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クーデレって……いいよな

作者:シャム猫
真面目な恋物語が書きたくなった

血、殺人、スプラッター、歪んだ愛情はありません
日曜日の麗らかな朝

カーテンの隙間から射し込んだ陽光がかなり眩しい

だがッ!それでも俺は寝る!
高島明日見たかしま あすみ死人のように寝る!

「明日見、起きて明日見」

寝るぞ〜たとえ雨が降ろうが槍が降ろうが

「明日見……起きて……」

第三次世界大戦が起きても寝るぞ!

「起きなきゃ…何してもOKノープロブレム……」

「おはよう、香住」
俺は狸寝入りを諦め俺に馬乗りになってる銀髪の少女、木村ルーカス香住(きむら ルーカス かすみ)に挨拶した

「おはよう、明日見……」
少し落胆したようなそれでも小さく微笑む美少女だ

キラキラと銀細工の工芸品のように陽光を眩しく反射させ幻想的でそれでいて健康的な肌をした少女は優しく微笑みかける

「そろそろ降りて」

「その前に約束。今日デート」

「……………」
必殺現実逃避の術〜!ただそっぽ向いてるだけなのにあら不思議!リアルの嫌なことが全部吹き飛ぶよ!

「約束」

「覚えてます」
そりゃ失敗もするさ!無表情で胸ぐら捕まれたら!

「うん」
にっこりと笑いながら降りてそのまま俺の後をついてリビングに降りる

「はい、香住ちゃん。いつも悪いわね」
うちの母さんが朝食を机に置いてく

「明日見、今日どこいく?」

「そんなに資金がないんだが……」

「約束」

「わかったから胸ぐら掴むな!」
この香住、ファッション雑誌の表紙に載れるくらいの美少女なのになんの取り柄のない俺に惚れてる
いや、自惚れるわけではないがそうとしか説明しようがない事実だ

順に説明すると香住は生まれつきある症状を背負ってる

先天性色素欠乏症―――通称アルビノ

これはざっくり言えば体のメラニンという色素が生まれつき欠けており髪や肌が白くなり眼の色が赤に変わるといった症状だ
だがアルビノは厄介な病気だが他人に害がある訳ではない

だが、現実は世知辛い

突然香住の父親が死んだとの連絡が入った
彼女の父親はアメリカ軍のレンジャーでアフガニスタンに駐屯してたさいゲリラの攻撃にやられたらしい
香住が四歳のときだ

そこから彼女の人生は不幸の連続だった

母親はショックで塞ぎこんでしまい家庭は半分崩壊
食事はなんとかなったらしい、幼いながら姉と御近所付き合いで(というか家なんだけど)なんとか食べていけた

幼稚園では見た目が違うだけで香住は皆に後ろ指指され陰口叩かれる

髪を染めようにも四歳児には解らないしなにより香住はとりわけ肌が弱く医者にも止められてたから黒髪にも染めれない

『なんであいつ白髪なんだ?』『なんだか怖い』『近寄ると白髪が移るぜ!』

幼稚園児に色素欠乏症だのメラニンだの小難しい説明しても無駄だし彼女は耐えるしかなかった

―――そんな状況に嫌気がさした



『退屈だ一緒に城を作ろう!』
そう言って部屋の隅っこでポツンと座っていた香住を砂場に引っ張っていった

『ほら、手伝って!一人じゃたいへんなんだ!』

『遊んでくれるの?』
その時の彼女の本当に不思議そうな顔は今も覚えてる

『うん!一緒に遊ぼ!』


――――それからも一緒だった

小学校では二人で遊んだ幸い近所だし登下校も一緒だった

回りのいじめが止んだのは香住が中学に入ってから

日本人離れした、しかしどこかエキゾチックで神秘的な美貌に月明かりの如く美しい銀髪(学校側も容認)男女問わずその美しさは思春期の少年少女を虜にした

身長は中1で止まってる(157cm)が体のバランスは完璧である

ようはみんな惚れたのだ。昔、虐めておきながら

だが、昔から壮絶な仕打ちにあってる少女は酷い人間不振で他人とはあまり付き合わず唯一気が赦せるのは昔からの幼馴染みの俺だけ

基本無口無表情で余程俺が笑いをとらないと笑わないし声も必用最低限しかはっさない
常に俺にくっつき、常に俺の方を見てるまるで生きた人形である

だが鬱陶しく思ったことはない。男なら美少女に常に注目されてるなんて事態はうれしいの一言につきる

そういう過去があり結局学校公認カップルになってしまった(ちなみに親も公認)

休日はいつも遊びに行くため俺は常に金欠だ

「明日見くん、今日も香住をよろしくね」
話しかけてきたのは香住の姉の木村ルーカス花梨(きむら ルーカス かりん)が母譲りの黒髪を揺らしながら微笑みかける

ちなみに姉は古きよき大和撫子で姉妹そろって美人でスタイル抜群。妹さんにも見習ってもらいたい

「じゃあ、いってきまーす」
玄関を開け外を歩く

「さて、今日はどこに行くかな?なにか希望は?」
ぜってー「明日見の行きたいとこ」って言うよ

「明日見の行きたいとこ」

ほらきた

「んじゃ、駅前のデパートに行こう」
実は毎週デートに行くので近場で、それでいて香住が楽しめるような場所はだいたい調べてあったりもする

「ねぇ…明日見……」

「ん、なんだ?」

「手、繋ご?」
そういいながら香住は日傘の下から上目使いでこっちを見る
なにこのかわいい生き物

そして手を繋ぎ歩いて十分の電車に乗り込みお喋りしながらデパートに入る

そこから地下に行くと食品売り場、いわゆるデパ地下である

「新作のスイーツフェアをやってるから試食するか」

「うん!」
彼女は回りから観たら無表情だが長年側にいると今、彼女がニッコリ笑ってるとよくわかる

そんな些細なだが愛らしい笑顔を見ながらデパ地下を散策した






夕暮れの中お土産のケーキの箱を持ちながら話す
他のお客は今のとこいない

「楽しかったね、明日見」

「ああ、まぁな」
しかしその小さなロリ体型のどこにあんなにたくさんのスイーツが入るんだか?そんなに食べるなら胸がもっとでかくてもいいのに……

「明日見」

「ナ、ナンデスカ?」

「……罰として添い寝」

「ええッ!なんで!?」

「胸が小さいとか考えてるから」
ば、バカな!?なぜ解るんだ!?

「口に出てる」

「そりゃ解るわけだ!」
まさか彼女の目は未来を見通す力でもあるのかと思ってしまった

「ねぇ、明日見」

「なに?」

「私のこと、どう思う?」

「?……かわいい女の子」

「違う。そ、その……じょ、女性的に見て……」
あーなるほど、異性として視てるのかってことね

「香住はかわいいし勉強出来るし、なにげに格闘技強いし理想の彼女だよ」
その発言にホッとした顔になる

「だけど、異性としては視れない」

「えっ?」
目をいっぱいに見開いて驚いてる

「正直不安なんだ……」

「不安?」
ぎこちなく泣きそうな目で首を傾げる

「俺という男が居るから香住が真に必用としてる相手が居なくなってしまうんじゃって思ってさ……」
そう、いつまでも俺という男に依存してると香住の為にならない、人生を棒に振るかもしれない

「だから香住を異性としては」

「バカ」

「香住?」

「バカ…バカバカバカバカバカバカバカバカバカ!本当バカ!大バカ!逆に一周してバカ!」
「バカ」って一ついうたびにグーで殴ってくる。だが痛くない、心配になるほど弱々しい

「そんなことグスッ言わないでよ……ズズッじゃないと……泣いちゃうよ……」
もう、泣いてんじゃねーかって言いたかったが言ったらなんだか彼女がどっかに行っちゃいそうで言えなかった

「明日見は…本当にズズッ…バカ……私が……あなたのこと…本気で好きなのに……」

「それは解ってる。けどそれじゃあ」

「解ってない!」
香住が初めて、怒鳴った

「私は!あなたに惚れたの!なのに振り向いてもらえない!でもいい!私の一方的な思いだから!それに私の事を考えて言ってくれてる!けど明日見が!自分に嘘付いてまで私を嫌ってほしくない!」

「う、嘘……」
その言葉で俺の中の何かが崩れた

好きなのに、香住の為に身を退く

なんとバカな事なんだろうか。今まで俺は何をしていた?好きな女の子を虐めていたにすぎない

彼女のため?それは言い訳だ。詭弁きべんでしかない

「お願いだから……嫌わないで………」
涙ながらに抱き着いてくる。ケーキの箱と日傘が倒れる音がやけに響く

「………香住、好きだ」

「……えっ?」
目線を彼女に合わせはっきりと言う
涙で潤んだ瞳はどんな宝石より綺麗だった

「俺も君が好きだ。君が例え他の人が好きでも一方通行の愛でもこれだけは言わせてくれ。君が好きだ、香住」

「…………………はい」
目じりに涙をためながら、頬を初々しく朱に染め小さく微笑む

対して少年の方も自身の言ったセリフを思い出して少し苦笑しながら優しく少女を見つめる

夕焼けの中お互いが夕陽と自身の羞恥で赤くなりながら互いを見つめあう美しくも脆く消えてしまいそうな幻想的な一枚の絵画のようにお互いが見つめ思い続けた






















「あの、もう終点なんですが……」



二人がより真っ赤になった

甘い……今更ながら甘い

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