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【大相撲】

照ノ富士、新大関初日に初白星 豪快上手投げ 綱への第一歩

2015年7月13日 紙面から

碧山(手前)を上手投げで下す照ノ富士=愛知県体育館で(吉留常人撮影)

写真

◇名古屋場所<初日>

(12日・愛知県体育館)

 注目の照ノ富士は冷や汗ものの大関デビュー戦となった。2連覇が懸かる新大関照ノ富士(23)=伊勢ケ浜=は碧山を上手投げで下し、記念すべき初白星を手にした。しかし内容はバタバタ。立ち遅れて碧山に押し込まれ、両足が滑って体勢が崩れたが、そこから持ち直して最後は200キロ近い巨体を豪快に投げ飛ばした。近い将来の横綱を期待される大器。硬さもあったが、それでも勝ちきってしまう強さがある。

 初優勝した夏場所千秋楽に続く碧山を迎えた照ノ富士が、左足を滑らせてバランスを崩しかけた。「足が滑ってバタバタしちゃった。あそこで引かれたら落ちていた」。すぐに体勢を立て直して左四つに組む。豪快な右上手投げで193キロの巨体を転がし、新大関初白星を手にした。

 「ちょっと危なかったな〜」。勝ち名乗りを受けて土俵下に下りると首をかしげた。花道奥の通路でも軽く首を横に傾けた。「土俵が滑る。メッチャ滑る」と何度も連呼した。

 大関としてのスタートを切る節目の朝も余裕たっぷりだった。朝稽古ではボクサーのようにシャドーボクシングをやってみたり、総合格闘家のマネ? なのか、エルボーから膝蹴りを入れたりするほどリラックスしていた。「(緊張は)してないよ。場所にいったらどうなるか分からないけど」

 ふたを開けてみても、リラックスモードは変わらない。新大関として取組前からフル回転だった。協会御挨拶、土俵入り、夏場所の初優勝で手にした賜杯の返還式と3回土俵に上がる。ニヤリと不敵な笑みまで浮かべた。緊張していたかと尋ねた報道陣にも「何回聞くんですか? ないって言ってるじゃないですか。緊張してほしいんすか? 緊張してますか、っていう質問は止めましょう」。大関で本場所を迎えても照ノ富士の辞書にプレッシャーという文字はないのだ。

 大関昇進を祝って強力なサポートも得た。伊勢ケ浜部屋の東海地区後援会から前日に新しい化粧まわしを贈られた。満月をバックにクマがほえるデザイン。色白で豪快な取り口から白熊に似ていると言われる照ノ富士は早速、土俵入りで締めた。新化粧まわしでの新大関初白星。「いいっすね」。内容に納得いかなかっただけにようやく笑顔になった。

 過去4戦全勝の“お得意さま”碧山を蹴散らし、2日目に2戦2敗の勢とぶつかる。「大関として優勝争いしないといけない」。そう番付発表会見で決意表明した。賜杯を再び抱きたいかを問われると、「別にそんな考えてないです」と照ノ富士。2006年夏場所の白鵬以来、9年ぶりとなる新大関Vを狙う23歳は無欲で戦う。 (永井響太)

 

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