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昔話に役立つ思い出作りを 作者:花澤文化
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プロローグ 高校デビュー

高校デビュー



普通にある、聞き慣れたとまではいかないがよく聞く言葉だと僕は思う。僕はその高校デビューとやらを果たしたのである。すなわち中学校とはまったくの別人。性格も見た目も何もかも変えた。しかし今は高校生。学ランなので服は変えようがない。髪とか少し伸ばしてみた。黒髪でところどころ跳ねてるけど。癖があるのだ。軽い癖のある毛。身長も変えれない。160後半ぐらいだ。


いじめ


とはちょっと違うかもしれない。僕が自分から進んでその位置にいたのだ。いじめではなく究極的なマゾと思われるぐらいだろう。中学校の頃、僕はいじめられていた。自らの意思で。理由は言えない。言いたくないし、思い出したくもない。


自らいじめられてた人間がなぜ高校デビューをしたのか


僕はいじめられているということについては何も思わない。でもそれでまわりが同情してくるのが気に食わなかった。確かに同情してくれるということは優しいということなのかもしれない。でも優しいということは同情するということじゃない。矛盾してるかもしれないが優しいなら・・・・・・・・


助ければいいだろう。


そんなのアニメや漫画、ドラマの中だけだって分かってる。助けるとか助けないとかにこだわるのは幼稚なことかもしれない。でも僕はその時、世界の全てが見えたような気がして絶望したのだ。

まぁ、僕が高校デビューした理由なんて曖昧ぐらいがちょうどいい。とりあえずいじめられてた自分が許せない程度に考えてほしい。

だから僕は中学校から離れた高校に進学した。引っ越しもしなくちゃいけなくて一人暮らし。大変だけれど同じ中学のやつは一人もいなかった。幸い。


言い忘れていたが僕は今登校中。

高校の入学式からはやくも2週間。まだクラスには馴染めていないが、高校デビューしたのだ。自己紹介でダジャレも言った。そのうちいろんな人と仲良くなれるだろう。

「えーっと、今日の提出物は・・・・・っと」

僕は席に着き、提出物を確認する。忘れ物はなし!あぁ、そういえば部活も決めなきゃいけないんだっけ?何の部活に入るのかはもう決めてある。

「よぉ、確か吉本だったっけ?」

急に話しかけられた。僕は確かに吉本。吉本太一よしもとたいちだ。

「えっとそういう君は金本元也かねもともとや君だよね」
「君付けはやめろよ。呼び捨てでいい」

金本君・・・・・じゃなくて金本は確か中学でも人気があったほうらしい。ツンツン頭の黒髪で、制服も崩して着てる。親しみやすいやつだった。身長は170越えはしてるな。成長の止まった僕とは大違いだ。

「お前何部に入るんだ?」
「金本は?」
「俺はサッカー部だな」

質問返しにも関わらず快く答えてくれた。

「僕は図書部かな?」

読書は好きではないが苦痛ではない。むしろスポーツのほうが苦痛な僕は図書部がちょうどいい。ん?金本の様子がおかしい。震えてるように見える。

「お、お前・・・・・図書部に入るのか?」
「うん。スポーツ全般苦手だし。読書は苦にならないから」
「そ、そうか。お前は<勇者>だったんだな。お前と友達になれて嬉しいよ」
「はい?まぁ・・・・・どうも」

一回だけしか話してないのに友達になったらしい。それは僕としても嬉しい限りだが、あの反応はなんだったのだろうか?勇者?まぁ、いいや。

そんな感じで今日は金本と過ごした。といっても休み時間とかにだけど。





放課後。僕は入部届けを出そうと席を立った。金本はサッカー部の人ともう提出しにいった。すると僕の方に向かって女の子が歩いてきた。茶髪でロングの髪。身長は150後半。でもギャルっぽい感じはしない。たぶん茶髪は地毛なのだろう。そしてすごくきれいだ。いや可愛いと言った方がいいだろう。
うちの高校は男子学ラン、女子はセーラー服だ。そのセーラー服がファッションのように見える。

「あんた、図書部に入るんでしょ」
「え?まぁ、そうだけど」

その女の子は僕にそう話しかけてきた。僕は一番無難な言葉を選んで言った。

「私も図書部なの。行きましょう」
「え?あぁ、うん」

行きましょうとは入部届けを一緒に出しに行こうという意味だよな。重要なことが抜けている感じだった。主語とかね。

僕たちは教室を出て、廊下を歩いていた。向かっているのは職員室。そして僕の隣には女の子。確か、同じクラスの古河江実こがえみ。自己紹介の時に可愛い人だと思っていたから覚えていた。不純なことだろうが関係ない。

「えっと、古河さんも図書部なの?」
「さっきそう言ったでしょ。吉本くん」

名前を覚えられていた。やはりダジャレを言ったおかげか。

「あんな寒いダジャレ言われたら名前だって覚えるわよ」

もうダジャレは封印しよう。

「やっぱり他人みたいで嫌。私のこと名前で呼んで。私もあんたのこと名前で呼ぶから」
「え?あぁ、うん」

こんな返事しか返せない。「もちろん呼び捨てね」と念を押してくる。笑顔もまた可愛い人だった。



僕らは顧問のなの先生に入部届けを渡して、さっそく図書室へ行く。

「えっと、江実、なんで図書部に入ったんだ?」
「そんなの決まってるじゃない。不思議を解き明かすためよ!」
「不思議?」

何か気になる推理小説でもあるのだろうか?まぁ、なんにせよ仲良くなれそうな感じだと思った。

ガラガラ

「失礼します」

江実がなにも言わないので、僕が一人であいさつする。すると中にはすでに4人の人がいた。

「よぉっす」
「こんにちわー」
「こんにちわ・・・・」
「・・・・・・」

なんともあいさつで特徴が分かる4人だった。

「こんにちわ」
「・・・・・」

江実もだんまり。こういうのは苦手なのかもしれない。僕だって好きな方ではないけれど。

「えっと、先輩方ですか?」
「ううん。俺らも一年生だ」
「え?先輩方は?」
「いないぞ」

親しみやすそうな金髪くん。背は高くて180はあるんじゃないだろうか。金髪なだけで別に不良というわけではないようだ。整った顔立ちをしている。

「どういうことですか?」
「先輩たちは去年で卒業したんだよ」

今僕に話してくれたのは髪が短くて黒髪。背も高くて170はある。スポーツ万能そうな感じの女の子だった。なぜ図書部にいるんだろう。

「ってことは去年新入生が誰も入らなかったんですか?」
「その通りです・・・」

すごく内気そうな女の子が話してくれた。短いツインテールで黒髪。大人しそうな感じだけど可愛い女の子だった。

「・・・・・・・」

さっきからしゃべらない黒ぶち眼鏡。スポーツができるというより勉強ができるって感じの見た目。顔はかっこいいし、髪もきれいな黒髪。何がいけないんだろうかと思ったら・・・・

萌え本。

読んでる本だった。

「まぁ、自己紹介しようか」

と金髪。

「まずは俺からだな。俺は大和健やまとたける。1年8組だ」

金髪の名前は健というらしい。金髪はなんとなく染めてみたそうだ。

「あたしは小高真織こだかまおり。1年7組」

スポーツ少女は真織というらしい。なんで運動部に入らないのか聞いたら不思議に興味があるそうだ。
じゃあ、オカルト研究会に行けよ。

「えっと・・・・丘波朝居おかなみあさいです。1年3組」

大人しい少女は朝居。読書が好きなそうな。でも他にも理由があるらしい。

「僕は吉井太一。よろしく」
「私は古河江実。よろしく」

僕らも無難にあいさつする。残りは・・・・・・・・・

「俺は神木海斗かみきかいと

すごくぶっきらぼうだ。そういう性格らしいからしょうがないけど・・・。

「じゃあ、俺たちは名前で呼び合うことにしようぜ!同じメンバーだしな!」
「うんいいよー」
「うん・・・・」
「僕もいいと思う」
「私もそれでいいわ」
「・・・・・・」

だんまりはよそうよ!

「海斗、どうした?」

金髪・・・・じゃなかった。健は海斗にそう聞いた。すると・・・・・


「3次元ごときが、俺を名前で呼ぶな。名前で呼んでいいのはラスカちゃんだけだ」


図書室が凍りつきましたとさ。




初めのプロローグなのに長くなりました。

どうも花澤文化です。

この作品をどうかよろしくお願いします。
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