鉄条網で逃亡防止 朝鮮人強制労働の実態示す文書発見
聯合ニュース 7月12日(日)18時51分配信
【ソウル聯合ニュース】世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」について、日本側が世界遺産委員会で言及した「forced to work」との表現は朝鮮人の強制労働を認めたものではないと主張する中、当時の日本の炭鉱で朝鮮人労働者の脱出を防ぐために鉄条網を設置したことを示す記録が見つかった。韓日文化研究所長で釜山外国語大名誉教授の金文吉(キム・ムンギル)氏がこのほど、福岡県の山野炭鉱の物資明細書を日本の博物館から入手し、聯合ニュースに伝えた。
用途を「半島人合宿所」とした物資明細書は鉄条網の規模・構造について、「半島人」の逃亡防止のため、高さを7尺延長し、140間を張り巡らすとしている。金氏は「半島人は朝鮮人強制徴用者を意味し、7尺延長は既存の構造物(壁など)の上に7尺の鉄条網を設置するという意味」と説明した。7尺は約2.1メートルで、140間は約255メートル。
金氏は「逃亡防止のための鉄条網は当時、朝鮮人が強制動員され、事実上の監禁状態で強制労働させられたことを示す明確な証拠」と強調した。
物資明細書では工事の着工日を昭和19年(1944年)3月1日、完工予定日を同年3月31日と記している。
鉄条網の設置は炭鉱で朝鮮人強制徴用者らの脱出が相次いだことに対応した措置とみられる。
日本側は朝鮮人が強制労働させられた施設が含まれる産業革命施設について、ドイツ・ボンで5日に開かれた世界遺産委員会で世界遺産に登録されてから「強制労働」を認めたものではないと主張している。日本側が世界遺産委員会で「brought against their will」(意思に反して)、「forced to work」(強制的に労役)などと言及したことを受け、韓国政府は強制労働を認めたものと主張した。だが、日本側は「働かされた」と翻訳し、強制労働を認めたものではないと反発している。
菅義偉官房長官は「1944年9月から1945年8月の終戦までの間に、国民徴用令に基づいて朝鮮半島出身者の徴用が行われた。これはいわゆる強制労働を意味するものでは全くないというのが、政府の従来どおりの見解だ」との考え方を示した。過去の侵略や植民支配は合法だったという日本側の従来の主張と歴史認識を繰り返したものといえる。だが、菅官房長官が言及した1944年9月以前にも朝鮮人の強制徴用があったことから、こうした主張は矛盾しているとの指摘もある。
kimchiboxs@yna.co.kr
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