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第十三話「分裂」
今日は十二時に「イケメンの正体②」を投稿しています。
そちらを見てない方は見てからどうぞ。
二章スタート。
この章では魔王側にスポットを当てる予定。
「……仏田リクよ……すまなかった。どうやら私には復讐などもうできないようだ……実際にお前が死ぬのを見て、痛感したよ。異世界で生きるために人や魔物を殺したのとは違う…… 恨みで人を殺すことがこんなにも違うなんて……」
そう言って、うつむくイケメンの表情はまるで何かのつきものがとれたようだった。
そういえば俺が揉んだ瞬間、力が吸収されなかったかわりに、何か黒いもやのようなものがイケメンから離れていった。
もしかしたら、イケメンはなにかに取り憑かれていた……?
「仏田……手に力がもうない……死んでしまったのか?」
まだだ……まだ俺は死んでない。
もっとだ……もっと揉ませてくれ!! という俺の切なる心の叫びもイケメンには届かなかったのか、イケメンは俺の手を優しく胸から離し、去って行った。
そしてほんの少し間を開けて魔王が俺の顔を覗き込んでくる。
「おーーい、大丈夫か? 何で分裂しないの?」
あ? 何を言ってるんだこいつ。
「いやだって……さっき俺の能力とっただろお前、だったら分裂すればその怪我も治るぞ」
なんだと!?
分裂……分裂か……どうすればいいんだ。
「分裂するときは分裂しろって強く念じれば良いぞ」
分裂しろ!!
すると俺の体がにょろんとスライムのように液体化し、二つに分かれて徐々に人間の姿に変形していった。
なにやら、向こうの俺を見てみると俺が小学生3年生ぐらいの時の外見に変わっている。
身長も百三十センチぐらいしか無かった筈だ。
そういえば思考もはっきりしてきたし、俺の腹にあった傷も無くなっていた。
もう、立ち上がれそうだ。
「よっしゃ!! 死なずに済んでしかもおっぱい揉めたし最高だぜ!!」
俺はそう叫びながら立ち上がった。
向こうの俺もゆっくり立ち上がった。
「おい、魔王!! これどうしたらいいんだ? 戻れるのか」
「おー、もう一人がまた液体化して体に溶け込むようにすればいいんだぞ」
「よっしゃ!! じゃあ俺の分身よ、こい!」
俺は分身に呼びかけたが、まったく反応しなかった。
「お、おい……? どうした? 何かテンション低くない?」
分身の肩に手をやろうとしたが、手でぱしんと弾かれる。
「僕は君の中へは戻らない」
「はぁ!? 何言ってんだお前……どういうことだ魔王、こいつおかしいぞ」
「むぅ、もしかすると瀕死の間際の分裂だったから魂まで分裂してしまったのでは。普通の分裂では片方が独立した意思を持つなどないぞ」
そういうリスクがあるなら始めに言っておいて欲しかったが、どっちみちあの場面じゃ他に手段が無かったか。
「まじかよ…… おい、分身。何が気にくわないんだ。さっさと元の姿に戻ろうぜ。こんな少年の姿じゃ、女の子と良い感じになってもエロい事ができないだろ……いや、まてよ…… この姿を利用して年上のお姉さんや若奥さんのおっぱいをさりげなく揉むというのもなかなかいいんじゃないだろうか」
「黙れ!!」
俺の分身が殴りかかってきた。
かろうじて避けたが、なんなんだこいつ。
明らかにおかしいぞ。
「おっぱいの話はもううんざりだ!!」
なんだと……? おっぱいがうんざりだなんて何て罰当たりなことを言うんだ。
最早、同じ俺とは思えない台詞だ。
「ふざけるんじゃねぇ!! おっぱいはいいものだ!! おっぱいを馬鹿にするならたとえ俺でも許さねぇぞ!!」
「ふん、ばーか」
……なんて幼稚な台詞だ。
もしかしてこいつ精神年齢下がってないか。
「ぷふふ、なんか面白くなってきたな」
魔王が笑っている。
いっとくけど、これ笑い事じゃないから!!
おっぱいを冒涜をするなんて世界の一大事だ。
「なんなんだよお前……それでも俺なのか? おっぱいへの情熱を忘れちまったのかよ!!」
向こうの俺に訴えかけるように叫んだ。
「……おっぱいへの情熱……? そんなものはない。なぜなら僕は……尻派だからだ!!」
「なんだって……?」
「尻だよ尻!! 尻こそこの世界を支配するべきものだ!! おっぱいなんて肉の塊、尻に比べればカス以下だね!!」
……この瞬間、こいつと俺は決別した。
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