ILO過去の報告書 植民地時代の徴用は強制労働条約違反
【東京聯合ニュース】国際労働機関(ILO)が16年前の報告書で、日本による植民地時代の労働者の動員は事実上違法な労働にあたるという見解を示していたことが分かった。
聯合ニュースが10日までに確認したところ、ILOは1999年3月にまとめられた専門家委員会の報告書で、日本が第2次世界大戦中に韓国と中国の多数の労働者を自国の産業施設に連れて行き働かせたことを「条約違反」とみなした。植民地時代の徴用は、1930年にILOで採択された強制労働に関する条約(第29号)に違反するという判断だ。
この報告書は、労働環境が非常に劣悪で大勢死亡したという日本の労働組合などの説明も載せている。産業施設に連れて行かれた労働者は日本人と同じような労働環境と給与が保障されるとの約束だったが、実際にはほとんど給与を受け取れなかったか、または無給で働いたという主張も記されている。厳しい労働環境のために労働者の死亡率は17.5% 中には28.6%に上る産業施設もあったことが、日本外務省の作成と推定される文書からも分かるとした。
日本政府はこの件に関するILOの審議において、1965年の韓日請求権協定と1972年の日中共同声明で法的な問題は完全に解決されており、戦時中に与えた被害を認めたり謝罪したりする発言を複数回行ったと強調した。
それでもILOは、「日本の民間産業がこうした凄惨(せいさん)な環境で働かせるために労働者を多数動員したのは条約違反だと委員会は考える」とした。被害者個人に賠償するための措置が取られなかったことにも言及。韓日請求権協定に基づく日本から韓国への国家間の支払いでは被害者の痛みを癒すのに十分ではないと指摘した。
さらに報告書は、旧日本軍慰安婦問題に関しても検討した上で、日本政府が被害者に対し責任ある措置を取ることを提言した。
戦時中の朝鮮人の強制労働をめぐっては、「明治日本の産業革命遺産」の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産登録に際した日本政府代表の発言に関して菅義偉官房長官が、徴用はILOが強制労働条約で禁じた強制労働には当たらないとの認識を示している。
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