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最低な恋のはなし 作者:いふ。
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理沙

あいつ、また彼氏替えたのか。
街中で理沙と歩く、先週とは違う男を見て、そんなことを思った。

「わぁ、ほんとだ。違う人だね」

隣を歩く美紀がそう答えたので驚く。
思っただけのはずが口に出ていたようだった。

「前の奴より顔は良いな」

「うーん、性格は悪そうだよ。それに手が早そう」

二人で勝手に幼馴染みの彼氏を品定めする。
この光景だってもう慣れっこになってしまった。
理沙が隣の男に向ける笑顔に、ちりっと胸の奥が痛むのだって。
もう、慣れた。




「理沙ー。昨日新しい彼氏と歩いてたでしょ。前のはどこが嫌いになったの?」

次の日、美紀が聞いた。
俺もこっそり耳だけ向ける。

「ん、っと。髪染めちゃったんだよ、あいつ。私があいつと付き合ってたのは黒髪が好みだったからなのに」

「あちゃー。それはちょっと痛いねえ」

「そうだよ。私あんな悪趣味な色の髪嫌いだもん。もっときれいな…」

理沙の横顔を盗み見た。俺には、表情も、声だって切なそうに歪んでいるように感じた。無理に取り繕って明るく加工した理沙の顔と声は、俺の心を抉った。理沙のタイプって、それはつまりあいつに似ているかどうか。理沙がころころ彼氏を変えるたびに辛くなる。理沙が、まだまだタケのことを好きでいるって、それが一番わかり易く残酷に伝えてくるから。
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