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ヤンキーばかりの女子校の状況
低偏差値の女子高ほど、怖い物はないし、苛つく物はない。ほとんどが髪を染めたヤンキーばかりだし、比較的に真面目そうに見える子は、知的障害者ではないかと思えるほどバカ。まともに挨拶ができない。空気が読めない。授業中は先生の話を聞かない。お金を払えば入学と卒業を保障してくれる私立高校である。で、少子化で私立高校の経営も厳しい。
校舎は、かなり老朽化している。それに似合うかのような古くさいデザインのセーラー服。動きにくいし、4月なのに寒く感じる。5月を過ぎると衣替えまで、蒸し暑く感じる。夏服は分厚い生地なので風通しが悪い。蒸し暑く感じるだろう。教室には女子生徒が45人もいる。少子化の時代では人数が多すぎる。
「おはよう。佐々木さん」
「おはよう。工藤さん。ねえ、私、あなたのこと愛しているわ。このあいだ、工藤さんのブルーレイソフトと写真集を買ったわ。セミヌードで、もうちょっとで乳首が見えるのが良いわね。とてもエロさを感じたわ」
「ありがとう。ぼく、ファンが喜ぶために何でもするから」
「あ、そう・・・。ねえ、放課後、私が設立した文芸部に入って。風通しが悪いけど」
「いいわ」
そして授業が始まった。僕も授業を聴く気がなく、となりのヤンキーの女の子と会話をした。授業中、雑談が多い。当然、女の子どうしのいじめもある。気が弱そうで不細工な女子がいじめられている。授業をする教師は、いじめに無関心。
「ねえ、どうして。この教室は女子だけ45人もいるの?」
「それは、学校の経営の問題じゃない。誰でも入れるから。でも、ブスが多いわね」
「そうよね・・・、将来、結婚相手が見つからないで困るでしょう」
「韓国みたいに、みんな整形すればいいけど」
「そんな単純なことでは婚活は解決しないわ。要は性格の良さと知性。勉強ができない子って、親もバカだし」
「そうね。この学校に入学する子って、みんな家庭に問題を抱えているから」
「そうよね・・・、躾と勉強は、学校の先生に押しつけ、自分の子どもには、無理やりレールの上に載せる。当然、スペックが低いから、レールに乗れない」
僕は隣にいる女子と会話し、それが終わったら、タブレット端末で、いろんなところをネットサーフィンした。
それから3時限目、体育の授業である。体育館に集合する。教室で着替える。男子が全くいないから、女子は大胆になる。
「ねえ、あの子、脇毛を剃らない。気もち悪い・・・」
「そうよね・・・。その点、芸能界にいる工藤さんはむだ毛が、全くない。女の鏡」
「そんな・・・ぼく・・・」
むだ毛処理していない不細工な女子にヤンキー女子高生が何人か集まる。
「あんたキモイのよ!なんで、むだ毛処理できないの。バカじゃない。色気なし。だから、将来、結婚できない」
「そうよ!キモイ。今どき女子高生がムダ毛処理できないなんて、バカじゃない。あんたって、ほんとにブスだね」
不細工な女子を取り囲んで、いじめを行う。女子高では異物排除活動が盛んである。ちょっとでも、みんなと違うことをすれば、いじめの対象となる。取り囲まれた女子は大泣きした。
そしてスカートを履いたまま、ジャージのズボンを履く。セーラー服を脱ぎ、ブラジャーが見える。その上からジャージを着る。赤茶色のジャージのデザインはダサい。上履きのまま体育館で体育館履きに履き替える。当然、不細工な女子への悪戯が多い。
「はあ・・・、どうしてブルマが廃止されたのかしら・・・。せめて短パンならいいのに」
「よっ、しけた顔していて。まだ、4月、高校に入学したばかりだよ」
「このジャージ、ダサくない。動きにくいし」
「そうだね。この体育館も半分廃墟になっているし。先輩の話だと雨がふると雨漏りするらしいの。だからバケツがたくさんあるの」
「そうなの。バケツだらけでは、邪魔にならない。いや、体育の授業にならないわ」
「この高校は私立だから、お金がないと、どうにもならないし。修理費もバカにならないわ」
「おい。そこの二人、なに話している!」
「はい」
僕たちは男性の体育の先生に注意された。でも、ヤンキーばかりなので、体育の先生も少しびびっている。
「では、準備運動を」
僕たちのクラスの女子は体育館でラジオ体操をした。
体育の授業が終わって僕は質問した。
「どうしてブルマは廃止されたのですか?」
みんなの笑い声が聞こえた。
「そのことはネットでしらべるように。休憩時間に調べられるだろう。工藤くんの場合」
「はい。そうです」
体育の授業が終わり、クラスメイトが上履きに履き替える時、上履きに画鋲を入れたり、ガムのカスをいれるなどの悪戯がある。不細工な女子が、別の不細工な女子をいじめることもある。女ばかりだと陰湿になる。
僕は不細工な女子たちから無視される。美しい身体、それに、とてもかわいい顔をしているので、僕に対して強い嫉妬心を感じている。僕の上履きにも悪戯された。
「おい!誰だ!工藤の上履きにガム入れたのは!」
「いいのよ。佐々木さん」
「いいわけないだろう。おいお前か?それとも、お前か」
佐々木京子は、不細工なクラスメイト、一人一人に襟首を掴んだ。
「やめて!佐々木さん。もう、いいの」
「アホ!良いわけ、無いだろう。その事は担任の先生に知らせる」
ジャージ姿の佐々木京子は、職員室に入り、担任の先生に、上履きにガムのカスを入れたことを告げた。
「先生。工藤さんの上履きに、ガムを入れたクラスメイトがいます。どう思いますか?」
「ねえ、こんどからちゃんと見張りなさい。そのことはホームルームで話し合います」
そして4時限目が終わり、僕たちは屋上に行く。屋上もボロボロで、コンクリートが凸凹しているし、なぜだか知らないけど、アスファルトが露出している。コケが生えている。
「ねえ、お弁当食べた。ちょっと、運動しましょう。ねえ、セーラー服脱いで」
「いいわよ。ちょっと待ってね」
僕はセーラー服を脱ぎ、パンツとブラジャーだけのかっこうになった。
「ねえ、はじめて」
僕の太ももに膝蹴りを入れるため、佐々木京子は長いスカートを脱いだ。もろにパンツが見える状態で、僕の太ももに膝蹴りをした。太ももの筋肉に当たると、強烈な痛みを感じる。僕は、とても気もち良く感じた。気合いを入れて欲しいので顔を殴って欲しかった。
「ねえ、ぼくの顔を殴って」
「工藤・・・、芸能人だろう。それも、ちゃんとした、アイドルだろう。もう、顔を殴る気はしない。その代わりプロレス技をかけるわ」
佐々木京子はセーラー服を脱ぎ、下着姿になって僕にコブラツイストをした。僕たちのやっていることは、他者から見て奇妙に思われる。でも、強烈な痛みを感じる。プロレス技なら殴る蹴ると違って傷やアザができない。
「ねえ、だれか来たら、私たち変だと思われるわ。放課後、文芸部の部屋に入って、続きをしましょう」
放課後、6時限目が終わった後、はじめて文芸部の部室に入る。ほこり臭い。ガラクタがたくさんある。
「ねえ、工藤さんのリンチは?」
「そうね・・・今日は、片づけるのが、めんどくさい。私、ムラムラしているの。ねえ、工藤さん、セーラー服を脱いで」
僕は下着姿になる。そして、佐々木京子から口づけされ、口の中に舌を入れられる。それが終わると、京子もセーラー服と下着ぎ全裸になる。僕と京子と抱き合う。彼女の肌を直に感じる。女子高生なのに香水の匂いがする。
「工藤さんのこと愛しているわ」
優しい口調で言われた。
僕の視界には、佐々木京子の黄色く染めた髪が見える。長い髪である。長いつけまつげ。そして青く染めた長い爪。左腕には入れ墨がある。
「ねえ、私、左の胸にも入れ墨を入れる予定なの」
「でも、そんなことすると二度と元に戻らないわ」
「あら、みんな入れ墨をしているわ。やらないのは工藤さんと、男と一生縁がない不細工な女子だけ。でも、工藤さんは、アイドルだからクリーンなイメージを大事にしてね」
僕は、ヤンキーな女子高生に対して徐々に免疫を持つようになった。
「ねえ、工藤さん。私、あなたのことを守りたいの」
僕はヤンキー女子高生、佐々木京子に好意を持たれている。
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