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高田氏の兄ら起訴 静岡市長選違反

◆プランナーも

 四月の静岡市長選で落選した高田都子(ともこ)氏陣営の選挙違反事件で、静岡地検は十六日、公選法違反罪(利害誘導、事前運動)で、選対本部長だった高田氏の兄の大手薬局チェーン元副会長高田隆右(りゅうすけ)(66)=静岡市葵区西草深町=と選挙プランナーの斎藤まさしこと酒井剛(63)=東京都練馬区=の両容疑者を起訴した。

 地検は同罪で静岡市議宮沢圭輔容疑者(36)=静岡市駿河区大谷=を追起訴、ポスティング会社社長井上有樹容疑者(30)=同市葵区城北=を在宅のまま追起訴した。静岡区検は同日、陣営の会計担当だった会社員田村幸洋容疑者(66)=同区神明町=を略式起訴した。静岡簡裁が罰金五十万円の略式命令を出し、即日納付された。

 起訴状によると、高田、酒井、田村の三被告は共謀して三月上旬〜同十二日、井上被告に告示前日の二十八日まで、高田氏への投票を呼び掛けるちらしを街頭で配るなどの選挙運動をするよう依頼。報酬として五百四十万五千円の支払いを約束したとされる。

 宮沢被告は高田被告らに頼まれ、支払金額など会社との契約の仲介をしたとされる。捜査関係者によると、高田、酒井、宮沢の三被告は否認している。

 静岡市長選は四月十二日に投開票され、現職の田辺信宏氏(53)が、高田氏ら新人二人を破って再選された。

 宮沢、井上両被告は、ちらしを時給千二百円で雇ったアルバイトに配らせたとして同罪(事前運動、日当買収)で起訴され、井上被告は釈放されていた。

◆陣営のちらし配布 選挙運動?政治活動?

 高田氏陣営の活動は、公選法で告示前は禁止されている「選挙運動」なのか、認められている「政治活動」か。高田被告らは「選挙運動の認識は無かった」と否認しており、公判でも争点になるとみられる。

 市選管によると、「選挙が特定される」「候補者が特定される」「投票を依頼している」の三要件に該当すれば選挙運動と判断し、警告の対象となる。地検は告示前の三月十三日、高田氏の名前や写真、「市長選出馬」の文言などを載せたちらしを街頭で「高田都子です。よろしくお願いします」と呼び掛けながら配布した行為などを「選挙運動」と認定。ポスティング業者に報酬を支払って依頼したとして起訴した。

 今回のちらしに投票を呼び掛ける直接的な文言はなく、発行元は高田被告が代表を務める政治団体。酒井被告は逮捕前の取材に「団体の機関紙を配っただけで政治活動だ」と主張。酒井被告と選挙活動した経験がある東京都内の現職市議(58)も「『よろしくお願いします』の呼び掛けもあいさつと変わらず、投票依頼ではない」と擁護する。

 一方、舛添要一都知事や森田健作千葉県知事の選挙を手掛けたプランナー三浦博史さん(64)は、今回の行為を「選挙運動でしかない」と言い切る。「政治活動のちらしは政策を訴えるもの。『当選すれば、史上初の女性市長誕生』などの文言は投票依頼を連想させる。呼び掛けの有無は関係ないだろう」と分析する。

 市選管の担当者は「投票一カ月前という時期と、呼び掛けを含めれば選挙運動とも考えられる。公明正大な選挙をお願いしていたので残念だ。裁判の行方を見守りたい」と話す。

 

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