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シンタロウ・オガタの場合 14
第十五節
「…ディックのところに案内してくれ」
「あんだテメエは!?」
スミスだった。
真っ黒なスーツとYシャツに白いネクタイという最悪なセンスだ。
「バウンサーだよ」
「お前は昨日の…ボブはどうした?」
「ボブ?ああ、入り口のあの大男ね。疲れて寝てるよ。寝不足なんじゃない?」
いきなり拳銃が出てきた。
「俺の血管が繋がってる内に帰れ」
「…覚悟はしてたが、いきなり拳銃か…」
両手の掌をスミスの方に向けるシン。
周囲には目つきの悪い男たちが集合しつつある。
「うるせえええ!」
「…ケンカしに来たわけじゃない。話し合いだ」
「この警告が最後だ。帰れ」
「問答無用ってか…分かったよ。ディックにはメグの伝言を持ってきたとだけ伝えてくれ」
第十六部
様々な英語の悪態がシンの背中に突き刺さった。
バタン!と強くドアが叩きつけられる。
「…おーこわ」
日本語で呟くシン。
「にーちゃん」
呼び止められて振り返ると、ラフなジーンズ姿のダーティブロンドがくちゃくちゃとガムを噛んでいた。
ダーティ(汚い)ブロンド(金髪)とは、元の髪質は金色ではないのに、無理に金髪に染めている女性がよくなる状態のことで、生え際部分に地の色が出てしまう。その為金髪と混ざり合って「ダーティ」状態となるのだ。
俗に金髪女性の六割は染めて金髪にしているとも言われている。
「…ひょっとして俺かい?」
「んあ」
腕組みをしたまま壁に背中を持たれている。蓮っ葉な雰囲気ではあるが、昼過ぎの時間帯であるためか薄いメイクが爽やかだ。
「…あんまり聞こえなかったけど…何しに来たの?」
「ちょっと話し合いをね」
「昨日の借金の値切り交渉とか?」
苦笑して首を振るシン。
「違う違う。ちょっと男女の機微についてさ」
「…もしかして、マーティバーの用心棒?」
メグの要る店は「マーティカフェ」というダイナーを改装したものだ。その為近所の住人はそれに引っ掛けた呼び方をする。
「その様だ」
「ふーん。余りお金持ってる様には見えんけど…ウチに何の用?」
「ウチ…ってもしかして」
「うん。従業員だけど」
「この店の従業員ってことは…」
ふん、と鼻から息を出す。
「あーそー。バニーやってっけど」
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