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第四ヒロイン。ロリロリ小学校編、決着。……そして
たら子ゎ頑張った…… 皆がまってる…… でも……もぅつかれちゃった…でも…… あきらめるのょくなぃって…… たら子ゎ……ぉもって……がんばった……でも……ネイル…われて……イタイょ……ゴメン……まにあわなかった……でも……たら子と皆ゎ……ズッ友だょ……!!
……。
はい、たら子です。
最近のマイブームは前書きでふざけることです。
今回文字数が多く、4000字程度あります。
それでは、お楽しみ下さい。
掃除の終わった私達は廊下を歩いていた。
身を切るような寒さは校舎の中に入ると、幾らかマシになる。
教室に着くまで、なんとなく桜井さんと喋る。いくつかの言葉を交わして、話の内容は卒業式のことになった。
「もうすぐ、卒業だねー。寂しくなるよー」
「寂しく? 中学も皆一緒でしょ?」
私達の地域にある公立の中学校は一つしかない。当然皆がそこにいくのだろうと、思っていたから桜井さんの発言の意味が分からなかった。
「あはは、皆一緒にはいられないよー」
「えっ」
桜井さんの笑い声は無理に作ったもののように感じた。
「そりゃ大抵の人は公立の中学に行くかもしれないけど、私立の中学や転校する人だって少なくない数いるんじゃないかなー?」
桜井さんの言葉。
ポツリと呟いたそれが私にとって青天の霹靂とも呼べる言葉だった。
例えるなら、頭部をブロック塀で横殴りされたような衝撃。
「そっ……そっか、そうだよね!」
明るい声を出して、おどけてみせる。上手く取り繕えている気がしない。
「だからかな、今告白する人って結構多いんだよねー」
「どういうこと?」
「もうすぐ離れ離れになっちゃうなら、せめて気持ちだけでも伝えようってことだよー」
桜井さんは優しげな雰囲気をまとったまま、一言。
「冬空さんは伝えなくてもいいのー? いるんでしょー好きな人?」
「えっ⁉︎ ヒカルは別に幼馴染だし、好きとかそういうのよく分からないから。……それに私、可愛くないよ」
嘘だった。
別に恋愛に理解が無いわけじゃない。
怖いからだ。変わってしまうことが怖い。
もし思いを伝えて、それが叶わなかったら?
振られてしまったらきっと、すごく悲しい。
きっと立ち直るためには、物凄く長い時間が必要になる。
だから私は自分の気持ちを、この恋に答えを出すことを先送りにしてしまっている。
「やっぱりー。御伽くんが好きなんだ」
「えっ」
「私は別に冬空さんの好きな人が御伽くんだなんて、言ってないよー」
桜井さん、カマをかけたのっ!
我ながら古典的なトラップにひっかかってしまった。
「乙女は恋をすると可愛くなるんだって。当たって砕けろー」
「あははは、砕けるんだ、私の恋」
なんだかおかしくて二人して、笑ってしまう。
でもそれは少し前の取り繕った笑顔じゃなくて、心から笑えている気がした。
……この恋に向き合おうと思える気がした。
桜井さんは図書館に用事があるようで、教室には入らなかった。必然、私が一人で教室に入ることになる。
教室の扉を横にスライドさせると、未だ教室に残っている数人の生徒と目が合う。
私と桜井さん以外の他の四人がいない。
どうやら、教室の掃除はもう終わっているようだった。
まぁ四人でやる教室の掃除と二人でやる飼育小屋の掃除とでは、終わる時間に差があるのは仕方のないことだ。
特別学校に残ってやることをも無い私は、帰りの準備をするべく席に向かう。
「ねぇ、冬空さん。ちょっと話したいことがあるのだけれど」
聞こえてきたのは、重低音。
なんだろうか? 私は振り向く。
小学六年生の平均身長をゆうに超える体躯。
短く切り揃えられた硬い髪。
浅黒い肌。
逞しい肢体を包むジーンズとシャツ。
「何かな? ゴリ田さん」
「違うわよ! 合田よ!」
「ごっ、ごめんなさいっ、ゴリ田さん! じゃなかった合田さん」
同じクラスのゴリ田さん、またの名を合田さん。
クラスで一二を争う美人だ。
おしとやかな性格で男子達が噂をしていたことを聞いた覚えがある。
……盗み聞きだけど。
そんな美人が私なんかに何の用事だろうか?
とにかく、もう少し学校に残らないといけないことは確かだ。
「……、まぁいいわ。ちょっと聞きたいのだけれど、御伽くんと冬空さんって付き合っているの?」
「……付き合って無いけど」
まだ、付き合ってはいない。
私は恋心を先延ばしにして、保留にしていたから。
だから端的に事実だけを伝えた。
「やっぱりそうよね! 貴方みたいなブサイクと御伽くんじゃあ釣り合いが取れるわけないわ」
その通りだ。
私とヒカルとでは釣り合いがとれない。
だだ家が隣同士のだけ。
だだ親同士の仲が良かっただけ。
……だだ、ヒカルのことが大好きなだけ。
「じゃあ、私に協力してくれない? 御伽くんの好きな食べ物とか趣味とかそういうことを知りたいんだけど……」
「でも!」
言葉を遮る。
ずっと、このままではいられないのだろう。
ずっと、このままではいられない。
私もヒカルも、他の皆だって成長する。
体つきが変わってくる。男女の違いが現れてくる。
だから、心だって変わらないといけないのだ。
いつまでも変わってしまうのが怖いとか、振られるのが怖いとかそんな事を言っている時間は終わりだ。
だから、まず、手始めに。
自分の気持ちを表に出してみることにしよう。
「ヒカルの事は、大好きだよ」
言葉にした瞬間に、心が軽くなった感覚がする。
釣り合いがとれていないなら、とれるように努力すればいい。
外見だって気を配れば、幾分マシになるだろう。
他にもいっぱい頑張って、一緒にいたいと思わせるような女の子になればいいのだ。
自分だけが楽しいのではじゃなくて、自分だけが一緒にいたいのではなくて。
「協力はしないし、ヒカルの好きな食べ物も趣味も教えない!」
「なっ⁈ 勝手にすればいいわ! 貴方じゃ私には敵わないから!」
合田さんに、いつものおしとやかな雰囲気ではない。
かなり怒っているのだろう、カバンを掴み乱暴に扉を閉めて帰っていく合田さん。
その姿を私は、妙に清々しい気分で見つめていた。
☆
鞄をもって、教室を出る。
上履きから外履きに履き替え、家路につく。
冷たい空気に当てられて体は冷え切っているというのに、心は不思議と暖かい。
「ただいま!」
家の玄関を開けると暖かい空気とともに、美味しそうな空気が漂ってくる。
シチューだろうか?
リビングに入って、椅子に座る。
あれ? お皿が三枚しか無い。
「お父さん、今日お母さんの分のご飯いらないの?」
仕事で遅くなるの? 言外にそう匂わせる。
そう言えばいつもは早くに仕事に行くお母さんが、今日私とヒカルが学校に出かける時も家にいたから、それが関係しているのだろうか?
「いや、お母さんは今日仕事を休んだんだ」
「え? じゃあお父さんはご飯食べないの? 今ヒカルがいないのはどうして?」
「その話はご飯を食べてからにしようか」
頭の中に疑問符が浮かんで、それをお父さんにぶつけてみたくなる。
でもお父さんの困ったような微笑をみると、何も言えなくなる。
結局一回だけうなづいて、お母さんが帰ってくるのを待つ。
テレビは付けっ放しになっていて、最近人気の芸能人の乾いた笑いだけが、リビングに響いていた。
食事を済ませた私は階段を上がり、自分の部屋の扉を開け、そして閉める。
ガチャリと言う音と私がその場で座り込んだ音が、電気をつけていない薄暗い部屋の中に虚しく鳴る。
両親から伝えられた衝撃の事実に、耐え切れずに座り込んでしまう。
「どうして、気が、つかなかったんだろう」
……ヒカルがいなくなってしまうことに。
嗚咽の混じる声。震える声。
言うまでもなく、私の声だ。
両膝を抱え込み、その膝に額を合わせる。
頭の中はグチャグチャで、今の私には整理する必要があった。
思えば、ヒントはいくらでもあった。
中学も一緒だよね? そう聞いた私に対するヒカルの反応。
お母さんが仕事に行かずに、家にいた事。ヒカルの家の引越しの手伝いをするためだったのだろう。
私が引かれかけた引越し業者のトラック。【いつまでも一緒にはいられない】という、ヒカルの言葉。
そして、何よりも。
……何でもないよ。
言い淀んだ寂しげな声音。
幼馴染の寂寥たる声色が憂いを帯びた表情が、私の心になまりのように巻きつく。
私はただただ、うずくまっていた。
月の光を感じて、視線を窓に向ける。
どれくらいの時間がだったのだろう。
瞳の中に涙が溜まる。それが輪郭をつたって、落ちる。
それを何度も何度も繰り返して、涙の後が残る程度の時間は経ったはずだ。
この部屋に蔓延る陰鬱な空気を入れ替えたくて、窓を開ける。
コトリ。
窓に挟まっていたのだろうか? 何かの落ちる音がする。
その正体は封筒だった。
送り主にヒカルと書かれている。私は焦る気持ちを抑えて手紙を開き、中身を確認する。
冬空 雪菜様へ
これを読んでいるってことは、もう僕はこの街にはいません。
母の仕事の都合で、引っ越すことになりました。
どうして何も言ってくれなかったの? ってユキは怒るのかな?
言おうとはおもったんだけど、タイミングが合わなかったよね。
せめてものお詫びとして、プレゼントを入れておきました。
気に入ってくれるといいな。
ねぇ、ユキ。
連絡先も住所もあえて教えません。
ユキは頼りない所があって、手紙のやりとりとかをすると、いつまでもユキはそれにすがって頼りないままだと思うから。
本当はもっと書きたいことがたくさんあるよ。
でももう出発の時間。
あなたの幸せを、僕は心から応援しています。
御伽 光 より。
手紙を閉じる。
封筒の中に入っていたプレゼントとは、髪留めだった。
その髪留めを握りしめて、小さく決意する。
もう私の乙女でいられる時間は終わってしまった。
思いを伝えることも出来ずに、想い人は目の前から消え去った。
なら、私に出来ることは何だろう?
せめて、強く生きることではないだろうか?
……頼りないまま自分から、もう卒業しよう。
☆
「「「「「「「「「雪姐さん!! ちぃぃぃぃぃぃすっ!!!!」」」」」」」」」
中学二年。
ヒカルがいなくなって、一年と少しがたった。
あれから、私は変われただろうか?
きっと変われたと思う。
中学に入り、髪を金髪に染めた。
学校の教師達はいい成績をとって黙らせたし、生意気だと言ってくる先輩達も暴力でねじ伏せた。
その結果がこれだ。
右をみても、舎弟。左を見ても舎弟。
頼りない自分を変えたくて、ひたすら突っ走った。
その結果、
私は中学二年にして、レディースの頭になっていた。
如何でしたでしょうか?
ふふふっ、タグのヤンデレは病んでる女の子のデレだと思いましたか?
それもあるけどヤンキーデレの事でもあったんです!
ふぅ、やっと小学校編が終わりました。
次回から、やっと高校の話がスタートします。
ヤンキーになった幼馴染ちゃんをお楽しみ下さい。
それから、ブックマークが100を突破しました!
底辺なろう作家、卒業でございます!
なろうにある小説の九割がブックマーク100未満(とネットに書いてあった)ので、とてもとても凄い事だと思います!!
嬉しいです! 嬉しいです! ありがとうございます!
酷評でも構いませんので、感想を下さると嬉しいです!
ポイント評価もして頂けるとありがたいです!
最後にもう一度。
お読み頂いて、ありがとうございました!
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