塚本和人
2015年7月13日05時01分
京都市北区の世界遺産、上賀茂(かみがも)神社で約50年前に発見されたガラス片(6~7世紀)の化学組成が、ササン朝ペルシャ(226~651年)の王宮遺跡で見つかったガラス片(5~7世紀)とほぼ一致した。東京理科大の阿部善也(よしなり)助教(分析化学)らの調査でわかった。上賀茂神社のガラス片は正倉院宝物「白瑠璃碗(はくるりのわん)」と似た特徴を持つことから、正倉院宝物の伝来ルート解明にも役立ちそうだ。
ガラス片は縦6センチ、横4・2センチ、厚さ1センチ。文様から、二重円形切子(きりこ)装飾が施された厚手の碗型容器の破片とみられる。1964年に神社本殿北側で郷土史家が採集し、京都市考古資料館が所蔵する。神社は古代の氏族、賀茂(かも)氏の祖神、賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)をまつり、古来、祭祀(さいし)の場だったとされる。
今回、兵庫県佐用町の大型放射光施設「スプリング8」で高エネルギー放射光蛍光X線分析などを実施。イラク中部にあるササン朝の首都クテシフォンの王宮遺跡「べー・アルダシール」で流通したとされるガラスと組成的特徴がほぼ同じだった。
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