Dorothy Little Happyが昨日7月12日に東京・中野サンプラザホールにて「Dorothy Little Happy Live Tour 2015 5th Anniversary ~just move on~」と銘打った全国ツアーのファイナル公演を開催。本公演をもって秋元瑠海、富永美杜、早坂香美の3人がグループを卒業した。
2010年7月に結成し今年で活動5周年を迎えたドロシー。今回のツアーは彼女たちの5周年を記念したグループ最大規模の全国ツアーであるとともに、5人体制でのドロシーとしては最後のライブとなるため、ラストを飾る中野サンプラザホールには大勢のファンが駆けつけた。チケットは急遽当日券が若干枚数販売されたものの開演前に完売し、彼女たちにとって初の中野サンプラザホール公演はソールドアウトを記録した。
オープニングSEに乗ってメンバーがステージに姿を現すと、5人は1曲目から新曲「Tell me tell me!!」を繰り出して勢いよくライブを開幕させる。最初のMCでは1人ずつこの日のライブへの意気込みが語られ、その中で白戸佳奈は「中野サンプラザにお集まりいただきありがとうございます! 今日は中野サンプラザを世界中で一番楽しいライブ会場にしましょう」と笑顔でファンに挨拶。5人はツアーのタイトルにもなっている「just move on」やBiSとのコラボレーション曲「GET YOU」などを歌い上げ、オーディエンスのテンションを上昇させていった。
ライブ中盤、メンバーはファンを着席させてじっくりと聴かせる楽曲を中心に構成したセットリストを展開。このコーナーではメインボーカルを務める高橋麻里が「STARTING OVER」や「それは小さな空だった」といったナンバーで、その伸びやかな歌声をフロアに響き渡らせて2000人以上のファンを魅了する。一転して次のコーナーではドロシーの元気で明るい側面を存分に堪能できる「colorful life」や「ストーリー」などの楽曲を届け、5人は会場の熱気をさらに高めていった。
ライブも終盤に差し掛かり、ラストスパートで5人は人気曲を連投する。「HAPPY DAYS!」でファンを煽りながら笑顔を振りまいたメンバーは、その勢いのまま「諦めないで」「2 the sky」「恋は走りだした」の3曲のキラーチューンを会場に投下。テンションが上がりきったオーディエンスを落ち着けることなく、5人は代表曲「デモサヨナラ」を披露する。メンバーとファンの「好きよー!」「オレモー!」のコール&レスポンスが会場に響き渡り、曲の最後で富永は「みんなありがとう! 大好きだー!!」と絶叫した。
彼女たちの記念すべきデビューシングル曲「ジャンプ!」が歌い上げられたあと、白戸は「今日は中野サンプラザに来てくれてありがとうございました!」と改めてファンに感謝の気持ちを伝える。鳴り止まぬ拍手の中、白戸は続けて「このツアーは2カ月かけて25公演やってきました。今日が近付くにつれて終わらなければいいのにって思ったりもしたけど、こうやってステージに立ってたくさんのファンの皆さんの前で歌うことができて、今日は本当に最高の日です。結成した頃は5人しかお客さんがいなかったこともありました。あきらめないでここまでやってきてよかった。この5年間、ドロシーに携わってくれたすべての人に感謝の気持ちを伝えたいです。本当にありがとうございました!」と述べ、会場を埋め尽くす大勢のファンの大歓声に包まれた。そして5人は「14回目のありがとう」を熱唱し、ライブ本編を終えた。
アンコールでは彼女たちを迎えるためにファンが緑色のペンライトを用意。幻想的な光景を目の当たりにしたメンバーは感動でしばし立ち尽くす。すると「まだ皆さんにすべての気持ちを届けてませんでした」と白戸が語りかけ、5人は「over there」「Singing」の2曲を歌唱する。
そしてMCではこの5人での最後のライブということで、1人ずつが挨拶を行う。まずは卒業する早坂、富永、秋元が順に思いを打ち明ける。早坂は「この5年間の支えはいつも応援してくれるファンの皆さん、スタッフの皆さん、側に一緒にいてくれる家族でした。その大事な5年間から今日、私は卒業します。私はこの5年間で培ってきた大切で大好きな時間を胸に持ちながら進んでいきたいと思います。今日、早坂香美はこのステージでドロシーとしての幕を閉じますが、これからも変わらず笑顔で進んでいくこの5人の応援をよろしくお願いします」と涙を堪えながら感謝の言葉を述べた。
涙を堪えきれない富永は、言葉を詰まらせながらも少しずつ語り出す。その中で富永は「ドロシーは私の唯一の誇りでした。何もできなかった私が唯一自信を持つことができたのがドロシーでの活動でした。ドロシーは私に強さをくれました。メンバーは私のことをずっとずっと支えてくれました。私にとってドロシーは大切な居場所です。でもこの大好きな場所だったドロシーから今日、卒業します。私にはどうしても叶えたい夢があります。どうしてもなりたい自分がいます。それに向かっての決断でした。正直これから先、前を照らしてくれる先輩がいないのは怖いです。だけど夢のために前に向かって歩いていきます。絶対に後悔はしません!」と涙ながらに語り、そのままヒザから崩れ落ちてしまう。早坂、高橋に抱えられながらなんとか立ち上がった富永は、あふれ出る涙をタオルで拭った。
秋元は凛々しい眼差しのまま胸中を語り出す。秋元は「ドロシーにすべてを費やしてきてよかったと、今日のステージを経て改めて思いました。この5人でやってきたからこそ、ここに立つことができたんだと思います。去年の9月、今後ドロシーをどうしていこうかという話し合いがスタッフ、家族、メンバー全員でありました。そのとき、5人の意見はまとまりませんでした。この5年間、1つの夢に向かって5人は走ってきましたが、意見がまとまらなくなり、私は事務所の提案したドロシーの今後の活動に付いていけませんでした。夢を信じてやってきましたが、それを叶えるためには環境を変えるしかありませんでした。今日で私はドロシーを自分の叶えたい夢をつかみとるために卒業します。でも私の中にドロシーはずっと生き続けます」と卒業するに至った具体的な経緯を語った。
卒業する3人の言葉を聞いた高橋は「私は3人の卒業を聞いたとき、正直、すごく嫌でした。でもこうやってステージに立ちたいかどうかっていう気持ちは自分の意思だし、ステージに立つ人間はその意思が一番大切なことだと思います。今日でドロシーは5人ではなくなってしまいますが、これからも私はドロシーのメンバーとして歌っていきます。ドロシーを結成したときから私はメインボーカルでした。これからもドロシーのメインボーカルとしてドロシーを引っ張っていけるように、新しいドロシーを作っていけるようにがんばっていきます!」と今後も変わらずドロシーで活動していく意欲を示す。
最後に白戸は4人の発言を聞いて「複雑な思いになりました。私もドロシーは5人でやっていきたかったです」と述べる。すると隣にいた秋元が白戸に対し「じゃあなんで『バラバラでいい』なんて言ったんですか!?」と問い詰める。このひと言で会場の空気は凍り付き、静まり返った場内に秋元と白戸の問答が響き渡る。白戸は3人が卒業することをメンバーから直接報告を受けていなかったことを明かすも、秋元はそれを否定。「このままじゃドロシーがバラバラになっちゃいますと言ったときに『バラバラになってもいい』って言ったじゃないですか。私はそのひと言でドロシーを卒業することを決めたんです」と秋元が告白すると、白戸は「そんなことは思ってもないし言ってもいない。3人が卒業してもいいなんて思ってない」と真っ直ぐな瞳のまま反論する。
ここで今まで沈黙を守っていた高橋が口を開く。「こんな話をファンの皆さんの前でするべきじゃない。私はアイドルだからこんな姿を絶対に見せてはいけないと思う。私もメンバーなのでわかりますけど、これからどうしたいかだと思います。応援してくださるファンの皆さんにとってはドロシーとしてこれからどうしていきたいのかってことだと私は思います」と高橋は2人に意見を述べた。
白戸は高橋の言葉を受けて「せっかくの素敵なステージで、こんな話をしてしまってすみません。3人が卒業するのはメンバーだけの問題じゃなくて大人の人たちも関わっていることだし、私たちだけでは解決できないことだと思います。でも私の思いを言うのであれば、3人には卒業してほしくなかった。だけど3人が新しい夢に向かってがんばるんであればしっかりとそっちの道でがんばってほしいと思っています」と卒業する3人に向けて複雑な心境ながらも自身の思いを打ち明けた。
そのまま白戸は「曲、歌えますか?」とメンバーに問い掛ける。その言葉で会場の凍り付いた空気は一気に溶け、笑い声と拍手が巻き起こった。最後に秋元は「ドロシーはこの5人で本当によかったです。今もステージ上でいろんなことが起きてるけど……メンバーのことを嫌いになったことは1回もないです。いつだって真剣にぶつかってきて5人でやってきたから今日ここに立ってるんだと思います。見ての通り、けっこうみんな強気です。だからみんな必ず夢を叶えると思います。皆さんにはこの5人がそれぞれ夢を叶える姿を見届けてほしいです。これからもこの5人の応援をよろしくお願いします」とコメント。続けて白戸は「こういうふうになってしまったのは私がちゃんと自分の思いを言うことができなかったからだと思います。最後の1曲、この5人で歌うので、皆さん、目に焼き付けてください! 今日はツアーファイナルだけど私は終わりだけのライブにしたくなかった。ドロシーに残る2人も卒業する3人にも未来につながるライブにしたかった。だから最後の曲は『未来へ』にしました」と述べ、5人でのラストナンバー「未来へ」を熱唱した。
鳴り止まぬ拍手の中、5人は最後に「ありがとうございました!」と挨拶してツアーファイナル公演、そして現体制最後のライブを締めくくった。なおこの日の公演の模様を収めたBlu-rayおよびDVDは9月23日にリリースされる。