ぼくは、なんにもない。よく、趣味は? と聞かれることがあるが、なんて答えたらいいかわからない。音楽鑑賞? ゲーム? 映画? なんかそういう娯楽的なことは休みの日にしたりするけど、別に趣味と呼べるほど嗜んではいない。例えばさ、マンホールが趣味なんて人も世の中にいるんだってね。日本中歩き回って、その地域のマンホールの写真撮ってコレクションしているらしい。バカなんじゃないの? とつい最近まで思っていたけれど、いや、これって好きなことに熱中していて、人にも話せるネタにもなっているし、なによりもすごく楽しそうで、充実しているんだよね。今じゃこういう“趣味”を持っている人を見ると、心底羨ましくなる。だからといって、ぼくもなにか好きになって、それを趣味にしたいなってそうにはならない。何を好きになっていいかわからなくって、いやでもなんか身の回りに気づいたらあるもの、例えばいつも飲んでいるコーヒーを少しいいランクのものを飲んでみるとかさ、そういう些細なことから初めて見れば? って友人から言われたけれど、全然興味が湧かない。ああいうマンホールのようなものを趣味にする人って、多分ぼくとは幼少期から育ってきた環境が違うんだろうな。今から真似なんかしようとしたって無駄なんだろうな。人のことも、もののことも、あんまり興味が出ないんだよ。普通の家庭で、普通に育って、それがいいことなんだと思っていて、それに対する反発とかってなにもなくて、普通に大人になって、普通の人になった。ああつまらないな、ぼくの人生。子どもができたら、お父さんの若い頃はな、って自慢できるような父親になりたかったな。でもまだ26歳だし、明日会社に行く前に、ちょっと本屋に寄って、少しでも興味が湧くものを探してみようかな。もしかしたらなにかみつかるかもしれない。頑張ろ。
なんて思った日曜の夜でした。
学校の授業で何の時間が好きだったか、とかがヒントになるんじゃなかろうか