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僕は男の娘であってマゾでシスコンで 作者:窪まり

【第二部】社会が変わっても僕たちの愛情は切り裂けない

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僕たちは田舎で過ごすことになった。

 民主主義とは微妙なバランスが必要だ。政治家の権力が強すぎると三権分立がなりたたなくなる。そうなれば報道の自由や司法がうまく機能しないから独裁政治へと傾く。逆にマスコミや法曹界の力が強いと、今までの社会のように猟奇的犯罪だらけになり、被害者の人権は無下にされる。

 で、やっと夏休み。
 僕と菜々子の二人で、ずーと田舎というところで過ごすことになった。
「こんな電気もガスもないところで」
「大丈夫だよ。電気は太陽光とガスタービンもあるから」
「二十二世紀になっても不便なところは」
 そこで、祖母の佐智枝さんから言うことを遮られた。

「外国を見なさい。人類が住んでいるところは、電気もガスもないのよ」
「で、情報がないから、外国に住んでいる人たちは、まだ中世や古代の社会に退化したままだと思って。それにさまざまな新人類やアンドロイドたちに迫害されながら、同じ人間どうしでケンカをしている」
「ほんと、人間ってどこまでも愚かなんでしょうね。共通の敵、アンドロイドや新人類がいるのに」
「で、この日本列島だけが繁栄をしている。安心して貸別荘で夏休みが過ごせる」


 僕は人間が天国に行けるのは、お金を稼げば稼ぐほど天国の門は近いという確信があるから。で、二十一世紀初期にTPPで資本主義が崩壊してしまったし、中期には猛毒性の細菌によって人類の大部分が死滅した。
 でも近代文明は維持できた。それを奇跡と呼ぶ。


 それで、競泳海パンをはいた少年アイドルがブレークしたのが二十一世紀前半だし、女の子のアイドルはえっちだという理由で強制終了させられた。

 そもそも、十万円のDVDソフトはバカみたいに大量生産しているのに、超豪華版のブルーレイ・ソフトは五千円で売っているが購買券がなければ買えない。また、ケーキは一万円もするけど値段が高すぎるために売れ残る。食パンは千円したが、購買券がないと買えないけど売れきれることが多い。資本主義が崩壊すると何が足りないとか何が多すぎるという情報があっても、偉い人が勝手に決めた価格と生産量で決められるので、二○五○年代まで日本もアメリカも旧ソ連と同じ経済状態になってしまった。
 で、この日本列島なら安心ということで○皇陛下よりも広大な敷地を持っている大金持ちが多い。だから、人口過剰の日本では超高層住宅が多い。

 おじさんたちの喘ぎ声がテレビから聞こえる。
 天国のメロディという。

 天国に入れると確信を得るために、金儲けをする。だから、資本主義の絶頂期に○皇よりも偉い人間だと思う人が日本列島に多くいる。

 大金持ち、億万長者のおじさんたちの喘ぎ声が聞こえる。
 「もんで、もんで、もんで、さわって、さわって、さわるぅう♪」

 二十二世紀現在、もうじき二十三世紀なる時代、爆乳財閥のおじさんたちは、みんなホモ。ホモでもお金さえあれば天国に入れる。

 ☆

「で、キリストよりもカルバンが宗教的に影響力があり・・・」
「お兄ちゃん、やめて。そんなことを言うとお兄ちゃんは自閉症児になるよ」
「なれるならなってみたいよ。自閉症に」
「アガペー症候群になれば天才になれるのに。天才になったら」
「金儲けの天才になって、菜々子を楽させたい」
 その時、僕たちの保護者である祖母の佐智枝さんが言う。
「どうして、ひねくれたものの考え方をするの。キリストはキリスト。宗教改革のカルバンはキリストよりは偉いわけ無いでしょう」
「でも、宗教改革なくして産業革命はありえないし」
「で、人類は自らの手で自滅を選んだ。経済も崩壊させて」
「昔の時代に生まれなくってよかった」

 僕はキリストがどんなに奇跡を起こしても、キリストよりも宗教改革のカルバンの方が偉大だと思う。生き返っても、奇跡を起こしても、そんなことは、巨万な富の前なら誰もが富にひれ伏すのではないだろうか。

 死んだ人を生き返らせるより、やはりお金が必要。それに権力と軍事力。
 で、人間は愚かすぎるから、新人類やアンドロイドに取って代わられようとしている。

「天国のメロディとは、億万長者のおじさんたちの喘ぎ声」
「もう、変なことを考えないで」
「どうして」 

 ひねくれた考えを正すのが、僕たちの保護者である佐智枝さん。
 佐智枝さんと妹の菜々子は姉妹のように顔が似ている。
 でも区別できようにとかの理由ではなく、菜々子は魔除けのつもりで、髪を金髪に染めている。長い髪は腰まで伸びている。僕は菜々子が日に日に、服装が派手になり、さまざまなアクセサリーで、身を包むことに何かを恐れている。

「菜々子、強い香水の匂いがする。まだ、小学五年生なのに」
「だって、私、○姦されたくないもん」
「どうして」
「私と同じ年齢だと一番狙われるし」
「だったら、ここで大人になるまで過ごさないか」
「佐智枝さんは」
「時々、来てもらうから」
「学校は」
「村の分校があるから」
「で、バーチャルリアリティとかは」
「ゴーグルもスーツもあるから大丈夫」
「そうなの。ねえ、お兄ちゃんといっしょなら、楽しいの」
「僕も」

 僕は世の中を屈折した見方をする。それは、大金持ちはあくどい手で大儲けした結果、人間は地球の王者ではなくなり、今はさまざまな新人類やアンドロイドたちにとって変わられた。

 テレビからは、築数千億円もする、ものすごく豪華な豪邸に住む億万長者の家が映し出され、数人から十数人もの少年アイドルたちが暮らしている。
 毎日、競泳用海パンを穿かされているし、上半身はとてもきれいな肌をしている。で、おじさんたちは美少年に目がない。

 で、僕は美少年以上に美しい体をしているから、僕は小学生の時に百万円も稼いだことがあった。それは、ママにも祖母の佐智枝さんにも内緒だった。
 そうしないとママに稼いだお金を取り上げられる。稼いだお金を出さないと、ママに完全無視されるのが怖かったから。

 で、僕のママは同性婚をして、今は幸せな生活をしている。

「で、お金持ちのおじさんのアレって、ものすごく大きいだよ」
「そうなの。お兄ちゃん」
「そうだよ。だから、お尻の穴には潤滑剤を入れないと」
「それを使わないと、肛門が破壊されるし」
「で、監禁生活で肛門を破壊された女の子が・・・」

「やめなさい。もう二百年前の話でしょう」
「今は薬物が加速度的に発達しているから、違法薬物は数百万種類もあるし」
「そうね。さとるは、薬剤師になるのでしょう」
「うん」
「違法薬物は素人が作ったもだけど、違法薬物製造マニアもいるしね」
「そう思う。で、誘拐して人体実験をする」
「とても怖い。私、○姦を繰り返しされただけでよかった」
 話の内容が凄すぎ。

「で、いろんな魔除けとかで身を守るのもありだけど」
「でも、菜々子は怖いの。○姦だけですまされるなら」
「菜々子、この田舎で大人になるまで過ごそう」
「そう思うわ」

 僕たちは、田舎で幸せに暮らすことになった。

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