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一般高校生の僕が、実はいろいろ凄くて、ヤバイ。 作者:地横零人
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見知らぬ天井風景、我が家のだんらん

「はっ!」

真っ白い病室のような個室で、僕は寝ていた。ハァハァ・・・どこだ・・ここ・・・。

「そうだ。あの子は!あれから・・・あれから・・・えっと・・・」

思い出せなかった。頭が、痛い。

ふとドアのような場所から、一人の女性がやってきた。

「初めまして、三上三波さんの一人息子、三上晃弘みかみ・あきひろ君ね。初めまして。私は特殊事象警戒室特別顧問、結崎香苗よ。あなたと話すのは、これで三度目ね。覚えてる?」

そうだ・・たしか・・・・あの時・・・そうだ。電話で・・・。

「覚えてます・・・・えっと・・ここ病院ですよね・・・」

「ええ。そうよ。全部覚えてるみたいね」

「いえ・・・あの、甲冑を着た女の子に助けてもらって・・えと・・・それから・・それから・・・・」

それから・・・どうなった!?まるで覚えてない。こんなの、美鈴に無理矢理焼酎のカップを飲まされた時以来だ・・!

「すみません。ちょっと、それから覚えてないみたいです・・・」

「そうなの・・・。あなたには、聞きたい事があるんだけど、いいかしら?」

「どうぞ」

「アルゴス・ジェシーシューとはどこで知り合ったの?」

「えっと・・・え?いえ・・そんな人は知らないです・・・・誰ですか?その人」

じーーっと僕の目を見た後に、言った。

「記憶が無いのね・・・。まぁいいわ。・・・時間も無いみたいだし。後日、ゆっくり話を聞きます」

「お客さんが一人来てるわよ。それじゃ、また今度ね」

「アリス。入っていいわよ」

アリスと呼ばれた女の子が入ってきた。この子・・・そうだ。覚えてる。何故か隣にいた子だ。恐ろしいほど、どこかで会った気がした子だ。改めて見ると、佐織と同い年くらいだろうか。

「・・・・元気?」

「元気だよ。えっと。この前会ったよね。一緒に深夜、流れ星を見た」

「うん。・・・・・・・助けてくれて、ありがとう」

「ごめん。覚えてないんだ。いろいろあったみたいだけど・・・」

「そうなんだ。・・・・やっぱり、どこで会った気がする。どこかで・・」

ドアがバタンと開き、母さんが入ってきた。

「晃弘!!事故に遭ったと聞いたわ!大丈夫なの!?」

「あ・・・母さん。平気だよ。問題無し。お土産買ってきてくれた?」

「なんだ~~!全然平気そうね~~・・・。・・・あれ?この子・・・・。まさか」

「あなたも、どこかで会った気がする。・・・どこ?」

アリスがそんな事を呟く。

「特事の人間には、私の息子に指一本触れさせません。お引取りください」

「・・・・私、どこかであなたに会った気がするの。あなたも・・・同じでしょ?」

「いいえ。私はあなたになんて会った事もありません。帰ってください」

「・・・・そう。・・・・・帰るね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・待って」

「うん」

「あなた、家、どこ?」

「ホテルをとってもらってる」

「そう・・・これも運命なのね。いいわ。あなたもいらっしゃい。・・・お名前は?」

「アリス」

「私の名前は三上三波。この子は三上晃弘。宜しくね。握手」

そういって僕の母さんとアリスはぎゅっと握手をした。

「ちっちゃい手。私もこんな手だったのね」

「弘ちゃん。大丈夫そうだから、さっさと退院の準備しちゃって。もう行くわよ・・・あら?髪の毛、染めたの?似合ってるわよ」

「え・・うん・・っってあれ?染めてないよ・・っていうか人前でそれは止めてって!」

僕はいそいそと起き上がる。服がぼろぼろだ。ジーパンがビンテージになってる。

「あらあら・・・。最近そういうのが流行ってるのね。母さん知らなかったわ」

ま・・まぁね・・・・なんてかわして、靴を履く。靴がありえない程ぼろぼろになっている。というか、靴底が擦り切れてなくなっていた。

「このスリッパ・・・もらっていくよ」

そう行って、僕達は病院を後にし、車に乗り込んだ。病院の受付で治療費を払う払うと母さんがモメていた。車には父さんが乗っていた。

「心配したよ。元気そうでなによりだ・・・そっちの子は彼女?」

「・・・違います。元気ですよ。ちょっと事故っただけです。例のブツはちゃんと予約しておきましたから」

「ありがとう。兄弟」

「どうもです。兄弟」

「・・・・・・・・変なの」

母さんが乗り込んで、僕達は出発した。車内では、母さんと義父さんの、のろけ話で盛り上がった。

「おかえりなさい。父さん。義母さん。兄さん。・・・えっと。お客さん?」

「・・・アリス。よろしく」

「えっと・・・・三上佐織です。宜しくです」

「さぁお客さんだ。せっかくだから、寿司でも取るか!よーーし。お父さん、奮発しちゃうぞ~~~!」

「あら?私、ピザ食べたかったのに」

「よし!それじゃあピザにするかぁ~~~!お父さん、奮発しちゃうぞ~~~!」

「いいんじゃない?お寿司で?あ~~~そういえば、寿司も良いわねぇ!うん!やっぱり!」

「寿司でも取るか!よーーし。お父さん、奮発しちゃうぞ~~~!」

この二人、相変わらず、幸せそうだな。よかったよかった。

「はいはい。そうです。特上にぎり五人前。カッパ巻き二人前、鉄火巻き十二人前お願いします。はいはい。それじゃ」

「流石です。お父さん。鉄火巻き十人前なんて普通取らないです」

佐織がフォローを入れていた。

「流石義父さん。格好良いね!鉄火巻き十二人前なんて!凄いです!」

凄い良い笑顔で、僕達に向かって頷いている。

「ところで、兄さん。髪、染めたんですか?」

「・・え?いや、染めてないよ。どうして?さっきも母さんが似たような事を言ったよ」

「だってほら・・・洗面所に行って見てください」

僕は洗面所で鏡を見た。・・・・髪の毛が僅かにオレンジがかっている。かるい茶髪のようになっているのだ。

「あれれ?汚れちゃってる・・・」

水で濡らしたタオルで髪の毛をゴシゴシこする。・・・それでも落ちない。

「あれ~~~??・・・でも・・悪くない・・かな・・」

そんな事を呟く。うーん。まいっか。今日いろいろあった時に何かの染料が髪の毛についちゃっただけだろう。

「ひろちゃ~~~ん。お寿司来たわよ~~~~~?」

「いくよー」

速攻で、寿司がやってきていた。豪華絢爛なお魚達の宝石箱が、そこには、あった。
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