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チョコレートハート~甘い髪と甘い君~ 作者:レオ

第3章

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*第23話*

会話は、和から玲にバトンタッチと言うように
父と玲の会話が始まった。

「あなたが、唯の父親ですか。始めまして、新羅玲と言います。」
「・・・私は、美唯の父の進藤智志しんどうさとしだ。」
さすが玲。会話の仕方が穏やかだった。
こういう紳士的なところは玲のいいところの一つだとこんなときに思う。
「君は・・・どういう関係なんだ?」
「俺は、あなたの娘さん・・・いや、あなたの自称娘さん、進藤美唯さんの恋人です。」
「恋人・・・?!お前が、か?」
「はい、そうですよ」
穏やか・・・だけど、文中には少しグサッと来る言葉も入れる玲。
ここもさすが玲だなと思った。玲は怒るとドス黒い・・・。
「こんなチャラチャラしてそうな男と・・・」
「お言葉ですか、俺はチャラチャラしていませんよ?
この髪の毛も染めているわけではありません。地毛です。服が乱れているのは
さっき唯のベットの傍で寝ていたからでしょう。これでもチャラチャラしているといえますか?」
「っ・・・。・・・お前に関しては、もういい。」
「そうですか、では、直ちにお帰りください」
「何を言っているのだ?私はまだ美唯と話が・・・」
「話すことなんてないでしょう?あなたは、自称、父親なんですから。ね?唯」
「うん。自称じゃなくて、父親じゃないよ」
「ほら、唯も言ってるじゃないですか?なので、見知らぬ人が病室にいるのはおかしいので
早くお帰りください。」
「おい、ちょっと、やめなさい!大体、家族じゃない奴がどうして家族の問題に・・・」
父が文句を言い出したとき。

「大丈夫、問題ありません。俺と唯と和は、もう少しで家族になりますから。」

「なんだと?」
「え?」
「ぇ・・・?」

さすがの私でもクエスチョンマークが頭につく。
泣いていた和でもさえも小さな声でクエスチョンマークのつく言葉を発する。

「玲?」
「玲兄ちゃん・・・?」
私たちから背を向けて話していた玲がパッと後ろを向き
人差し指を自分の唇に当てて、『しー』と口パクで言った。
「なんだと・・・って、そのままですよ。俺たち、籍を入れるんです。
18歳と18歳。もう十分籍を入れられる歳ですからね?」
あたりまえと言うように玲は言った。
そして、いつまでもそれに驚いて状況についていけてない私。
「美唯、そうなのか?!」
「え?あ、そ、そうよ。あんたに否定権はないけどね」
きつく言うものの否定権もなにも私が一番混乱している。
「そういう事なので、俺たちが実質家族なんですよね。なので、お引取りください」
ニッコリ笑う玲だけど、私にはその笑顔がとても恐ろしく思えた。
いつもの甘い優しい笑顔ではなく、・・・悪魔の微笑み、と言う感じだろうか。
「・・・仕方ない、今日は帰ってやるが、美唯、次こそはしっかり話を・・・」
「いやだよ、あなたと口も聞きたくない。一緒私達の目の前に現れないで。」
「俺もおっさんを見ただけで、嗚咽が走るよ」
「俺も、あまり見たくはないですね。不正偽お父様なんて」
「し・・・___」
3人のあまりにも酷い追い討ちに父は挫折し、言葉を途中でやめて、病室を出て行った。
そして、それと入れ替わりぐらいに、海利先生が入ってくる。

「かなり口論してたみたいだけど、自分の父親にあそこまで言ってもいいわけ?」
「いいの、本当に、もう顔も見たくないもの」
「・・・そう、まぁ、そっちの問題だし俺はどうだっていいんだけどね。
てか、さっきの口論でかなり血圧あがってるんだけど・・・。とにかく横になって」
「・・・ごめんなさい」
「いいよ、やむを得ない状況だって事ぐらいわかるよ。俺はこう見えても聞き分けのいい大人」
ニヤッと笑ってから、横になった私の体温や脈を測っていく。

この軽やかな口調で私に話してくるのは、進藤海利しんどうかいり。父方の兄妹の
息子で、現在26歳で私の専属の医師をやっている。・・・正確には、元母の専属医師。
簡単に言うと私の従兄弟。少し上だけどね。
海利もあまり私の父を好いてないらしくて、こういう口論に口を出してくる事はない。
本人ひく、「関わってもいいことないだろ」だそうで、確かにと納得する私。
赤みがかった髪は長くて、女の子みたいに肩のへんで一つに結んでいる。
顔立ちは、父とは違って綺麗で美形だけど、玲は少し違う感じの美形。
これでも独身というのが私は毎回驚いている。

「はぁ・・・体温上がってるは、脈もよくないは・・・。安静にしてないからこうなるんだよ。」
「・・・だって・・・」
「だってもなにもないけど、・・・まぁ今日は許しておいてやるよ。
今度んなことあったら注射5針打つぞ?」
「海ちゃん鬼畜すぎませんか・・・?」
「海ちゃん言うな、海利先生って言え。一応医者。」
「海ちゃん、また、赤に染めた?」
和が関係ない話を吹っかけるものだから、玲はクスクスと笑っている。
「だーから・・・まぁ和はいいか。髪染めたぞ」
「んー・・・不良医師だね」
「あぁ?いやまぁ否定できないけど」
「「否定できないんだ・・・」」
玲と私の声が被り、皆笑った。


人間もそうだけど、人生だってそう。
人生、山アリ谷アリって言うでしょう?
これはね、人生はデメリットだけで出来ているんじゃないくて
メリットと半々ぐらいでできてるんだよ。

悲しいことがあったって、悲惨な事があったって
絶対どこかで笑える事ができるの。
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