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誰かにとっちゃきっと青くさくて―ドロシーリトルハッピー@中野サンプラザ

誰かにとっちゃきっと 青くさくて
よくあるって 笑われちゃう?
でも どうしたらいい? わかんないよ
ドロシーリトルハッピー「GET YOU」)

今日のラストが「未来へ」になることは想定していたので、冒頭は「未来へ」の歌詞を引用してレポートを書こうと思っていた。

でも、結論から言えば、そういう予定調和な気分にはさせてくれなかった。レポートを書けるかどうかも考えたけれども、今回、チケットの神様が僕に最前センターという最高のポジションを与えてくれた以上、5人のドロシーの最後を見届けて後世に残すのは自分の役目だと思い、書いてみる。ちょっと大げさかな。

ドロシーという存在の大きさ

キャパ2200人の中野サンプラザは早々にソールドアウト。前方エリアのチケットには、オークションで5万円近い値段が付いていた。

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そして、日テレ、@JAM、エイベックス、GIRLPOPなどからのお花。寺嶋由芙、GALETTe、TPDなどのアイドルからも。リリスクのリーダーでドロヲタでもある大部彩夏さんのは、たくさんの愛情と少々のキモさを感じる「ありがとうございます 好きです」の文章付。

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そんな5人のドロシーも今日が見納め。ツアーファイナルであるとともに、富永美杜、秋元瑠海、早坂香美の3人の卒業コンサートでもある。

幅広い表現で魅せた前半

クールなOPSEで入場。会場総立ち。高いステージにシルエット姿の5人が見える。凛々しさと女性らしさに始まる前から胸が震える。

新曲「Tell me tell me!!」で始まり、ライブ人気曲の「未来への虹」。メンバーの名前を全力でコールし、タオルを回す。「Breaking through」に続いて自己紹介。「ドロシーリトルハッピーの富永美杜です」という言葉も今日で聞くのは最後かと思うと感慨深い。

会場のクラップとの一体感が聴かせどころの「インマイライフ・フォーマイライフ」から、こうみんのリードボーカルで始まる「GET YOU」で会場を沸かせると、「次からの曲は座って聴いて下さい」というMCとともにバラードパートで。

傑作「STARTING OVER」から、ハーモニーをじっくりと聴かせる「それは小さな空だった」へ。別れを歌った曲の連続に、聴いている方としても、どうしても5人が離れ離れになることを重ねてしまう。

だが、そこから強い決意を歌った「ASIAN STONE」、癒されるような「やさしい雨」へと続くと、会場の雰囲気も和やかなものになる。

畳みかけるような後半

7月7日で結成5周年を迎えたというMC。メジャーデビュー直前に東日本大震災が起きたこと、いろいろなイベントが中止になったこと、それでもこの曲と出逢えて勇気をもらえたこと、その勇気を皆さんにも与えられたらいいという流れで「Life goes on」、そして「colorful life」「look at me」「ストーリー」と、人気曲を立て続けに歌う。

MCでは「もう最後だから」とかなりのフリートークが展開される。かなちゃんが肉団子と呼ばれていた話とか、るーなちゃんが今日もよく食べたとか、以前、準備体操で衣裳を破ってしまったなど。そして、それを聴いているみもの「何かたくらんでいるような表情」があまりこうみんに好かれていない…などの暴露大会。「自由にしゃべっていいの?」って確認する、いたずらっぽい美杜の表情かわいい。

「ライブ後半、もっと盛り上がれますかー?!」の煽りに続いて、アップテンポの「HAPPY DAYS!」、D!H!L!レッツゴー!コールの迫力ある「諦めないで」、こうみんのラップがクールな「2 the sky」と来て、るーちゃんがメインボーカルの「恋は走りだした」で会場内の温度は最高潮へ。そこからドロシーのキラーチューン「デモサヨナラ」。終盤にみもが「みんなー大好きー!」と叫ぶところがあるが、今日は「みんなーありがとう!大好き―!」というスペシャルバージョン。

「ジャンプ!」では高橋麻里がひときわエモーショナルとなり、観客のジャンプを煽るようなポーズを取る。もちろん僕もジャンプ!!

MCで「5周年の感謝」を述べた後、「ありがとうの気持ちを歌でも伝えたい」と言って、「14回目のありがとう」を。これでメンバーは一旦退場へ。

伝説となるであろうアンコール

熱烈なアンコールに応えて、登場したメンバーは「まだ伝えていない気持ちがある」と言って、「Over There」から、「Singing」を。実にドロシーらしい真面目な展開。

ここで、メンバー一人一人から挨拶。

早坂香美:「5人ともかなえたい夢がある。ドロシーでは辛いことや、正直、もう立ち上がれないんじゃないかと思ったこともあったけど、5年間この5人でやってきたことを誇りにして、夢を叶えるために頑張りたい」

富永美杜:「ドロシーの富永美杜でいるときだけは自信が持てた。これから先輩たちなしでやっていくのは不安もあるし、逃げ出したくなったりもする。(膝から崩れ落ちる)どうかこれからも応援して下さい」

秋元瑠海:「中学高校時代を全部ドロシーに捧げた。大変なこともあったが、この5人だからやってこられたと思う。5人のドロシーが大好きでずっと一緒にやっていきたかったが、去年の9月にドロシーの将来について、メンバーとスタッフで話し合いをしたがまとまらなかった。自分は事務所が示したドロシーの方向性に納得できなかった。かなえたい夢があってドロシーをやってきたので、その夢をかなえるために、卒業することになった」

高橋麻里:「ずっとドロシーのメインボーカル担当だった。いままでも歌を通じてたくさんの人の力になれたらと思ってきたが、その想いは変わらない。これからもドロシーリトルハッピーを応援してほしい」

白戸佳奈:「言おうと思っていたことは、メンバーの話を聞いたら吹き飛んでしまった。だが、私も5人のドロシーでずっとやっていきたかった」

ここで、秋元瑠海から「じゃあ、なんで5人がバラバラになってもいいなんて言ったんですか?!」とガチなツッコミ。佳奈ちゃんの表情は、動揺しているというよりも、怒りを感じているように見えたが、それを押さえながら言葉を探している様子だった。

白戸佳奈:「私は…バラバラになってもいいなんて、言ってない」
秋元瑠海:「じゃあ、なんでこうなったんですか」
白戸佳奈:「私は、3人が卒業するって直接聞いていない」
秋元瑠海:「言いましたよね? 9月からずっと話し合いしてたじゃないですか?」
白戸佳奈:「私は、3人と話す前に、事務所の人から聞かされたんです。そして、この話は、ここでするべきじゃないと思う」
秋元瑠海:「私は、嘘じゃなくて、本当のことを言ってほしいんです」

ここで、空気を読んだ麻里ちゃんが「私はアイドルは、ファンのみなさんの前でこういう話をするのは良くないと思う」と割って入る。

そこで会場からは拍手。しかし、会場からは「俺は聞きたいよ」という声もあって、まだまとまらない。「GET YOU」の歌詞になぞらえて言えば、「誰かにとっちゃきっと青くさ」いやりとりだったかもしれないが、これはドロシーファンが心の中で抱えていた疑問に答えるものであったと思う。

白戸佳奈:「私の気持ちをここで言うとすれば、5人のそれぞれが夢を叶えて欲しいということ。次、歌なんだけど、歌えますか?」
秋元瑠海:「はい。こんな風に、ドロシーの話し合いは、みんな真剣で強いので譲らないんですけれど、だからこそ、5人とも絶対に夢をかなえられると私は思います」

佳奈ちゃんが「それでは、この曲で終わりたいと思います。聞いてください」と曲紹介して「未来へ」を。

このときの佳奈ちゃんの複雑な表情を忘れることはできない。5人をまとめ切れなかった責任を感じているようにも、今日の晴れ舞台で見せたく姿を見せてしまったことを悔やんでいるようにも、明日から2人のドロシーになることを不安に思っているようにも見えた。

そんな「未来へ」だったが、とにかく、歌いきって手を振りながら5人はステージから去った。その美しい残像は今でも僕の目に焼き付いている。

5人のドロシーのファイナルは、中野サンプラザという大ハコであったが、ドロシーのパフォーマンスはそんなハコの大きさに全然負けていないどころか、大きなステージでますます映える感じがあった。

衣装替えもなく、特殊な演出もなく、凝った舞台装置も、スクリーンも、サプライズ企画もなし。もちろん、告知一つなかった。

だが、歌とダンスという素手の実力では日本のアイドルの最高峰。そんな5人のドロシーの最高到達点を、今日の中野サンプラザで見ることができた。

5人にとってドロシーは青春そのものだったと思うけれども、僕にとってもドロシーと過ごす時間は青春のようなものだった。特に、アルバム「STARTING OVER」という傑作を残したことは、アイドル史に燦然と刻まれるだろう。

こうして、5人のドロシーは今日伝説となった。

(セトリ)

1 Tell me tell me!!
2 未来への虹
3 Breaking through
4 just move on
5 インマイライフ・フォーマイライフ
6 GET YOU
7 STARTING OVER
8 それは小さな空だった
9 ASIAN STONE
10 やさしい雨
11 Life goes on
12 colorful life
13 look at me
14 ストーリー
15 HAPPY DAYS!
16 諦めないで
17 2 the sky
18 恋は走りだした
19 デモサヨナラ
20 ジャンプ!
21 14回目のありがとう
en1 Over There
en2 Singing
en3 未来へ

おまけ:チャリで来た

エストさん(https://twitter.com/ESTRELLAS2835)の自転車(@ESTRELLAS2835)の私物。私が撮影した5人のメンバーの写真を提供させて頂きました。

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