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【プロ野球】

ヤクルト館山、2年10カ月ぶり白星 3度の右肘手術乗り越えた

2015年7月12日 紙面から

◇ヤクルト5−1DeNA

 ヤクルトが阪神と並ぶ2位に浮上。館山は6イニングを1安打1失点の好投で3シーズンぶり勝利。打線は0−1の4回にデニングの二塁打などで計4点を挙げて逆転。DeNAは先発の山口が4回に崩れた。

   ◇

 この時を待っていた。館山自身も家族も、神宮を埋め尽くしたヤクルトファンも。3度の右肘靱帯(じんたい)再建手術(通称トミー・ジョン手術)を乗り越え、2012年9月25日の阪神戦(神宮)以来、1019日ぶりの勝利。お立ち台での第一声はファンへの謝罪だった。「長かったですね。ホントにすみません。遅くなりました」。そして「陽子、ありがとう」。支えてくれた愛妻への感謝の言葉を続けた。

 堂々たるエースの帰還だった。涙の復帰戦から中12日のマウンドで6イニング、80球を投げて、許した安打は1回の筒香の適時打のみ。「先に点を取られたけど、逆転を信じて攻める気持ちを持って投げた。前回はとにかく無事に投げたかったが、今日は勝負に徹してチームの勝利のために投げた」。高津投手コーチも「前回より数段上。少々バテたかなと思ったが、それ以外はいつもの館山だった」と快投をたたえた。

 血行障害や肘、肩、股関節と、過去7度の手術で体に刻んだ縫い目は計151針。その都度、不死鳥のようにより強くなってよみがえった。そんな館山でさえ、33歳だった昨年4月に受けた再建手術には不安ものぞかせた。

 支えになったのは家族と仲間。「プロ2年目での初めての手術の時、同じ手術をして復帰した先輩が引っ張ってくれた。一人なら心が折れていたかも。去年、再断裂した時、一緒に戸田でリハビリしてきた後輩たちへの影響が心配だった。絶対にマウンドに戻るんだと思った」。つらいリハビリを笑い飛ばす「トミー・ジョンTシャツ」=写真=も作った。手術痕のある右肘の絵に、左胸には手術回数を表す星を並べ、同じ手術を乗り越えようとしている後輩たちに配った。

 今季の神宮球場の観客数は館山の復帰戦が最多。この日は2番目に多い3万1027人。右腕は「何度手術しても、皆さんの声援で戻ってくることができるんです。これは通過点。優勝に向かって一生懸命、腕を振っていきます」と、熱い言葉を届けた。 (竹村和佳子)

 

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