対象ソフトウエア:Windows Vista/Windows 7/Windows 8/Windows Server 2008/Windows Server 2008 R2、IE7/IE8/IE9/IE10
Windows OSに付属している標準ブラウザー「Internet Explorer(IE)」は、これまでマイクロソフトによるサポートの終了時期に注意を払う必要があまりなかった。なぜなら、Windows OS本体のサポート終了日まで、いずれのバージョンのIEもサポートが継続されることになっていたからだ。
しかし、それは過去の常識になりつつある。2014年8月にマイクロソフトがIEのサポートポリシーを変更し、「古いIEのサポートを2016年1月13日で終了する」ことにしたためだ。すなわち2016年1月13日以降、サポートされるIEは最新版だけに限られる。
ここでいう「古い」IEとは、各Windows OSにインストール可能なIEのうち、最新版以外のバージョンのIEを指す。Windows 7を例に挙げると、「古い」IEであるIE8/IE9/IE10が間もなくサポート終了を迎えることになる(最新版はIE11)。
どのバージョンが「古い」IEなのか、どれが最新版IEに該当するかは、Windows OSによって異なる。それを下表にまとめてみた。詳細については、右上の関連記事を参照していただきたい。
2016年1月にサポートが終了する「古い」IE | 2016年1月以降もサポートが続く最新版IE | |
---|---|---|
(サポート終了) | (サポート終了) | |
Windows Vista | IE7/IE8 | IE9 |
Windows 7 | IE8/IE9/IE10 | IE11 |
Windows 8 | IE10 | (なし。OS自体のサポートが終了するため) |
Windows 8.1 | (なし) | IE11 |
Windows 10 | (なし) | IE11(標準ブラウザーであるMicrosoft Edgeとは別に利用可能) |
(サポート終了) | (サポート終了) | |
Windows Server 2008 | IE7/IE8 | IE9 |
Windows Server 2008 R2 | IE8/IE9/IE10 | IE11 |
Windows Server 2012 | (なし) | IE10 |
Windows Server 2012 R2 | (なし) | IE11 |
各Windows OSでのIEのサポート終了時期 インストール可能なIEのバージョンがWindows OSによって異なるため、サポート終了を迎えるIEのバージョンも異なる。なお、「(なし)」となっているのは、そのWindows OSではIEのバージョンアップができない、すなわち一種類のIEしか利用できないためだ。 |
では、マイクロソフトによるサポートが終了すると、どのような影響があるのだろうか?
筆頭に挙げられるのは、セキュリティ更新プログラム(セキュリティパッチ)の無償提供が終わることだ。もし2016年1月13日以降に、サポートの終わったIEに対して新たなセキュリティ上の脆弱(ぜいじゃく)性が発見されたとしても、それは修正されることなく放置される。たとえそれが、システムの乗っ取りや情報漏えいにつながる危険な脆弱性でも、だ。
そんな危険な状態のWebブラウザーを使い続けることができるだろうか? 特にビジネスの現場では許されないだろう。すなわち「IEのサポート終了日」=「IEの寿命」ということだ。
今利用しているIEが2016年1月13日のサポート終了の対象に含まれるなら、サポート終了前に何らかの対策をしなければならない。
いくつかある対策の中で、最も手軽なのは最新版のIEにアップグレードすることだろう。Windows OS自体をアップグレードするのに比べれば、その手間は少なく済む。またGoogle ChromeやMozilla Firefoxのような他のブラウザーに移行するのと比べると、従来のIEとの互換性を維持しやすい(それにこの方法だと古いIEがシステムに残留するため、脆弱性を攻撃される危険性も残ってしまう)。
最新版IEへのアップグレードは、Windows Updateによって実行できる。というよりデフォルトの設定のままであれば、IEはすでにWindows Updateによって自動的に最新版へ更新済みのはずだ。従って、現在でも古いIEのままということは、何らかの手段でWindows Updateによる更新がブロックされている可能性が高い。
もしWindows UpdateでIEを更新するつもりなら、そのブロックを解除する必要がある。具体的な手順については右上の関連記事が参考になるだろう。
多数のPCに最新版IEを展開するなら、IEのオフラインインストーラーを展開ツールと組み合わせて使う方が便利だろう。どのバージョンも、マイクロソフトのダウンロードセンターから入手できる。
最新版IEとそのインストーラーのダウンロードページ | |
---|---|
Windows Vista | Internet Explorer 9 |
Windows 7 | Internet Explorer 11 |
Windows 8 | (OS自体のアップグレードが必要) |
Windows 8.1 | (アップグレード不要) |
Windows 10 | (アップグレード不要) |
Windows Server 2008 | Internet Explorer 9 |
Windows Server 2008 R2 | Internet Explorer 11 |
Windows Server 2012 | (アップグレード不要) |
Windows Server 2012 R2 | (アップグレード不要) |
2016年1月以降もサポートが続くIEとそのインストーラーのダウンロードページ リンク先はマイクロソフトのダウンロードセンターである。32bit版(x86)か64bit版(x64)のいずれかを選んでダウンロードしていただきたい。 |
ご存じの通り、IEのバージョンを上げると、Webアプリケーションが正しく動作しなくなることがしばしばある。そんなときのために、IEには過去のバージョンとの互換性を確保するための動作モードが実装されている。
IE11の場合、「エンタープライズモード」という機能がそれに該当する。このモードを使うと、最新のIE11のセキュリティ対策が適用されたまま、ブラウザーの挙動がIE8となるべく同じになるように変更される。具体的なその使い方や設定方法については、右上の関連記事を参照していただきたい。
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