4/193
【1話】女子高生・佐々木美佳
実在の人名の人とは無関係です。あくまでもフィクションです。
西暦2015年4月、佐々木美佳と大野久美子は、ある私立高校に入学した。
「あら美佳も、この高校に入学したのね」
久美子は、久しぶりに美佳の顔をみた。もと恋人である。
「どうしよう・・・。私、声かけにくい雰囲気があるわ」
久美子は動揺した。ミニスカートを履いて髪を黄色く染めた少女、佐々木美佳が近づいた。
「よ!久しぶり。クミ、おまえ女子バスケに入るのか?」
「いいえ。もうたくさんだわ。私、なんとか中学、卒業まで耐えたわ」
「で、真面目なクミが、あたしと同じ高校に入るなんて。もっと偏差値が高い高校に入ると思ったわ。それじゃまたね」
「美佳・・・」
この高校は男女共学であるし自宅から近い。生徒が、とても多い。
そして女子にとって制服の種類も多いのがうれしい。
美佳の太ももは太い。入学当初、靴をスリッパのようにした歩く。
「ねえ、あんた。この髪型と服装。スカートが短すぎるわ。靴がダサい」
「なんなのよ。あんたたち」
「おい先輩にガンつけるな。生意気だぞ」
「あたし喧嘩が弱いの。この学校でやっていけるかしら・・・」
美佳は久美子を捜した。
「この学校、思ったよりも大きいわ。ねえクミ・・・」
「なんなの?」
「私、あんたと、よりを戻したいの」
「いまさら」
「そんな・・・冷たいこと言わないで」
捨てられた子犬のような目で、久美子の顔をみた。
「甘えないで!」
「お願い・・・。クミ、あたしのこと許して」
「私、真面目な人だけしか友だちにならないの。中学生の時、散々、良いように利用して」
「だから、私、あやまっているでしょう。あんたのお母さんの美晴さんにも、迷惑かけたわ」
黄色い長い髪の美佳は、手を合わせ大きな瞳で、久美子を見つ続ける。
「いいわ。でももう抱き合う仲でなく、『普通の友だち』としてつき合って」
「わかったわ。クミ、一緒の帰ろう」
「なんだか・・・。美佳の髪型が目立つのよ。駅前だと・・・」
「それじゃあ、あたし髪の毛を黒く染めるわ」
「それにスカート短すぎ。パンツが見えそう。それに靴がだらしない」
「友だちになるには、けっこうハードルが高いのね」
「当たり前じゃないの!私、中学2年生の時、あんたに傷つけられたから」
「ねえ、相談にのって。あたしこの学校の不良に、ガンをつけられているの。お友達になって私を守って」
「美佳、まだ自分の都合しか考えないの?私もあんたのこと守りきれないかも」
「それでも良いから私の友だちになって」
「わかったわ」
でも美佳のクセは高校生になっても抜けない。
「ねえクミ」
「痛い!足を蹴らないで」
「ごめん」
「あんたって本当に、どうしようもないわ」
「あたしクミに見捨てられたら・・・」
「ねえ、その言葉、私が中学生の時に聞いたわ。そして、いきなり『さようなら』はないでしょう」
美佳は泣き出した。
「美佳、泣かないで」
「あたしって、本当にダメな人間。ナカくんからも見捨てられたし」
「そう、男子にフラれたの」
「そうなの」
「で、あんたの中学生の時の友だちも、みんな疎遠になったね」
「そう」
「こんな、あたしだけど、もう一度、友だちになって」
「わかったわ」
美佳と久美子は、駅前の喫茶店でお茶を飲んだ。
「クミ、あんた真面目だね」
「あんたとは次元が違うの」
「あたし、中学生の時から、いじめられたり仲間はずれされたくないから、良い子のふりしたの。でも、とても疲れて、不良になったの」
「それで?」
「で、あたしと同じ不良少女の安奈と一緒に愛し合う事になったの」
「そう」
「今でも、つき合っているわ」
「だから、クミと安奈しか友達がいないの」
「ねえ、まだ、私があんたのこと友だちと決めたわけじゃないわ」
「クミ、ごめんね」
「いいわよ。いちいち、謝らなくても」
喫茶店から出て、美佳は久美子の肩を抱きながら歩いた。
「美佳、みっともないわ。離れて」
「ごめんなさい」
「また、あやまる・・・・」
「クミ、中学1年の時と比べて、気が強くなったわね」
「それは中学卒業まで、私、女子バスケット部で鍛えられたから」
「あたしが女子バスケット部に強引に誘ったから・・・?」
「そうだわ。つらかったわ。とても忍耐が必要だし、私の時間がとられたわ」
「ごめんなさい・・・。ねえ、あたしと一緒に美容医院に行かない。それに靴も買いたいわ」
「今日、一日で、そんなにたくさんのことができないわ」
「じゃ、美容院につきあって」
電車に乗り駅を降りて、駅前の美容院に行った。
「いらっしゃいませ。お客様、どんな髪型にしますか?」
「髪を黒く染めて欲しいの。それに髪は少し短め。えーと、肩までの長さ、いや、耳が被る程度までのショートカットで」
「かしこまりました」
美佳と久美子は美容院で、髪を切った。美佳は髪を黒く染めた。
「髪を切ったら軽く感じるわ」
「美佳、これで良いの?」
「イメチェンなの。ねえ3年間、よろしくお願いします」
そして久美子は、久しぶりに一緒に帰った。
「クミ、これからも私とお付き合いして。私、良い子になるから」
「あまり期待しないけど、いいわ。それじゃ、また明日」
「またね」
美佳は久美子と分かれ、とても短いスカートとスリッパのようにした靴で自宅に帰った。
「あら、どうしたの?子猫ちゃん!」
「あたし心境の変化で」
「でも真面目そうな雰囲気で良いわ」
「ありがとう。お姉さん」
「ねえ、いつものようにお風呂場で、おもらしして」
「いいわ」
「あたしもつき合うから」
二人はお風呂場に入った。美佳は制服のままだった。
一緒におもらしして、浴槽の床におっしこが流れた。
「足に私たちのおしっこが流れているわ」
「温かくって気もちいいわ」
「ねえ、お姉さん。口づけを」
「いいわ」
そして、美佳は浴槽で転んだ。
「痛い。足を滑らせたわ」
「大丈夫?」
「平気だわ。でも制服が、あたしたちのおしっこで汚れたわ」
「予備があるでしょう」
「それが、すぐにクリーニングに出したの」
「そうなの。今すぐ乾かさないと」
4月、美佳の部屋でガスファンヒーターを持ってきて、スイッチを入れた。
『ピー、ピー』
「何なの灯油が切れたの!」
「ポリタンクには?」
「灯油がないわ。どうしよう!乾いても汚れたままだわ。おしっこの臭いするわ」
美佳は涙目である。
「ねえ、予備の制服は、いつ戻るの?」
「3日後なの」
「しょうがないわね・・・」
「あたし、明日は学校休もうかしら」
「あたしが何とかするわ」
「お姉さん。ありがとう。で、どうするの」
「おっしこの臭いがしないように、香水をつけるの」
「ちょっと高校で変に思われるわ」
「良いじゃないの」
翌日、美佳の制服は香水の匂いがした。
「よ、クミ、元気」
「なんなの美佳、香水をして。すごく臭うわ」
「それが事情があって・・・」
「でも、そんな美佳が、かわいくみえるわ」
「ねえ、あたしと友だちになってね」
「いいわ」
「クミ、あんたって、本当に優しいのね!」
「別に・・・」
「これからも、よろしく」
「ああ、よろしく」
美佳は、私立高校でいちやく有名になった。
でも、なかなか悪い癖が直らない。
「ねえクミ」
「痛い!足を蹴らないで」
「ごめん」
「今度は背中を強く叩かないで。痛いから」
「わるい。わるい」
「いいわよ。友だちだから」
美佳と久美子は再び仲良くなった。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。