挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
桜天界下ニテ 作者:双葉奏
45/46

#45~Miyako~

「はらり、ひらり、桜の如く~、儚く散った、淡い恋~♪」
曖斗さんや夢斗さん、翼と話していると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。どうやら凜桜さんが歌っているようだ。
「あ、凜桜さんの声…ずっと誰かに似てるなあって思ってたけど。"桜"の"鈴ちゃん"と似てたんだ!!」
翼がふとそんなことを言い出す。言われてみるとかなり似てる。
「なんだ、お前ら"桜"を知っているのか?」
「知ってるなんてもんじゃないですよ!!大好きです!俺も都も!!」
さくら"は無料動画サイト『動画見聞録』、通称"ドーケン"で大人気のボーカルユニット。
りんゆうせいの三人で構成される。"桜"のファンは"サクラー"と呼ばれるのだが、私と翼ももちろんのことサクラーである。私のクラスも、半分以上がサクラーだろう。
「私、本当に"桜"だいすきなんですよ!!無垢な少女のような鈴ちゃんの声、女の子みたいだけどものすごくかっこいい星くんの声、頼れるお兄ちゃんのような優くんのイケメンボイス…あの三人はドーケンに必要不可欠…そして唯一無二の存在です!!」
急に立ち上がって語り始めた私を見て、ほかの四人はきょとんとしている。すると、夢さんがため息をついて、
「おい、聞いてんだろお前ら。いいかげん出て来い…」
そう言われた出てきたのは、"あの三人"だった。
『えっえええええええええ??!!"桜"?!』
「驚かせちゃってごめんね都ちゃん…実は私、鈴は凜桜なんだ。星はせーくん、優はゆーくん。なかなかタイミングがつかめなくて…。そもそも、都ちゃんたちが"桜"を知ってるかなーって思ってて…」
「えっ、じゃあさっき凜桜さんが歌っていた"淡き恋は桜の如く"って鈴ちゃんの生歌だったってことですか!?」
ビックリ…。まさかこんなに近くに有名人がいたなんて…もっと早く気付いていれば…凜桜さんたちがお風呂に入ってくるとふと、曖斗さんが、
「まあ、気づかないのも無理はないだろう。こんなにも姿がかけ離れているからな。」
それだ。普段の凜桜さんたちは黒い髪、黒い瞳をしている。特に凜桜さんに至っては一つ結びでお団子かポニーテールをしている。しかし"桜"はというと、鈴ちゃんは桜色の髪と瞳。星くんは水色、優くんは黄緑色。鈴ちゃんは高い位置でツインテールをしていて、天パなのかはわからないけど髪がくるくるしている。今は髪の毛を下ろして全体的にウェーブがかかっている。
「でも…凜桜さんたちは髪染めてたんですね!!それもそれで美しいですっ!」
「ありがとう…あ、でも染めてないんだよ?桜天界の水で髪を流すとね、期間は人それぞれだけど、その人が桜天界の人物なのか、人間界の人物なのか、わかるんだよ。桜天界の人だと、髪の色が変わるの。あーさんたちを見てみて。年を重ねるにつれ、だんだんと黒に近づいていくの。」
よく見ると曖斗さんは黄色がかった黒、夢斗さんは紫がかった黒い髪をしていた。静かに湯船につかること10分ほど。ふと悠也さんと誠也さんをみると私と翼を見て固まっている。曖斗さんは微笑んでいるし、夢斗さんは眉間んに皺を寄せている。どうしたんだろうと疑問に思っていると、凜桜さんがにこっと笑ってこういった。
「二人とも髪の色が変わってきてる~!桜天界の人だったんだね!!わたしたちとおなじだ!!」


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ