それはある日突然に


 

 
第6話


「やだっ、なにこれ!」 
「きゃあっ!」
「うおっ!」
 
 今、この車両内は互いの裸が見えるという異常事態で騒然としている。
 思わずうずくまる人、目の前の光景に呆然としている人。
 とにかく騒ぎ立てる人、興奮して顔が真赤になっている人、鼻血もいるな。

「次、どうする?」
 そして、騒動の発端であるユリアは周囲など視野に入ってないのか、それともあえて無視しているのか、無表情に頬を染めたまま俺に話しかけてくる。
 
「えっと、ていうか、こんなことして大丈夫なんですか」
「なにを?」
 え、えっと……ユリアさん?
「だって、なんか騒がしくなってきますし、その、いろいろ、まずくないんですか」
「……不快だった?」
「不快なわけない、というか寧ろ嬉しいというか綺麗というかもっとみたいというか……、じゃなくて!!」
 少し動転しているが、落ち着け俺!!

「とりあえず騒ぎが大きくなるまえに止めないと、まずいですよ」
「敬語やめて、場を収めるの?」
「あ、すみま、ごめ、そうです、パニックになるまえになんとかしないと」

「そう、わかった」
 そういうと、少し残念そうな顔を見せると目をとじた。
「まず、全員最初から何も着てなかったことにする」
 なんでそうなる……。
「次に【この車両では裸が常識】と認識させましょう」
 何故……。
「あと【この車両に痴漢も痴女もいない】ことにする」
 え……なんで……。
「それと、あなた以外が私に何かしたら殺すからね」
 ちょ……ユリアさん?
「あと細かい部分を調整するけど、エッチなほうが良い?」
「え、えええっと、任せる」
「うん、わかった」
 そういうと嬉しそうに口元が少しだけ動いた、なんなんだ、この人は。

___第六話___


「できた」
 そういって目を開いた。
 周囲を見ると、少しずつ落ち着きだしているようだ、でもどことなく変なような……。

「こっち、座らない?」
 後ろからユリアの声がした。
 振り向くと車両の端の席に一人座っていた。一瞬でそこまで移動したか。
 さっきまで座っていた人達はというと、全員人のいる方へ移動していた。なにかしたな。
 鞄を端に寄せて、内股に座り腕で胸と大事な部分が見事に隠れているのは意図的だろうな、だが見える範囲でもすらっとした腕と足、柔らかそうな肌、座っても横からそのシミひとつないひざと横尻が少し見えている。お礼と言っていたがこれだけでも十分お釣りがきそうなものだ。

「能力説明、いる?」
「ん、ああ、でもちょっと待て」
 思わず見惚れていた、いかん、いかん。
 なんとなく周囲に聞かれるのもまずい気がしたので、彼女の隣に座った。
 少し意識して空間を開けたのだが、座るとユリアは肩が触れる位置まで近づいてきた。少しひんやりとした肩が当たり、一瞬ドキリとした。

「まず、全員に服が見えなくなるようにしたけど、不満だったみたいだから、この車両の人全員に『この車両内では裸でもおかしくない』と思わせた」
 ……はい?
「あと、車両の外からは普段どおり光景が見えているはず、それとこの車両から出たら全員元の姿に戻るようにしてある」
「良いんですか、そんなことして……」
「大丈夫、あなたにどこまでやって良いかをわからせる意味もあるから、よく見てて」
 ……とんでもない実験もあったものだ。しかしやりたい放題ってレベルじゃないな。
 
 ユリアが車両内を指さす。
「よくみて、常識なだけだから当然恥ずかしいし、興奮する人もいる」
 確かに手すりにつかまるも、恥ずかしそうに鞄で下半身隠している女の子、周囲に見られないように座っている子もいる。男も例外じゃない、前かがみになっていたり、内股になっていたり、様々だ。
 それらを明らかに怪しい顔で眺めている人や、立っている子を後ろから堂々となめるように視姦している人、ドアの側で手すりに捕まっている髪の長い子に後ろから少しずつ近づいてお尻を……って痴漢だ!
 触られている方は顔を真赤にして身を震わせているも、無抵抗で触らせている。
「実はさっき【痴漢と痴女しかいない】を追加した」
 え……さっきと矛盾しているような……。

「大丈夫、矛盾しないから、まだいくつか随時修整中、私たち以外は変に思わない、でもまだ危ないから近づかないほうが良い」
 ああ、まだ調整中なのか、近くにいると何されるかわからないから隅っこで座っていると、なるほどね。

「それと、今だけ他人の心と、遠くの音が聞こえるようにしてあげる。聞きたい人の声に耳を傾けてみて」
 え、ちょ……、傾けるってどうやれば……。
「相手に意識を集中させて、じっと見つめるだけでもいいから」

 そういわれて、まずユリアの声に傾けてみた。
「(…………………………………。)」
 ……、何も聞こえない。

「私の心は覗けない、他の人でやって」
 あ、無理なのか……。仕方ない、とりあえず他の人でやってみるか。
 まずはさっき襲われている女からだ。

(はぅっ……んっ……もう……床冷たいし、お尻ばっかりじゃなくてもっと……いろんな……、まだっ……じゃなくて胸触……ゃっ、そこっ……じゃない……けど………お尻ばっかり撫でてないでもっと……その___)
 
 おいおい、なんか襲われているのに変な流れだな。
 まあ、何かあってもユリアは捜査員の一人だし、大丈夫だろう。

(んっ……ぁっ……、なんだか……っ……、隣にも、おじさんが……)
「あぁっ!」
(いけなっ……ぁっ、いくら手が……っ、きても……ハァ……、電車内で……ぁん……声出しちゃ……はあっ……迷惑……よ……んっ!)
「いやあ、すまないねぇ、揺れるからきみのおまんこに手が入っちゃったよ」
「え、ええ、揺れるから……あっ……しかた……ない……ですね」
 いやいやわざとだろ……。

(そ、そうよ……ね、そうでなくちゃ……んっ……くちゅくちゅって、やめてよ、そんなに……あっそこっ……いじらな……やだ、握っちゃった、熱い、びくびくして……)
 違う、隣のおじさんが自分のペニスを握らせたんだ。

「やぁっ、あぁああ」
(あれ……アリサ、おじさんの上に座って……んっ……、はねてる……)
 いや、普通に犯されているだろ。
「やっ……ぁあっ……」
(やだっ、あんな声だして、それに乳首弄られて……気持ち良さそう……)
「アリサ……どうしたの、顔赤い……けどっ」
「やっ……ああっ……せ、せんぱい……、せんぱいこそ……はぁっ……凄い……汗ですよ」
「えっ、えぇっ、結構……っ……、混んでいるっ……からっ……」
「そうですっ……ねっ!……ほん……とに……混ん……で……ひゃうっ!」
 なんなんだ、この二人……。

 やだ……アリサったら、大きい声だして……はぁっ、まわりに迷惑で……っっ!

 ずちゅっ……ずぶぶぶぶっ!
(んあっ……あ……、はいっ……て……)
「せん、ぱい……ぁっ、……その、どうしたんですか、そんな……っ、だして」
 ずちゅっ、ずちゅっ、ずちゅっ!
「な、なんでもない……わ……」
 ずちゅずちゅずちゅっ!
「アリサこそ……ひゃあっ! そんなあっ! ああんっ! やめっ……あっ……」
 ドクッドクッドクンドクン。
(……でてる……そんなはや……ふぁっ……ああぁ)
(きゃっ、んむっ、ん〜〜〜っ!)
(エリカせんぱい、キスされてどうしたのかしら、気持ちよさそう、だけど)
 ぬちゅぬちゅ、ドクッドクッ
(んっ……、これで3回目、やだ、また中に……)
「ふぁっ……アリサちゃんのなか、最高だよぉ!」
(やだ、このおじさん……ぁっ、ぁっ、ぁあっ!)
「アリサちゃん、僕もいいかな、お尻でいいから、良いよね」
(え……このおじさん、何、言って……)
「アリサちゃん、座り方変えよう」
 えっ、おじさん何を言って……何を……きゃっ!
「ほら、おじさんに顔向けて、こうしないとあのおじさんがお尻にいれられないよ」
(やだっ、お尻になんて……素敵)
 いや、素敵って……。
「ふふふっ、アリサちゃんのお尻に入れるよぉ」
 ずりゅっ!
「ぁ……っ!」
(やぁっ……くるぅ……おしりぃ……、ふぁああ………)
「気持ちいいかい?」
「ふぁああ……、いいよぉ………」
(ああっ………蕩けちゃう………すごぃ……もう___)

「ストップ」

「ん……あ、なに」
 ふとユリアが声をかけてきた。
「もうすぐ電車が止まる、入ってくる人と出る人をよく見といて」
「あ、ああ、わかった」
 ユリアからストップがかかった、見てほしいということか、これからな気がしたけど、まあいいか。といっても、何処を見たらいいかな。 

「あ、駅だから降りるね」
「うっ、わかった……けど、待って」
「早くしてよ、降りられなくなっちゃう」
 みると、正面の席に座っている男の足元に座り込み、肉棒に舌を這わせ、愛撫していた。
 早くしてとは彼女の言葉か、両手と舌で奉仕している。
「遅い……もう、……あ、駅ついちゃった、他の人に出してもらって、それじゃ」
「おう、わかった、それじゃあな」
 そういうと女は慌てて裸のままドアの方へ、恥ずかしくないのか……立ち上がるときに思いっきり凝視されていたぞ。
 他にも何人か、それまで行為を行っていた相手に普通に会話してそのままドアに向かいだした。出したばかりで汚れきった肉棒、顔と髪に思いっきりかかっている人や、思い切り垂れている人もいるが、大丈夫か? 
 ……とおもったら、電車を出るとみんな元の格好になっただけでなく、精液や汚れも一切無くなって、何事もなかったかのように電車を降りて行った。
 
 そして、乗り込んで来る人たちだが……、5人いるが、中に入る瞬間、一瞬で裸になり、何事も無かったかのように、車両内に入ってきた。
 そしてみんなそれぞれの位置に収まった。

 そして、電車が閉まるとユリアが喋りだした。
「【元の姿に戻る】だから、車内での汚れも全て【なかったこと】にされた、そして車両内に入った瞬間、あの人たちも車内の人間として支配された、質問はある?」
「いや、大丈夫だけど……」
「けど、なに?」
「いや、なんでもない」
 なんか、何処までも恐ろしい能力だなって言いそうになったが、やめた。
「そう? ところで、参加しないの?」
「いや、なんというか、みているだけで良い」
 というか、参加してはいけないような、なんともいえない気分なんだ、見ているだけでも凄い状況だし、なんとなくユリアを一人にしないほうが良さそうだし、なにより……。

「そう、なら続けて、色々観察してみて」
 ……ほんとは、ユリアをじっくり観察したいなぁ……とか、ユリアといろいろしたいなぁって思ったのだが、色々考えてやめている、なんて言えないよな。

 目の前ではまた様々なことが起きているが、ユリアはあれをみて、何も思わないのだろうか。正直この空間にいるだけで、異様な空気にやられそうなくらいなのだが……。
「ところで、この車両内の人ってみんな元々痴漢・痴女だったの?」
「違う、正確には【自分は痴漢・痴女だ】って自覚させているの」
「え、ええ? どういうこと?」
「【痴漢と痴女しかいない車両】にいることで【自分は痴漢・痴女だ】って認識してしまったの、だからみんな【それぞれの考える痴漢・痴女になりきっている】から今の状態」
 ……わかるような、わからないような……。
「え、っと、最初に【この車両に痴漢も痴女もいない】って言っていたけど、それと矛盾はしないの?」
「【痴漢も痴女もいない車両】だけど【痴漢と痴女しかいない】から【この車両に痴漢も痴女もいないので、相手は痴漢でも痴女でもない】と認識している、そして【痴漢・痴女しかいないから自分は痴漢・痴女だけど、この車両に痴漢・痴女はいないから自分は痴漢・痴女ではない】と認識している」
 ……わけわからん。
「そして【自分は痴漢・痴女で相手もそうだから、何をされても、何をしてもおかしくない】更に【この車両に痴漢・痴女はいない事になっているから、誰も痴漢・痴女と認識されない】よって【自分は痴漢・痴女で、この車両でどんな痴漢・痴女行為を行っても誰も何もしない】という結論に、この車両の人全員がいきついているの」
「えっ、みんなその結論?」
「そう、だからみんな、人目も気にせず、あれだけできるの」
 最後だけわかったが、いまいち、難しい……。

 車内に目をやると、改めて異様な空間だ。全員裸なだけでも異様なのだが、全員淫らな行為をしているのだから、もう乱交パーティとでも呼んだほうが良いのかもしれない。
 さきほどの二人の女子高生のうち、先輩と呼ばれていた方は床に這い、後ろからつかれているだけでなく、両手で二人の男の肉棒をしごきながら一心不乱に舐めている。
 後ろからついてるおっさんは胸を揉んでいるが、やわらかそうな胸だな。

 そして、アリサだったかな、言っては悪いが席に座っている醜い顔の男の上に乗っていて前を男に、お尻にもう一人の男のペニスをそれぞれうけている……のだが、二人とも気持ちよさそうで、アリサの顔は完全に惚けている。

 他にはと、車両内を見るとまだまだいるな、向こうのドアにもたれかかっている3人、一人の女性が自分の胸くらいの背の二人を……。
「あれでも大学生、あの二人」
 突然ユリアが……その、コホン……。

 二人の男の頭に後ろから自分の大きな胸を押しつけている、二人は胸の感触だけでたまらないのだろうか、または翻弄されているのか、両胸に押しつけられながら、腕で、その指先で二人の乳首やおなか、少しずつ下がっていき二人の玉袋やペニスへと、女の好きに弄られている。二人とも悶えているが、何か言われていたのか、自分では触らず悶えながら我慢している。
 他にも車内には何人もの相手をさせられている子や、二人の女に前と後ろから舐められている男など、さまざまいる、更に奥も詳しくは見えないが、様々な趣向で楽しんでいるようだ。
 あちこちいやらしい音が呼応し、喘ぎ声や悲鳴が響いている。

「ひゃあっ!」
 その中でも特に大きな声で車内に響く悲鳴。
 見ると座席の上で女性を下に、まるでベッドの上のようにセックスしている二人がいる。……が、少し他と様子が違うぞ。

「はぁっ、はぁっ……もう! アンタのせいでへんな声だしちゃったじゃない! ほんと、使えないんだから!」
 なんだぁ、あの女……。
「わかってるの! さっきの取引だって、アンタのせいで失敗したんだから!」
「はいっ! すみません!」
「ふんっ! もうっ、ぁんっ! ぁっ……、はぁっ、あんたのソレが気持ち良いのはともかく! 腰振るばっかりじゃなくて、他にもすることあるでしょうが!」
「は、はいっ! こうですか?」
 そういわれて、慌てて胸に手をやる男。
「あっ……そうじゃなくてもっとそこを強くいじっ!? ……ひゃう!」
 男が女の乳首を強く弄った瞬間、あきらかに女性の身体も一瞬、弧を描いた。
 すると、反応に戸惑ったのか男はすぐ手を放した。
「ん……もうっ! 止まってないで気持ちよくしなさいよ! ほんと使えないわね!」
「は、はいっ! すみません!」
 謝るとほぼ同時に女の両胸を強く鷲掴みにする。
「きゃあっ!!」
 思わず悲鳴に近い声を上げる女。
「す、すみません!」
 思わず謝る男性、そして腰の動きも止まった。
「いちいち謝らないで! 口動かすあいだにも手を動かしなさいよ! ほんとにしゃくに触るひとね! アンタとなんか命令じゃなかったら絶対くまなかったわよ! ほら、もっと動いて!」
「は、はいっ!」
 そしてまた腰を動かしだした……。

「変な二人」
 後ろからユリアのツッコミが入った。
 確かに面白い二人だ、話からして会社の先輩後輩といった関係で、取引に失敗したらしい、更に先輩の女は後輩の男のミスにイライラしていると。
 でも、なぁ……。
「あの人、ほんとにあの男のこと嫌いみたいね」
「そうなの?」
「ええ、心を探ってみたけど、まずほんと」
「へぇ……」
 ツンデレかと思ったがそれですらないと、なんなのだ、あの二人は。
「あなた、読んでないの?」
 そういえば、いまは読めるんだったな。忘れていた。

 そうしていると、ふいに女性が姿勢を180度変えて、四つん這いに、お尻を高くあげだした。
「ほら、早くいれなさい!」
「は、はいっ!」
 ずぶっ! ずちゅっ!
「あっ、ふぁあ……」
 思わず喘ぎ声を上げる女、そうして、また男は腰を振りだした。
「んっ! くっ、気持ち……いい、けどっ! ほらっ、他にっすることないの!」
「え、えとっ! どうすれば、いいですか!」
「ほら、尻の穴舐めるとか、指つっこむとか、叩くとかあるでしょうが!」
 ……なに言っているんだ、あの女……。

「は、はい、叩くんですね!」
「そうよ、思いっきひゃんっ!」
 バチン! という強烈な音が響いた。
「痛かったですか?」
「もっとよ、もっと叩きなさい! ほら腰も忘れないで!」
「は、はいっ」
 バチンッ!
「ひゃっ!」
 バチンッ
「ああっ!」
 バチンバチン!
「はぅっ! ひゃうっ!」
 叩かれる度に女性の悲鳴が聞こえるが、どことなく嬉しそうだ。
「ふぁっ! ぁあ……そう……いぃ……いぃわぁ……」
 女は顔も蕩けてきたな。
「ぁあ……ひゃっ! ……やぁ、……いぃ、もっとぉ……、もっとたたいてぇ……」
 おいおい、いつのまにかねだっているぞ。
 そしてすこしして、男の手が止まった。
「ぅ?」
 男の手がとまり、物欲しそうな目線を男にむける。
「すみません、おれもう限界で……」
「ふぁっ、ぁあ、いぃ、いいからぁ……せった、ぜったいにぃ、なかにだすのぉ……」
「はい、すみま……っうぁ!」
「ひゃあああああ!」
 互いの悲鳴と共に女性の身体が大きく弧を描いた。
「ふぁあ、ぁあ、あぁああ……」
 そして、しばらくして女がぐったり倒れると、男はゆっくり男根を引き抜いた。
 女から離れると、赤く腫れているお尻を痛々しく思ったのか、手のひらで撫で始めた。
「ふぁ、はぁっ、はぁっ、っ……な、なに?!」
 突然の行為に驚いたのか、息切れしながら男に訪ねた。
「あ、いえ痛そうだなと、思ったものですから、その、すみません」
「謝らなくて……いいって、はぁっ……アンタの手……ぁっ……気持ちいい……わね……はぁ、はぁ……いいわ、もっとなでて」
「は、はいっ、それではっ」
 言われると男は慌てて、しかしやさしく女のお尻を撫でだした。
「気持ちいい……、わたしのお尻撫でるなんて、今日だけよ……、こんなの」
「はい、わかっています、こんな感じですか」
「そう、そんなかんじ……ふぅ」
 男にお尻を優しく撫でられて、気持ちよさそうな寝顔だ。男も優しく撫でている。

「ほんとに嫌いなの?」
 疑問に思い、ユリアに聞いてみた。
「うん、さっきまで」
「さっきまで?」
「そう、最低だったけど気持ちよくて、評価が変わりだしているみたい」
 え、それもどうなの?
「優しいから、事後も大切」
 そういうものなのか、にしても妙な二人だ。
 男はお尻だけでなく、余った手で彼女の背中や頭も優しく撫でている。
 女は女でそれが気持ち良いのか、腕をまくらに安らかな寝顔で男の自由にさせている。

「それより、見るのはあの二人ばかりでいいの?」
 あ、そういえば二人ばっかりみていたな。
 いわれてほかを見るとそれぞれに襲われていた女子高生二人もいまはどちらも床に這いつくばって多数の男を相手にしている、ずいぶん人気だな。

 あとは、さっき男二人を弄っていた女は……、二人を相手しているな、こちらは完全に女性が主導権握っている感じだ。
 一人は仰向けに倒れている女の中に出し入れしながらその大きくて弾力ありそうな胸にしゃぶりついている、もう一人は女の顔を両手で抑え、口に射精している、口から少し白い液体が垂れる。快感に酔っている感じだな。それによく見たら女の指が二人の男のお尻を弄っている、大胆なものだ。

 あとは、よく見えないな……、ほかにも色々しているのはわかるのだが……。

「他は、もういいの?」
 他って言われても、特にないような……。
「もうって、言われても……」
「そう、駅、次よね……」
 ああ、そういえばもうすぐだな、言わなかったが既にいくつもの駅で入停車している。 
 次の駅で降りないと、しかし、そうは言われても……。

「いえ、とくに………え?」
 ユリアの方をむくと、ユリアの足元に裸の男が一人、仰向けに倒れていた。
 足は左右に大きく曲げられ、お腹から首元までに精液がかかり、両手は力無く左右にのびていて、ユリアに右足で肉棒を上向きに踏みつけられている。
 精液が腰やお腹まわりはおろか、胸板や床にまで飛び散っている。凄い放出量だな……。
 何回、いや何十回だしたらこんなになるんだ……。
 ユリアの足が少しでも動くたびにびくびくと射精している、ほとんど出しっ放しだな、口をだらしなく開け、目も焦点が合ってないけど大丈夫だろうか?
 さっき、途中で相手の女に降りて行かれた男だ。
「な、なんですか、こいつ」
「声かけてきたら、相手した」
 全然気付かなかった……。
「え、もしかして、ずっと?」
「ええ」
 そういいながら、また足でふみふみしだした、そして精液がまたお腹にむかって放たれた……なんか色ついてない?
「な、なんでこんなことに?」
「声かけてきて、噛みついてみたら倒れこんだ、不快だったから踏みつけた」
 どういう理屈だ……噛みつき?
「え、えっ、と、何処に、噛みついたの?」
「そこ」
 そういって大量の精液で汚れている男のペニス、先端部分を足でぐりぐりしている。また精が放出された。そんなに気持ちいいのか。
「え、そこ?」
「そう、そこ」
 てことは一瞬でもユリアの口の中にこいつのが……、て、よく見たら歯型しっかりある……さぞ痛かったことだろうに、そして痕跡が見えなくなるほどだしたのか。今も少し射精され、こんどは足の表の部分にもかかった。
「汚れた……」
 そういうと不快だったのか、また強くぐいぐい踏みつけている、その拍子にまた勢いよく発射された。声ださないどころか生気も感じなくなってきたけど。
「噛み切りたくないから手加減した、けどくやしいから相手しといた」
「え、なんでくやしいって?」
「くやしいから、足で」
「……え、まさか足でこれだけ?」
「そう、足だけ」
 ……むこうに集中している間、こいつはずっと足でイかされ続けていたのか。
「にしても、足だけでここまで、よくできるね」
「汚れたくないから」
 ……ああ、だからずっと上向きに踏みつけているのね……ってあれ?
「あれ、踏みつけるだけ?」
「指で挟んだりもしたけど、基本踏むだけ」
「え、ほんとに、踏んでいるだけ?」
「そう、踏むだけ」
 え、それだけ……見ると足が少しでも動くたびにびくびくと垂れ流している。
 身体も小刻みに震えているが、そんなに気持ち良いのか、もう凶器だな。
 みると足裏と爪先はべとべとに汚れているが、表の部分はさっきかかった分以外汚れていなかった。

「されたい?」
「え、え、いや、いいよ」
 最初はつやつやしていて綺麗だと思ったが、これを見るともう脅威の足だ……、それに俺はそういう趣味ないし。
「そう、なら他でするね」
 え、他で………………まさか、俺と……。
「家、ついたらね」
 どくんっ、今も綺麗ですべすべしている両腕でしっかり隠れているユリアの両胸と下半身、見えるだけでも滑らかなラインに精液で多少汚れて尚綺麗な足、その足で下の男をすでにここまでしてしまったユリア……、なんか今からどきどきしてきた。
「だいじょうぶ、この男みたいにはしないから」
 そういって、ぐにぐにと踏みつける。
「え、えっと、その男は、どうするの?」
「死ぬまで」

 …………え?
「え、死ぬまで?」
「痴漢、嫌いだから」
 えっとぉ………ユリアさん?
「死ぬまで出させる」
「殺したら……まずいんじゃ?」
「大丈夫、事故であなたがしたことにする」
「なっ!」
 ちょっと待て、それは困る!
「あなたの事故にすればみんな納得する、かわりに」
「ちょ、勝手に俺のせいにしないでよ!」
「いや?」
「あたりまえです!」
「そう、でも」
「なんですか」
「さっきから、血も一緒に出てきているのだけど……」
 ああ、色がついていたのはそういうことか……、じゃない!

「すぐ止めて!」
「わかった」
 そういうと、ユリアは足を離した。
 すると、離された拍子に、ペニスが空を向き、射精された精液がユリアの足に少しだけかかった。

「………」
 無表情でそれを見つめるユリア、なんかまずそうな空気だ。
 すると勢いよく男のペニスを蹴り上げた。
 その反動でまた、激しく射精され、それがユリアのひざにもベトッとついて垂れていく。

「………やっぱり、殺しちゃダメ?」
「だめ!」
「痴漢なんて、根絶すれば良い」
 ……この男、なんて声かけたんだ?
 このままいると本当に殺しかねないな……。
 すると丁度駅についた。
 しめた、ドアが開いたら即外にでよう、そうすればこのオトコの命は助かる。
 そう思い、駅につくや否や、ユリアの手をひっぱり急いで外に出……たいけど恥ずかしいので思い切り走って外に出た……が、勢い余って男の頭を思い切り踏みつけてしまった。
 無事に生きている事を願う……。

 大急ぎで人ごみを避けながら階段をかけ上がる、そして右正面に見える改札口へ走り、人のいない改札を選んで通りぬける、そして正面に見える壁に手をつけて、一休みした。
 慌てて離れたが、まあ大丈夫だろう、そう信じる。
 ユリアを見ると元の黒で統一された帽子にワンピース、黒のサングラスをかけている。
 車両から出ると元の格好に戻るというやつか、なんとかなったかな。
「あ、そういえばあの車両、大丈夫なの?」
「大丈夫、わたしが離れたら、自然と元に戻るから」
「そっか、ならよかった」
 そう思い、ひとまず安心していた。

「使ったわね」
「え?」
 突然の言葉に思わず首を傾ける。
「能力よ、さっき【男が無事に生きていること】を願った、そしてその為に能力を使った」
 ……そういえば、思わず使ってしまったかも。
「今の意図的? 咄嗟? それとも無意識?」
 え、っと、どっち、だろう……。
「咄嗟、に思わず使ってしまった、かな?」
「だめ、不合格」
「え、なんで」
「意識的に使えるって聞いていたのに、全然能力をコントロールできてないから」
 あ___。

 駅を出て道なりに俺の家に向かって歩く。
 ユリアはさっきからずっと無言で何か考え事をしながら後ろをついてきている。
 その表情は無表情がより真剣な顔つきになったような感じだ。もしかして、怒っているのかな。そんな俺の気持ちと裏腹に下を向きながら黙ってついて来る、不安になったが、なんて声をかけたらいいのかわからず、そうこうしているうちに、俺の家が近づいてきた。
「あそこがうちです」
 そういって家の前でたちどまり、ユリアに家を紹介した。
 するとユリアは、顔を上げ、すこし間をおいて口を開いた。
「……なんで、使ったの」
 え、え、やっぱり、怒って、る?
「え、っと、やっぱり生きていて欲しい、から、かな」
「そう……、わかった。 それで、提案あるのだけど」
「な、なにかな」
「あなたの能力を、一時、制限させて」

 ………え?

「どんな事情でも、咄嗟に使ってしまうなら自由に使わせるわけにいかない、だから傍にいる間、わたしがあなたの能力を管理する、傍にいる間、あなたはわたしがいないと一切能力が使えないようになるの、そしてわたしが少しずつ操れるようにする、少なくとも今日みたいに使ってしまうことがなくなるくらいになるまで、そしたら解除するから」
 
 ……なるほど、たしかに咄嗟にどんな願いをするかわからない以上、きちんと使えるようになるまで使えなくして貰った方が気が楽なのは確かだ。ユリアも捜査員としては、きちんと管理したいところなのだろう。
「あ、わかりまし……わかった、でも、どうするんだ」
「能力と貴方の思考の間に、わたしがカギをつける、そして貴方が能力を使う瞬間、それが問題ないとわかったら、わたしがカギをあける」

 ……つまり、能力を使うときは、毎回ユリアの承諾が必要と……。
 なんとなく操れてきたのに、また制限かかっちゃったな。
「それじゃあ、やるけど良い?」
「あ、はい」
 すると、ユリアは、帽子とサングラスをそれぞれ外した、そして___。
「わっ!」
 突然手を首にからめ、抱きついてきた。
「じっとしてて」
 思わず固まってしまった。
 布越しにユリアの体温と身体の柔らかさが伝わってくる。
(あったかいし、やわらかいし……いい匂い)
 ユリアの身体は物凄く柔らかく、抱きしめ返したいのだが、どこに触れて良いのかわからない。というかやわすぎないか……。
 何処に触れたらいいんだ……、骨まで柔らかそうな人だな。
「できた」
 そういうと、ユリアは俺から離れた……が、少し息切れしている。大丈夫かな。

「あと、他に能力関連で隠し事ない? 言い辛くて話してないこととか」
「いや、もうない、はず」
 たぶんない、よな、うん。
「ほんとに、大丈夫?」
「う、うん、大丈夫!」
 ない、はずだ。
「それと、もうひとつ」
「はい?」
「さっき、突然引っ張られたから、電車に鞄忘れた」
 ___あ。

 そういえば……、手には黒いサングラスだけで、あの大きな鞄がない。
「ごめん、慌てて引っ張っちゃったから」
「いい、私以外は開けられないようになっている、でも持ち物がこれだけになった」
 そういって両手をあげる、今身につけているものだけ、というアピールだろう。
「あ、急いで駅の人に話した方が、電話貸すよ、中入って」
「ありがとう」
 そういうと、俺の後に続いて家の中に入った。

「おじゃまします」
「どうぞ入って」
 玄関入ってすぐの廊下を進み、中ほどにある扉をあける。
「ここがそう、電話そこにあるから」
 そういって、開けた扉の対になる場所にある、机の上の電話機を指差す。
「そう、借りるわね」
 そういってユリアはサングラスと帽子を電話機の横に置いて、電話を手に取り、そのまま何処かにかけた。
「え、わかるの?」
「ええ、少し待って」
 そういうと、電話越しの相手と話を始めた。

 とりあえず荷物を片付けようと2階の部屋に移動したのだが、俺の部屋のドアに一枚の紙が張ってあった。

【お兄さんへ、今日からしばらく家をあけるね、一週間で帰ると思うから安心してね。 
 補足:これで邪魔者いないから、自由にしてね by兄想いの妹より】

 ……真理の字だ。

 ひょっとして色々勘違いして機転を利かしたつもりだろうか。
 連絡とりたくても今時珍しく携帯も持ってないし、どこへ行ったかもわからない。
 まあ、アイツが家をあけるのはそう珍しくないし、いいか。
「どうしたの?」
 ふいに後ろからユリアの声がした。
「ああ、妹がね、何処か出かけたみたい、電話終わったの?」
「うん、仲間に回収して貰うから、明日には届くと思う。 妹さん、どうしたの」
「そっか、いや大丈夫、あいつ放浪癖あるから、それにたぶん勘違いしたのだろうし」
「勘違い?」
「うん、あの、実は………あ!」
「どうしたの?」
「なんでも! ちょっと待ってて!」
 そういうと慌ててドアを開けて中に入り急いでドアを閉めた。

 すっかり忘れていた……。
 恐る恐る部屋の正面にあるベッドを覗くと、そこには一人の女性が眠っていた。
 そうだよ、この部屋には、以前能力の被験者にして以来ずっと眠っているOLさんがいたんだ……。
 とりあえずカバンを机に置いて、どうするか悩んだ……。
 さっき無いと言った手前、ユリアには話し辛いし、仮に見てもらってもずっと眠ったままなのが心配だ……。
 さっき能力も封じられたから何もできないし………。
 どうする、このままベッドに寝かせておくか、でも突然起きられてもそれはそれで困るし……、そうだ、ユリアにずっとこの部屋に入らないよう言えば良いんだ。
 多少難しいができないことじゃない。そうしよう。
 
「このひと誰?」
「どわっつ!」

 見ると既にユリアは部屋の中にいて、ベッドの中の女性をみつめていた。
「え、えっと、これは、その………」
 どうしよう、なんて説明したらいいんだ……。
「この人、なんで裸なの?」
 そういって布団をめくり、中を確認している………。
「ねえ、ひょっとして……」
 そういってオレの顔をみつめてくる。
 勘付いたかな………。
 どうなるんだ……、オレ。

 もしかして、捕まる?

 
 
< つづく >


 

 

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