ギリシャに72時間の猶予、欧州首脳が緊縮策の法制化を要求
2015/07/13 07:12 JST
(ブルームバーグ):欧州首脳は12日、ギリシャのチプラス首相に対し、反緊縮の原則を曲げるか、それともユーロ圏を離脱するか二者択一の決断を迫った。
ユーロ圏の首脳らはチプラス首相にこれまでの支援策の条件で実行されていない項目のリストを突きつけた。その上で、5年間で3度目となる新たな救済と引き換えに債権者の主要な要求を法制化するよう、3日間の猶予を与えた。これら条件はチプラス氏が野党時代から1月の首相就任後も非難し続けたきたものだ。
12日のブリュッセルでのユーロ圏首脳会議はギリシャの資金が底を突きつつあり、銀行休業が2週間続く中で、同国がユーロ残留を果たす最後の機会として開催された。同国は6月30日が期限だった国際通貨基金(IMF)への債務支払いを履行できず、同日に第2次支援プログラムも失効した。
ドイツのメルケル首相は「ギリシャの経済的状況、さらにこの数カ月での悪化を考慮しつつ、信用と信頼性という面で失われたものを考えると、事態は極めて厳しい」と記者団に述べた。
「極めて悪い」内容11、12両日に開かれたユーロ圏財務相会合で細部を詰められたギリシャへの条件について、ギリシャ政府はまだコメントしていないが、ブリュッセルで語った同国当局者の1人はチプラス政権と国民にとって同文書は「極めて悪い」ものだと説明した。さらに、ギリシャを一時的にユーロ圏から離脱させる構想をドイツがまとめていたことも明らかになった。
アジア時間13日早朝の外国為替市場でユーロはドルに対し一時0.6%安となった。
欧州首脳らに示された文書によれば、ギリシャは15日までに付加価値税(VAT)引き上げ、年金減額、破産法の改正、統計局の独立性確保などを法制化する必要がある。
ギリシャでは資本規制下で銀行預金の引き出しが制限されている。欧州中央銀行(ECB)は同国の金融システムがいつまで持ちこたえるのか、状況を見極めようとしている。12日に予定されていた欧州連合(EU)28カ国の首脳会議は中止となり、チプラス首相は執行猶予を与えられた格好。マルタのムスカット首相によると、この日中止となったEU首脳会議は、ギリシャのユーロ圏離脱をどう扱うか協議することが目的だった。
首脳会議の会場に到着したチプラス首相は記者団に対し、「誠実な妥協への用意がある」と話した。「分裂ではなく統一された欧州を望む住民に対し、我々は責任を負う。当事者らが望めば、今夜中の合意達成は可能だ」と述べた。
原題:EU Demands Tsipras’s Capitulation as Greek Bailout Costs Spiral(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ブリュッセル David De Jong ddejong3@bloomberg.net;パリ Mark Deen markdeen@bloomberg.net;ブリュッセル Jonathan Stearns jstearns2@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: James Hertling jhertling@bloomberg.net Ben Sills
更新日時: 2015/07/13 07:12 JST