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歌を歌いながら 作者:おれんじ
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「ちょっとここで待っててね。」




さっき見えた焚き火のすぐそばまでヒロさんに連れられてきた。多分、この先に仲間がいるんだろう。

ヒロさんは私をみて微笑んだ後、草木をかき分けて、焚き火の方へむかった。

男の人が、何人かで話している声がする。何を言っているかはよく聞こえない。




しばらく空を眺めて待っていると、ヒロさんが戻ってきた。


「またせて、ごめんねぇ。許可もらったからおいで。」

優しそうな微笑み。明るいところで見ると、ヒロさんの髪は紫色に染められていることがわかった。



ヒロさんに連れられて、草木をかき分けると、大きな焚き火の横に、どっかりと男の人が2人、あぐらをかいて座っているのが見えた。1人は体格もしっかりしているごつい男の人。髪の毛はオレンジ色に染められてる。
もう1人はほっそりしていて、頭が良さそうな顔をしている男の人。少し、顔立ちが女性的だ。髪の毛はみごとな金髪。


オレンジの人は、イライラしているのが、一瞬で伝わってきた。金髪の人はそんなにわかりやすく態度に示していないけど、瞳がすごく冷たい。

こんな目を向けられたのって初めてかもしれない。

しくったかな。
ついてくるべきじゃなかったかも。


金髪の人が私をしばらくみつめる。
なぜか、すごく怖い。
全てが見透かされそうな気がして。

「君は、どこから来たの?」

声色は優しい。それが余計に恐怖心を倍増させる。

「……それを言うことはできません。」

それだけしか言えずに、したを向くと、沈黙が流れた。すごくつめたい、沈黙。



オレンジの方がヒロさんをちらっとみて口を開く。

「……まぁいいよ。ヒロが拾ってきたんだ。何かあったら責任はお前が取れよ。」

「うん、わかってるよ、アキ。」

ヒロさんはオレンジの人、もといアキさんの目をじっとみつめて答えると、私の方に振り向いて微笑んだ。

「じゃあおいで。」

ヒロさんにまた手を差し出され、おとなしく乗っけると、そのまま手を引かれて馬車の方へ連れていかれた。

途中で、焚き火の方をちらっと振り返ると、2人は私のことをじっとみつめていた。


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