マシソン、首位攻防戦ぶち壊した謎の1球
◆巨人2―4阪神(12日・東京ドーム)
巨人は2番手・マシソンが崩れ、阪神との首位攻防戦3連勝はならなかった。1―1の8回1死満塁のピンチで、2ストライクと追い込んでからの3球目を、阪神の代打・狩野に勝ち越しの中前適時打を許すなどこの回3失点。先発の菅野が7回1失点と粘投し、4回には長野が一時同点となる8号ソロ、9回には阿部が7号ソロと、お家芸の本塁打は6戦連続と復活しつつあるが、連勝は5でストップした。
力のない小フライが中前に落ちた。勝ち越しの1点は、阪神に転がった。マシソンは首を左右に振って、顔をしかめた。立て続けに失点を重ねて、今季の自身ワーストとなる3失点。試合後、原監督は「3点取られるというのはねえ。フォローはできないところだな」と表情を曇らせた。
疑問の残る1球だった。同点の8回に2番手で登板したマシソンは、1死からマートンに右中間二塁打を許し、今成の左前打、上本に死球で満塁のピンチを招いた。続く鶴岡の代打・狩野との勝負。2球連続で外角低めへのスライダーで上体を泳がせ、空振りを奪い、2ストライクと追い込んだ。そして、3球目、前2球と同じ外角低めのスライダーを当てられ、中前への決勝点にされた。
勝負の3球目。マシソンは「スライダーに対応しきれてないと感じていた。ラッキーなヒットだったし、投げたことに後悔はない」と話した。だが、捕手・加藤の要求は同じ“外スラ”も、ストライクゾーンから球2個ほど外した誘い球だった。犠牲フライでも1点を失うため、三振がベストな場面。マートン、今成には真っすぐを痛打され、制球も不安定なだけに、直球は要求しづらかった。秦バッテリーコーチが「真っすぐを内角に投げられればいいんだが、その制球力はない。だから、打者が届かない外のスライダーを要求した」と言うように、前2球の制球を信用しての配球だった。
打った狩野は追い込まれてから「少し低くして構えた」と両ひざを曲げて、同じ軌道を意識して待っていた。加藤の配球通りの完全なボール球を投げられれば、つられて空振りを奪えていたかもしれない。接戦の時こそ、繊細なコントロールが必要で、秦コーチが「もっと外角低めの制球力を磨いてほしい」と指摘するのも当然だ。
チームの連勝は5で止まった。前日(11日)の会見で原監督が「どこかに勢いというものがある」と話していた通り、2回には村田の好守で失点を防ぎ、3回に先制されても、4回に長野の一発ですぐに追いついた。「勢い」は確かにあった。だが、相手投手が好調な時こそ、投手を中心に守り、接戦に持ち込むのが原野球。マシソンは最近5試合で無失点と貢献度は大きいが、周囲が望むハードルは高い。“あの1球”が今季初の6連勝への壁になった。(水井 基博)