋭い目つきをして、入学式の日にいきなりふざけた理由で遅刻して来たという不良のような女子が居たという話を聞いた。そして、そいつの名は確か『風見翡翠』だという事も聞いた。
…待て、という事は、今校門の外に居るあの緑色は…その風見とか言う奴か?
なる程…見るからに不良みたいな奴だな。
そう思った私は彼女に近づき話しかける事にした。
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「ちょっといいか?」
私は風見に近づき話しかける。すると風見は「あん?誰だアンタ?」と返してきたので、私は彼女に名乗った。
「私は三年生の風紀委員長の古河だ。お前は1年の風見だな?」
「そうだけど、何で知ってんだよ」
「私は一応、全校生徒の事を把握しているからな、お前は知らなくても私は知っている」
「ふーん…まあ判った」
彼女は興味なさそうに言うと『そんな事よりも』と言い
「なあ、委員長さんよ、この校門開けてくんない?」
「校門を?ダメだ」
「ほら、そんな事言わないでさ…」
「ダメだ!お前が遅刻したのが悪い!」
私がそう言うと、風見は『わぁーったよ…』と言って校門から離れた。
…さて、私も早く教室に行かないと。
そう思い、私は校門から離れようとした。
此処で言っておくが、遅刻者は1日学校に入れない訳ではない。朝のHRが終わった後、1時間目が始まる前に教師が校門を開けて遅刻者を学校に入れるのだ。まあ、何にせよ遅刻はするな、という事だ。
風見も、これで遅刻しなくなるだろう、そう考えたその時、校門から離れた風見がくるりと此方を振り返り、私に向かって走り出した。
な、なんだ!?何をするつもりだ!?
今までは校門が閉まったら、教師が開けに来るのを待つ生徒がほとんどで、後はそのまま帰ったりする連中だった。
しかし、今の風見のような行動をする奴は居なかった。
私は思わず身構えると、風見は校門に近づき手を掛けてーーー
「よい…しょっとォ!!!」
なに!?と……飛び越えただと!?
この学校の校門は大きく、運動神経の良い男子でも校門を越える事は難しい。
なのに、風見は今『飛び越えた』。
風見は校門を飛び越え、今の光景に驚いている私の所へ来て言った。
「授業に遅れるぜ、委員長さんよ」
…ハッ!?そうだ、急がねば授業に遅れてしまう!!…ちょっと待て、今は何時…8時43分!?
私は急いで教室に向かった、私の教室は学校の4階にあるので、急がねば確実に間に合わない。
そして教室に着くと、授業は既に始まっており、私は遅刻だと怒られてしまった。
まさか、この私が授業に遅れる事になるとは……
…いいだろう、これは私に対する挑戦と受け取ろう。次にお前が遅刻して校門で会った時は学校には絶対に入れさせんぞ、風見翡翠!!
おまけ
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四季「…それで、遅れた理由は?」
翡翠「えーと…今日は日曜日だと勘違いしてました~」
四季「風見さん。今日は火曜日ですよ」
翡翠「そーなのかー」
四季「…風見さん」
翡翠「何ですか?」
…………
四季「廊下に立ってなさい」
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